N国党がNHKをぶっ壊す前にやるべきこと --- 中村 哲也

2019年08月27日 06:00

N国党が、存在感を増している。受信料への不満や不公平感を背景とし、今後も、メディアへの露出が支持者を増やし、選挙の度に党勢を拡大するであろう。

編集部撮影、立花氏YouTubeチャンネルより

一方、NHKは、受信料が公共放送の財源にふさわしいとし、法を盾に強面の対処をしているが、NHKが勝訴した最高裁の判決が、皮肉なことに戦略的な対処法を生み出し、SNSなどにより拡散することで、受信料収入が減少、徴収コストが増える負のスパイラルへ落ち込む危険をはらんでいる。

私は、スクランブル化によりNHKが本当にぶっ壊される前に、受信料を徴収せず、かつ、公共放送を維持する体制にNHKを移行すべきと考える。

その方法は、ごく簡単で、法律を改正し、CMを解禁すればよい。もちろん、民放と同じでは、広告主の意向が放送内容に反映されてしまう。公共放送として維持するための工夫として、NHKがCMの時間枠を作り、独立機関がその枠で広告収入を得て、その収入をNHKの予算とする。この独立機関や広告主などがNHKの放送内容に関与することを法律で禁止し、その実効性を担保する仕組みを作ればよい。

NHKも、その放送の中立公正を確保するため、既存の経営委員会や放送番組審議会を機能強化するなど、日銀法を参考に、日銀以上の対応を行う。

たったこれだけのことで、受信料を徴収せず公共放送を維持できる。

さらに、NHKは多くの優秀な職員を抱え、番組作成能力は非常に高く、過去の優良なコンテンツが膨大にある。これらを独立機関が活用し、独自に、あるいはユーチューブなどの媒体を通じて流すことで、放送以外でもかなりな動画広告収入が得られる。動画広告以外にも、各種SNSにも、優良なコンテンツを提供することで、広告収入は上積みできる。

現在、NHKの受信料収入は約7,000億円、徴収コストは700億円である。東京キー局の広告収入とNHKの視聴率から考えると、3,000億円程度の放送による広告収入が見込まれる。インターネット動画広告市場は現在2,000億円程度であるが、今後5年で倍増も予測されているので、NHKには1000億円を見込んでもよい。その他のインターネット関連広告でも、市場規模を考えると同額の1,000億円程度が見込まれるのではないか。広告収入トータルは、5,000億円程度というのが私の試算である。

コンテンツビジネス以外にも、過去、電電公社からNTTへの民営化では、各種の戦略的な子会社に優秀な職員を送り、親会社以外からの受注を拡大し、グループ全体として収益を増やす取り組みがされたように、NHKも同様に、保有する不動産や人的資源、各種ノウハウを徹底的に活用することで、収益拡大を図ることができる。また、こうした取り組みの課程で、公益性がなく採算性も低い事業の見直しも主体的に行われるはずである。

スクランブル化では、NHKは立ち枯れてしまうが、この改革は、NHKの贅肉を落とし、国民共有の財産であるNHKのコアな資源を維持できる。国民が本当に望むのはこういう改革だと私は思う。

さて、郵政民営化で抵抗勢力がいたように、NHK改革でも抵抗勢力がある。

以下は、本年7月のパブリックコメント「改正放送法の施行に向けたNHK関係の省令等の整備についての意見募集」に対して、日本新聞協会、日本民間放送連盟が提出した意見の抜粋である。もちろん、これ自体は、現行法を前提とした正当な意見であるが、もし、NHKが改革されれば、ぶっ壊されるのは彼らの方だとわかる。

「常時同時配信の規模、社会的影響の大きさに鑑みれば、その解禁によりNHK のインターネット活用業務は劇的に変化し、これまでとは質的に異なる拡大局面に入ると認識する。放送の「補完」と法定されている同業務の過剰な肥大化を招きかねない状況であり、総務省には今回の制度設計とその運用によって、NHKの業務が放送法、特に受信料制度の趣旨にのっとって執行され、公正な競争を阻害することのないよう厳格に監督することを求める。」(日本新聞協会HPより)

「当然のことではありますが、 NHK本体および子会社、関連会社などがインターネット活用業務などを通じて広告収入やそれに類した収入を得ることは、将来的にも絶対にあってはなりません。NHKグループの経営方針として、本体でできないことを子会社・関連会社が手掛けたり、子会社等の業績や利益を優先するような事業運営は厳に慎むべきであると考えます。」(日本民間放送連盟HPより)

中村 哲也   団体職員(NHK関係ではありません。)

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