MMTを実験中(⁉︎)の日本で聞けない、経済学重鎮の猛反論

今、「自国通貨建てで借金しているのならば、インフレが加速しないかぎり、いくら借金を増やしても大丈夫」というMMT理論が米国で左派に圧倒的人気だが、MMTと異次元緩和は同じものだ。

MMT提唱者のケルトン教授自身は「日本でMMTを実験中」と言っている。しかし米国では重鎮が圧倒的に反論している。それなのに日本では「ハイパーインフレになどなるわけない」と私の忠告に耳を傾けない楽観者が多いのは、困ったものだ。

ジェフリー・ガンドラック(ダブルライン・キャピタル CEO)は、「(MMTは)大規模な社会主義的プログラムを正当化するために利用されている完全なナンセンス。(中略)。 小学1年生には正しく聞こえるかもしれないが−−」と手厳しい。

以下、重鎮のMMT(=異次元緩和)に対する反論(リスクはハイパーインフレと言っている)

左からサマーズ、ロゴフ、ブランシャール(Wikipedia:編集部)

ローレンス・サマーズ(元米財務長官)「幾つもの途上国が経験してきたようにそうした手法はハイパーインフレを引き起こす。インフレ税を通じた歳入増には限界が あり、それを超えるとハイパーインフレが発生する」

ケネス・ロゴフ(ハーバード大学教授)「投資家が国債を保有したがらなくなったら、その通貨についても所有しようとは思わないだろう。その国が通貨を投げ売りすれば、その結果はインフレだ。」

ブランシャール(元IMFチーフエコノミスト)「確かに財政政策は産出を潜在水準に保つために利用できるが、その赤字は、とても小さなものでない限り、高インフレないしハイパーインフレなしで、無利子の貨幣創造によりすべてを調達することはできない」

ウォーレン・バフェット(バークシャー・ハサウェイCEO) 「赤字支出はインフレ急上昇につながりかねず、危険な領域に踏み込む必要はなく、そうした領域がどこにあるのか正確にはわからない」

ジャネット・イエレン(前FRB議長)「この提唱者は何がインフレを引き起こすのか混乱している。それ(MMT)は超インフレを招くものであり、非常に誤った理論だ」

フランソワ・ビルロワドガロー(フランス銀行(中銀)総裁)「残念ながら、自国の債務をマネタイズしようとした国は極めて不幸な経済状況に陥ったことがケーススタディーで繰り返し示されている。インフレ、さらにはハイ パーインフレが大きなリスクとなる」

ギータ・ゴピナート(IMFチーフエコノミスト)「これまで多くの先進国・途上国において、政府支出のための財政赤字、そのファイナンスが行われ てきたが、帰結は大抵、予期せぬインフレーションと投資や経済成長の悪化であった」

その他、MMT(=異次元緩和)の批判を公言している人たち

ポール・クルーグマン(ニューヨーク州立大学教授)、ジェロム・パウエル(FRB議長)、ロバート・シラー(イェール大学教授)・アラン・グリーンスパン(元FRB議長)、ラリー・フィンク(米資産運用会社ブラックロック、CEO)、ピーター・プラート(ECBチーフエコノミスト)、ヨアヒム・フェルズ(PIMCOグロバル経済アドバイザー)、アデナ・ターナー(英金融サービス機構元長官) 、クリスティーヌ・ラガルド(IMF専務理事)他

以上、財務省資料より


編集部より:この記事は、経済評論家、参議院議員の藤巻健史氏(比例、日本維新の会)のFacebook 2019年5月6日の記事をアゴラ用に加筆したものを掲載しました。藤巻氏に心より御礼申し上げます。