NHKに就職する前に知ってほしい、記者の働き方と過労死

2019年06月27日 06:00

豊橋市議の長坂です。

「読みたい本」ってたくさんあると思います。
でも、「読みたくない本」ってなかなかありません。

記憶を辿ると、小学校3年生のときに学級文庫にあって、初めて開いた「はだしのゲン」は、怖くて読めませんでした。ようやく読めたのは、5年生か6年生になってからです。

それから四半世紀、久々に「読みたくない本」が先月発売されました。

未和 NHK記者はなぜ過労死したのか
仕事熱心で笑顔のたえない女性記者の死。遺族、友人、NHK関係者など109名への取材から、彼女の生きた証と巨大メディアの裏側を描きだす。

過去にブログで何度か書いていますが、過労死したNHKの佐戸未和記者は、ぼくの学生時代の友人です。
当時は「みわっち」と、僕も周りも呼んでいました。

読みたくないのはひとえに、読んだらきっと泣くので。
そうは言っても、大切な友人の死について書かれた本、読まないわけにはいきません。

「みわっちの誕生日である6月26日までに読もう」

そう決めて、24日にようやく重い気持ちを押して、書店で購入。
案の定、読んだら止まらなかったので、一気に読みました。

本書は、第1章から第10章まで、ほぼ時系列で話が進みます。

これからNHKに就職する、採用試験を受けよう、あるいはもうNHKで働いていらっしゃるという方は、そのほぼ半分である第6章からでも、読んでみてください。

ぼくのように生前のみわっちを知ってる方は、その一つ前、本書の折り返しである第5章「未和さんが亡くなりました」だけでも、まずは読まれてみてください。第5章は僅か16ページ。しかし最も重い章です。

一方、第1章では、2ページ目から突然、筆者がみわっちの語り口を「再現」。

NHK記者、佐戸未和さんの日常を彼女自身が語るとどうなるだろうか。筆者がそう思いついたのは(略)その仕事ぶりを伝えるには、彼女の視点から再現してみるのが一番だと気づかされた。

第1章はそのような趣旨に基づく筆者の創作モノローグだ。彼女の語り口や心理描写は筆者の創作で、「私」こと未和さんが語る出来事は次のような資料に基づいている(略)

– 本書 4ページより

この「創作モノローグ」、ぼくにはどうしても合わなかった。
(がんばって最後まで読んだけれども)

しかし「創作モノローグ」は第1章のみです。
ぼくと同様に生前の彼女を知っており、違和感を感じた方がもしいらっしゃれば、一旦とばして、第2章からでも読まれてみてください。

本書を通じて感じられたことは、

あなたが組織のために動き、組織に従って動いても、組織があなたを守るかどうかはわからない。

ということです。

いざというとき、あなたは報道人(ジャーナリスト)として動けるのか、組織人として動くのか、折おりで「自分だったらどっちか」ということを意識しながら「我がこと」として、読まれてみてはいかがでしょう。

また、選挙の「当事者」として。

もうすぐ参議院議員選挙がはじまります。
今回、立候補される方々が当選されたちょうど6年前の参議院議員選挙の数日後、みわっちは逝きました。

その参議院議員選挙に先立つ、都議会議員選挙からの取材で、たくさんの残業をしていました。

NHKの公式見解らしきものを紹介しますね、

選挙と災害がNHK報道の二本柱となっており、報道部門にいる職員はその重要性を深く心に刻み、公共放送としての使命を達するため、日々業務にあたっている>

– 本書6ページより

「災害と選挙」でなく「選挙と災害」の順も気になりますが、選挙ってそんなに重要ですか?

「選挙にかかる業務の大目標は、正確に当確判定をするということです」

– 本書7ページより

国会(できれば地方議会も)を見据え、国政(地方行政)の現状を国民・市民に伝えることは、しっかりとやってほしいと思います。

一方で、最早で投票箱が閉まる20時に当確(当選確実)を「予測」しなくても、およそその4~5時間後の24~25時に確定的な結果が出るのに、そこまで(犠牲者が出るまで)の労力を費やす必要が本当にありますか?

ひとりの地方議員の意見ですが、ぼくは「翌日開票」でもいいと思っています。

投開票日である日曜に休日&深夜残業を非常に多くの職員に課してまで(そして、それは残業代として行政の支出増にも)、急いで開票作業をする必要がありますか?

4月の統一地方選挙では、東京の江戸川区・大田区・江東区が「翌日開票」を実施しています。

二十一日投票の統一地方選後半戦のうち、東京都特別区の江戸川、大田、江東区の区長選が二十二日開票され(出典:東京新聞

もちろん、当事者として「一刻も早く」当落の結果を知りたい、という気持ちは、とてもとてもあります。

一方、気持ちとしては、選挙運動は前日の土曜日までであり、土曜日24時の時点でエネルギーは切れています。

そして、翌日の日曜日は(選挙運動できないので)休養を含めて、かなり力の抜けた1日を過ごします。

だから、結果がわかるのが、選挙運動終了から20時間後なのか、24時間後なのか、36時間後なのか、で、あまり大きな差を感じません。

むしろ、(それなりに視聴率が取れるであろう)選挙特番をやる側としては、やはり月曜日中よりも、日曜夜に開票してほしいものなのでしょうか・・・

以下は本書を読んでの、とてもとても個人的な雑感です。

過労死した記者が友人であること。
その過労の多くが直近の選挙によるものであること。

これだけでもこの「NHK記者の過労死事件」は、僕にとってとても身近な話題です。
そしてもうひとつ。

みわっちの担当が、東京都議選で「みんなの党」でした。
このみんなの党から、別の友人のおときた駿が都議選に初挑戦していました。

みわっちと、おときた駿は、それぞれ別のコミュニティでの友人であるため、
私の知る限り、2人に接点はありません。

本当に本当に個人的な話ですが、みわっちはおときたにも取材したのか。
それが気になっていました。

なぜならぼくは、みわっちが亡くなる前の数年間、みわっちに会っていませんでした。
だから、当時のみわっちがどんな様子、どんな働きぶりだったのか、知りたい気持ちがとてもあります。

残念ながら、みわっちがおときたを取材したかどうかは、書いてありませんでした。

6年経ち、本が出版され、そのおときたは来月の参議院選挙に挑戦します。

ぼくは運命とか信じないタイプですが、みわっちとおときたと、全然関係ない話なのはわかっていますが、
それでも何らかの因果を感じずにはいられません。

生きていれば、昨日でみわっちは37歳。

メール送れないからここに書こう。
「みわっち、誕生日おめでとー」

年男の僕も、先月アラフォーに片足突っ込み、たぶん今なら学生みたいな安いお酒でなく、お互い歳相応に、年月を重ねた美味しいお酒がきっと飲めたはず。

アラフォーだけど、まだ焼き肉がっつり食えるのか。
同じ肉でも、美味しいお肉を少し、になっていたのか。

今でも「だからながさかまんはさー、」とダメ出しくらうのか。

それとも、「少しは立派に/大人に/社会人らしくなったじゃん」と言ってくれるのか。

本を読んでるときは泣かなかったけど、やっぱ今泣きそう。

改めて、著者の尾崎孝史様、
取材、執筆、そしてご出版ありがとうございます。

では。

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長坂 尚登
愛知県豊橋市議会議員(無所属)

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