両陛下と安倍首相の絶妙な役割分担で外交大国へ

2019年07月05日 16:30

天皇、皇后両陛下が、令和初の国賓として来日したドナルド・トランプ米大統領夫妻と通訳なしで会話したことがメディアで話題になったが、両陛下とも、英語圏で学ばれたのだから、26歳になって東欧から米国に移民したメラニア夫人より、こなれた英会話ができて当然なので、あれは少し褒め殺しに近いというようなことをすでに書いた。

そして今度は、両陛下が、G20(20カ国・地域)首脳会合に先だって公式実務訪問したエマニュエル・マクロン仏大統領夫妻とフランス語で話されたことは、なかなかの快挙でフランス人を大いに喜ばせた。

マクロン大統領夫妻と懇談する天皇皇后両陛下(宮内庁サイトより:編集部)

天皇陛下は学習院で、仏文学の権威である小林善彦先生などから立派なフランス語をたたき込まれている。皇后陛下も二度にわたりフランスに短期の語学留学をされていることは、知る人ぞ知る事実だ(グルノーブルとブザンソン)。

天皇陛下が即位されて2か月がたったが、安倍晋三首相と「絶妙な役割分担」をされ、君主としての新しいスタイルを外交面で見事に示されており、絶好調だと思う。

皇后陛下の体調については、マクロン大統領夫妻との昼食会に、両陛下そろって出席できるか直前まで決まらなかったことからも、まだ、心配がある状況とみられる。その意味で、マスコミにおだてられてくれぐれもご無理などされないようにお願いしたいところだ。

ところで、天皇、皇后両陛下による外交への参加の位置づけは、昭和・平成の時代とは少し性格が変わったと思う。

宮内庁サイトより:編集部

昭和天皇にあられては、先の世界大戦の当事者でおられたので、どうしても、ご自身の立場についての説明が求められた。諸外国も敗戦国日本の指導者であった昭和天皇がどうおっしゃるかという目で見ていたから仕方なかった。

平成の天皇、皇后両陛下が示そうとされたのは、「皇室が戦争の犠牲者への慰霊と、平和を祈る存在である」ことだったように思える。これも、戦争とかかわりが強かった皇室の立場において(とりようによってはある種の悔悟、場合によっては反省、謝罪の気持ちも含めて)慰霊されているのでないかと受け取られていたのだと思う。

そのあたり、日本国家の元首(憲法学者がどういおうと外交実務上、元首として扱われている)としての立場とは別の要素が強く微妙な問題をはらんでいたと思う。

いずれにしても、そういう意味で、常に「皇室の外交」であった。

これに対し、現在の天皇、皇后両陛下がそういう過去にとらわれず、国際人としてのセンスが光る軽やかスタイルでおられるのは、日本という国家の君主としてより自然なように見える。

これまで会われたのが、トランプ、マクロン、エルドゥアン、ムハンマド(サウジアラビア)というのも強い戦略性を感じる。皇室の政治利用というのは、国内においては、時としては、問題を生じるが、外交の場では政治利用をおおいにすべきものだと思う。

米国大使館ツイッターより:編集部

G20でも、安倍首相が世界の代表的な政治家として尊敬される存在であることが遺憾なく発揮された。世界史においては、英国のベンジャミン・ディズレーリ、ドイツのオットー・フォン・ビスマルク、フランスのリシュリューといった名宰相がいて、それぞれ君主と絶妙な役割分担で国威を高めた。

令和の日本で、世界の舞台で活躍できる両陛下と、優れた宰相のコンビネーションが続けば、日本は念願の外交大国になれるだろう。

ただ、問題は安倍首相のレベルに近い政治家がどれだけ育ってきているかである。さしあたって、枝野幸男なんぞでは文在寅の二の舞だ。経歴も似ている。しかし、与党にいるかといえば、これも怪しい。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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