リスクシェアリングによる金融の革新

2019年06月11日 11:30

空運業で航空機のオペレーティングリースが発達しているのは偶然ではない。世界的な規制緩和は価格競争を激化させ、航空会社の収益を不安定なものにしている。その結果、航空会社には財務体質の弱いところが少なくなく、資金調達は容易ではない。ところが、熾烈な競争に勝つためにこそ、新鋭機の導入を進めなければならないわけだから、その購入資金の調達は重要な経営課題となる。故に、オペレーティングリースが普及することになったわけである。

借りる側に利益がある限り、その利益は調達費用の増加に反映するはずである。良かろう、高かろう、は経済の基本原則だからだ。つまり、オペレーティングリースのリース料を金利に換算したときは、融資やファイナンスリースの金利費用よりも高くなっているのだ。このことは、貸す側の立場からいえば、ハイリスク、ハイリターンと表現される。貸す側はモノに関する危険を負担しているのだから、その危険に見合う収益の増加を要求しなくてはならないということである。

借りる側はモノに関する危険を免れ、かつ財務安定性を得る分、高い費用を払うのだから、ローリスク、ハイコストである。要は、貸す側のハイリスクには借りる側のローリスクが対応し、貸す側のハイリターンには借りる側のハイコストが対応するということである。これは極めて合理的な経済取引であって、借りる側と貸す側との間に公正公平なリスクとリターンの配賦、あるいはシェアリングが成立しているわけである。

また、空運業の例のように、オペレーティングリースによって融資やファイナンスリースでは対応できない分野にも資金供給できることは、当然に貸す側の大きな利益である。空運業は、そのなかの企業毎にみれば、破綻確率が高くて金融の取り組みが難しくとも、産業全体としては、社会的に必需のものであり、かつ成長しているわけで、金融界としては是非とも取り組まねばならない領域だからである。

空運業と同じように、規制緩和と成長が同時進行する分野は、通信、エネルギー、医療など非常に広いわけだから、経済と産業の実情に応じて、金融も革新していかなければならないということである。

森本紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
HC公式ウェブサイト:fromHC
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