文大統領「二度と日本に負けない」

文在寅大統領は2日、日本政府が韓国を輸出優遇対象の「ホワイト国」から削除することを閣議決定したことが伝わると、その4時間後、国民に向かって特別演説をし、日本の制裁が不法なものであり、絶対に正当化できないと強調する一方、日本の無謀な決定に対し、国民に向かって「我々は二度と日本に負けない」と檄を飛ばした。

韓国大統領府FBより:編集部

韓国聯合ニュースの上記の記事を読んで、ちょっとしたカルチャー・ショックを受けた。66歳の一国の大統領が隣国に向かって「我々は二度と日本に負けない」と表明したのだ。サッカー試合で韓国ナショナルチームが日本チームに惜敗したからではない。

日本政府が2日、輸出管理上の優遇措置の「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定したからだ。日本が隣国にどのよう待遇を決めるかは本来日本側の判断だ。韓国が批判したり、不法と叫ぶ問題ではない。多分、韓国大統領はそのことをよく知っているはずだが、その大統領が「我々は二度と日本に負けない」と強調し、隣国に激しい敵愾心を露わにしたのだ。

日本と韓国は地理的に最も近い隣国同士でも、歴史、文化は全く異なっていることを知っていたが、「韓国はやはり普通ではない」といった悲しい思いがした。隣国に向かって激しい敵愾心を表明する文大統領は反日では確信犯なのだろう。先ず、日本嫌いがあるから、どのような出来事、事象に対しても反日感情が生まれてくる。その反日感情を粉飾するためにいろいろな理屈が後から付いてくる、といったパターンではないか。

文大統領は、「韓国政府と国際社会の外交的解決努力を無視し、状況を悪化させてきた責任が日本政府にあることが明確になった以上、今後起こる事態の責任も全面的に日本政府にある点をはっきりと警告する」(聯合ニュース)とまで言い放っているのだ。一種の戦争宣言のような攻撃性を含んでいる。

日本政府は韓国のホワイト国除外処置は純粋な貿易上の規約に基づいた処置と説明してきたが、文氏は今回の日本政府の決定が韓国大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じた強制徴用訴訟に対する「明白な貿易報復」と受け止め、「正義は自分にある」といった高姿勢がみられる。

問題は、しかし、事象に対する受け取り方、解釈の相違ではない。文氏の思考世界にはまず、反日、日本を許さないといった一方的な憎悪がある。解釈や受け取り方は否応なくその影響を受けるから、自身の思考に問題があること、不合理性には気が付かない。容易に正当化できるわけだ。

韓国人は勝敗に拘る。スポーツの世界でも敗北を潔く受け入れない。五輪大会で審判に度を超えた抗議をするのは韓国人選手が多い。あたかも、勝利以外受け入れられない、といった激情を感じる。第2次世界大戦では韓国は日本軍と一緒に戦い、敗戦したが、終戦直後、「韓国は戦勝国だ」と主張しだしたことを思い出す。

「日本には二度と負けたくない」という文氏の発言は、負け癖がついた選手たちを鼓舞するサッカーコーチの悲痛な叫びのように響く。同時に、文氏の反日感情が如何に中途半端なものではなく、根が深いかが分かる。勝敗に淡白な日本人にとっては恐ろしさすら感じるのだ。

度重なる不法な反日言動に忍耐してきた日本はようやく相手に目を向け、刀の鞘に手をかけた。相手は「2度と負けたくない」と宣言し、憎悪を露わにしている。残念ながら、どちら側に理があるか、と解説している時は過ぎてしまった。日韓の本来の敵、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、日韓の争いがデスマッチとなることを内心期待しているはずだ。

ウィーン発『コンフィデンシャル』」2019年8月5日の記事に一部加筆。