セミパラチンスクとロプノールの話

2019年06月17日 11:30

知人が先日、12日間、日本に帰国し、戻ってきたので、最新の日本の話を聞いた。知人は今回、初めて広島と長崎を訪問した。彼は「広島には多くの外国人旅行者がいた。日本を訪問するなら、絶対に広島に行きたいと考えてきた人が多かった」と語った。

▲広島の原爆ドーム(2019年5月12日 撮影)

▲広島の原爆ドーム(2019年5月12日 撮影)

▲中国の最初の核実験(1964年10月16日、CTBTO公式サイトから)

▲中国の最初の核実験(1964年10月16日、CTBTO公式サイトから)

広島は世界で最初の被爆地だ。一瞬に数十万人の市民が亡くなった。原爆ドームを訪ねる人々に原爆の恐ろしさを訴えている。残念ながら当方はまだ広島には行っていない。知人にとって最初の訪問だったが、やはりその衝撃は大きいかったという。核兵器廃止を考えるならば、一度は人類史上初めて核兵器が投下された広島、そして長崎を訪問することは必須だという。

知人から広島の話を聞いていると、世界最大の核実験所だった旧ソ連カザフスタンのセミバラチンスク核実験所と中国新疆ウイグル自治区のロプノール核実験所を思い出した。2カ所の核実験所周辺では今なお白血病患者が増え、がん患者も多い。放射能の影響から障害児が多く産まれている。

旧ソ連時カザフスタンのセミパラチンスク(Semipalatinsk)は核実験場として有名だ。同核実験場で456回の核実験が行われた。具体的には、大気圏実験86回、地上実験30回、地下実験340回となっている。最初の実験は1949年8月29日。最後の実験は1989年10月19日だ。

セミパラチンスク実験場の広さは1万8500平方キロメートル。核実験の結果、同市周辺ではがん患者の発生率が非常に高い上、異常児出産が多発、約160万人が核実験の放射能の影響を受けたと推定されている。同実験場は1996年から2001年にかけて取り壊された。181の地下トンネルや13の未使用のトンネルが破壊された。ハーバード大学のグラハム・アリソン教授は、「核時代について書くならば、カザフに関する一章を設けなければならないだろう」と述べているほどだ。

新疆ウイグル自治区実験地のロプノールは、何年も雨が降らない砂漠だ。そこで広島の原爆の1300倍以上の規模の核爆弾が投下された。核実験により、19万人が死亡し、100万人が放射能で汚染被害を受けた。現地住民には白血病、ガン、障害児が生まれる確率が異常に高いという。

海外中国メディア「大紀元」日本語版(2016年10月17日)が3年前、英国人の医者、ジャーナリストたちがまとめた中国の核実験場周辺の核実験の影響に関する報告書を紹介していた。核の被害を伝えるドキュメンタリー「Death of Silk Road(死のシルクロード)」が1998年に作成され、英Channel4で放映されている。

ウィーンに事務局を置く包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)によると、中国は核実験を45回行った。1964年10月16日、ロプノールで初の核実験が行われ、これまで45回の核実験を実施、そのうち23回は大気圏内核実験、22回は地下実験だった。1996年7月29日、最後の地下核実験を行っている。1976年9月、200キロトンの空中核熱爆発(水素爆弾)が実験された。

それでは「なぜ新疆ウイグル自治区は核実験の地となったか」だ。同自治区がイスラム系民族のウイグル民族が主に住んでいる。その意味で中国共産党の「民族浄化」がその根底にある。共産党政権は同民族の人権を徹底的に排斥してきた。この民族浄化政策は今日まで続いている。このコラム欄でも紹介したが、不法臓器の売買でウイグル人が今日、最大の犠牲となっている(「移植臓器は新疆ウイグル自治区から」2019年1月12日参考)。

ちなみに、広島と長崎に原爆が投下されて以来、今日までに確認されただけでも2059回の核実験が行われた。米国1032回、旧ソ連715回、フランス210回、英国45回、中国45回、インド4回、パキスタン2回、北朝鮮6回(南アフリカとイスラエル両国の核実験が報告されているが、未確認)。

スウェーデンの「ストックホルム国際平和研究所」(SIPRI)によると、2016年の世界の核弾頭総数は1万4935発だった。その93%以上は米国とロシアの両国が保有している。英国は215発、フランス300発、中国270発、インド最大130発、パキスタン140発、イスラエル80発、北朝鮮は最大20発の核弾頭を有しているとみられている。

原爆被爆地の広島市と長崎市、それに核実験場のセミパラチンスク市、そして中国のロプノールの4カ所は、核兵器の恐ろしさを実体験した哀しい地だ。世界最大の核実験国・米国の核実験とその影響については別の機会にまとめたい。

ウィーン発『コンフィデンシャル』」2019年6月17日の記事に一部加筆。

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