自民候補者の質に疑問 ~ 衆参入れ替えが必要

2019年07月10日 06:00

参議院選挙の状況は、与党の改選過半数はなんとか到達したようだが、改憲勢力3分の2は微妙な状況のようだ。

内閣支持率が5割を超え、政党支持率としても与党が好調であるのに、議席予想としてはこの程度というのは、自民党がその力を議席に反映することができてないということだ。

その原因はなにかといえば、候補者の質の問題に尽きると思う。とくに、一人区でそこが決定的に足かせになっている。結果が出てからでは後付けの説明になるので、いまのうちから指摘しておく。

それは、必ずしも水準として劣ることをストレートには意味しない。ただ、全県区向きとは思えないのだ。

私は『47都道府県の政治地図』(啓文社)という本を出して、国会議員の方々から応援に地方にいくときの必読書というような評価もいただいているが、そこでは、過去の選挙の経緯も細かく分析した。

写真AC:編集部

そのなかで思うのは、自民党の場合、野党に比べても、衆議院議員のほうに良い人材が偏在していることだ。もちろん、衆議院優越が憲政の伝統であって、首班指名権も不信任の権限も衆議院だけがもっているのは動かせない。

しかし、現実には、①選挙制度上も、参議院の方が野党に有利な制度になっており、与野党逆転の可能性は参議院の方が確率が高くねじれ国会となって国政はマヒしがち、②解散がある衆議院と違っていったん選ばれると6年間挽回できない、③定数が衆議院より少ないので、一人あたりの重みはむしろ衆議院より重いのである。

ところが、個々の政治家は衆議院議員になりたがる。なぜなら、閣僚になるチャンスがよき大きいし、参議院ではボス支配が続いており、政策的に優れた能力をもっていても活躍の場は与えられにくい。

さらに、選挙では、人口が30万人くらいが標準の衆議院に比べて、選挙区が全国だったり、全県だったりするのでコストがかさむ。そこで、地方議員の手助けを得るのが手っ取り早く、たとえば県議会の古手議員など自民党の組織を使っていちおう必要最小限の選挙活動をして、固い自民党支持層を固めるのに向いた候補者が多い。

しかし、これは、浮動票をとるには向いていない。

そこで、自民党に逆風の選挙では、「華がある」野党系の候補が優位になることが多い。

今回の選挙で、産経新聞の調査で野党有利とされているところをみると、沖縄はあいかわらずオール沖縄という怪しげな烏合勢力の支配下にあるので仕方ない。岩手も小沢王国を崩すのは容易でない。新潟は忖度発言で国交副大臣を辞任した現職に対して、東京大学出身で子どもや女性の権利のために活動してきた女性弁護士。

長野は野党系の羽田雄次郎(羽田孜首相の子)に挑戦するのが、小選挙区で落選して比例復活もできなかった元代議士。秋田は自民は元県議の現職だが、元知事が義父、夫が代議士で早大での美人妻。愛媛は自民党が男子、野党が女子のアナウンサー対決だが、知名度はアナウンサーとしても野党が上だし、代議士経験もある。

接戦区も含めて、野党のほうが空中戦に強そうな浮動票をとれる候補を並べている。それなら、自民党の候補がダメなのかといえば、必ずしもそうでなく、地道な選挙区活動が大事な衆議院の候補者としてなら問題がない人が多い。

そこで、ひとつ考えられるのは、衆議院と参議院の入れ替えだろう。そのためには、参議院の独立性をある程度、犠牲にしても閣僚などの枠を増やすこと、党の資金配分を参議院により厚く配分し、また、一般的な知名度が高まるような活動をさせることではないか。

たとえば、林芳正元文科相などなんとか衆議院への鞍替えを狙っているが、閣僚にも首相にも衆参で待遇に差をなくして参議院を重視した方が、自民党の議席確保の観点からは有利なはずだ。

また、知事から参議院への転身というのもより一般化するといいと思う。

八幡 和郎
八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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