ギャンブラーが失踪した場合の家族の対応

2019年07月11日 06:00

昨日は、家庭内で起きるギャンブラーの暴力や窃盗に対し、警察が介入してくれないので、家族は見捨てられている…という記事を書き、その現実のすさまじさに各方面で驚きの声を頂きました。

警察が介入してくれない!日本の家族間の修羅場

はい、そうなんですよ。驚きますよね。まさに現在公開中の映画「凪待ち」が私たちの日常なんです。

けれども「逆もまた真なり」で、ギャンブラーが家族の心配をよそに一切音信不通…という場合もあります。家族会や自助グループにご家族が繋がってきたら、私は「一応捜索願をだしたら?」と伝えています。実は、家族に対して暴れまくっているギャンブラーもいれば、この「失踪ギャンブラー」も実に多いのです。

写真AC:編集部

ギャンブラーは多重債務のため、金融機関だけでなく友人や親類縁者、会社関係にまでお金を借りていたり、
はたまた業務上横領などを働いている場合もありますから、コミュニティに居られなくなり失踪します。

こうなった時に、見極めは難しいのですがやはり「本気で死んでしまうかもしれない」という切羽詰まった状況もあるので、その場合には、捜索願を出す際にも、少し大袈裟なくらいに警察に危機的状況だということを伝えて貰います。

私たちが「これは本気で死ぬ気かもしれない」と思うケースは、

・何度も自殺未遂をしている
・重篤なうつ病があり何年も苦しんでいる
・いつもとは違う別れを告げるようなメールやメッセージが来た

というような場合です。もちろん一概には言えないので難しいですが、こういう案件は要注意しています。

「死んでやる!」と脅すギャンブラーは多いので、全部が全部そんなに家族が深刻に受け止めていたのでは、
一歩も前に進めなくなってしまいますので、ある程度受け流す必要もあるし、実際には自殺には至らない場合が殆どなのですが、とはいえギャンブラーの自殺率は健康な人の20~30倍あると言われているので我々も苦しむところです。そして実際に毎年自殺してしまう仲間達がでるのです。

なので「これは本気で危ないかも…」と思った場合は、
警察が本気で探してくれるよう、切羽詰まっていることを必死に訴えます。すると必ずしも全部の警察署ではないですが、積極的に探してくれる場合があります。

また「失踪ギャンブラー」は車上生活が得意です。
地方だと駐車場代もかからないので、車中泊で何年も過ごせてしまったりします。ただお金に切羽詰まっているので、その車が車検切れだったり、自賠責切れだったりすることも多々あります。

この場合は、事故になったら大変なことになりますから、警察にその旨をしっかり伝え、一刻も早く捕まえてほしいと頼みこみましょう。

その他のケースでは、失踪してしまった場合、これを自立と割り切ってほうっておくという手立てもありますが、一度は捜索願を出しておくと、安否が確認できます。

捜索願を出しておくと、例えば、

・自転車泥棒などの比較的な軽微な犯罪
・運転免許更新
・交通違反

などで、ひっかかり安否がわかります。但し、免許更新や交通違反では親への連絡を本人が拒否すると、連絡して貰えないようです。

また、レアなケースでは捜索願をだしたら「本人が刑務所に入っていた」というケースもあります。
但し、これも担当者の胸三寸のような不思議な扱いで、どうもそうらしいと匂わせるような伝え方なんですね。

私が関わった事例では「捜索願なんかよく出せたもんだ。そんなんだからお前の息子はこんな風になるんだ!」
などと怒りだしたので、なんとなくわかった…というものでした。

そしてもちろんどこの刑務所に居るか?までは分からないので、国内の刑務所に手紙を出しまくって突き止めたということもあります。その後、刑務所に面会に行き、出所の際はそのまま回復施設に繋ぎました。

なんかこの辺は捜索願と個人情報の扱い方の違いなのでしょうか?
グレーなまま取り扱われているというか、警察署によっても全然対応が違うんですよね。

ただ捜索願を出しておくと、こうして安否がわかるので、警察から連絡が来て、介入してみることも可能になります。また免許更新に来る場合などは、無事どこかで自立して生きていると確認できるわけですから、そうしたら捜索願は取り下げましょう。

こうして全国でギャンブラーの誕生日の頃、安否確認した家族がホッと安堵のため息をついています。

「失踪ギャンブラー」への対応も、是非支援に関わる方々にご理解頂けると助かります。
そしてどうか警察でも、危険度が高い案件に関してはスピーディにご協力頂けますように。


田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト

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公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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