大津事故:行列や集団行動による事故被害の拡大

リスクを減らす分散型行動

大津市の県道交差点で保育園児の痛ましい交通事故が起きました。こうした事故のたびに、私は行列や集団で行動すると、事故発生時に被害が拡大することが少なくないと、思ってきました。安全対策のはずの集団行動が裏目にでることがある。もっと論じるべきでしょう。

そのことを確認したくて、翌日の新聞に載った事故発生時の再現図をみました。案の定というか、3人の保育士に付き添われ、保育園児13人が固まって、交差点脇で信号待ちしていました。直進車が交差点に進入し、そこへ右折車が現れて衝突し、弾みで園児の集団に飛び込んだということのようです。

アディ/写真AC(編集部)

保育園側は、いつも通りの対応で、事故責任者はあくまでも車の運転者でしょう。図解では、双方向とも青信号の際の事故です。直進は青信号でも、右折は待たせる赤信号が装置されていたかどうか不明です。右折禁止を表示する赤信号がなければ警察側にも責任があります。

集団行動の安全神話の修正

信号機に問題がなくても、事故は起きます。その時のことをどう考えるかです。「集団を組み、責任者が付き添っていれば安全性は増す」ということに、私はかねてから疑問をもってきました。新聞報道によると、「散歩の際は、安全を確保するため、保育士が集団の先頭、真ん中、最後について車道から離れた場所を歩くようにしていた」(読売新聞、9日)そうです。

今回、13人に3人の保育士が付き添っていました。3、4人ずつ分け、分散して信号待ちをすることはできました。ネットへの投稿をみますと、「子供たちはちゃんと手をつないで固まっている」と、ほめる人がおられます。私は「手をつないで固まっている」と、むしろリスクを高めることがあると考えます。

大津市の事故をきっかけにして、安全のための集団行動をとる際は、時と場合をよく考えてからにしようと、私は言いたいのです。行列を作って集団で登下校する際も、いくつかのグループに分ける方が安全かもしれない。「集団行動の安全神話」を再考する契機にしたい。

集団行動はリスクを伴う

厚生省は「保育所保育指針解説」を作り、経路の安全の有無、工事箇所や交通量などの確認を求めています。大津市でも危機管理マニュアルを策定しているそうです。集団行動がもたらすリスクの問題が、これらに含まれているかどうか。

警察、自治体は通学路を中心にガードレールはポールの整備をし、時速30㌔の速度制限ゾーンも導入しています。もちろん、安全対策にはハード(モノ中心)、ソフト(やり方)、車の性能向上(自動ブレーキなど)といった多様な対応が必要です。

メディアやネットをみていますと、「ママ、ママと泣く園児」「悲惨な事故現場」「問題の多い記者会見の記者たち」「安全対策車の普及」など、論点は様々です。すぐにでも安全対策になる「集団行動の安全神話の修正」も論点に加えてほしい願っています。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2019年5月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。