混乱必至、軽減税率

2019年09月10日 14:00

官僚の頭脳構造はすべての国民が「理解できなければおかしい」というスタンスにあるところにその距離感を感じざるを得ないものがあります。官僚の作る法律はいかにも抜けがないものを作ったと自負するのですが、それがあまりにも複雑になりすぎて結局運用に支障をきたすことになります。

写真AC:編集部

今回の軽減税率の適用基準については様々なメディアで「これ分かりますか?」的な報道をしています。店舗の最前線に立つ人たちはある程度の理解が進んでいるとしても顧客の方の理解が十分浸透しているとは思えません。

日経に「クイズでわかる軽減税率」というのがあります。私もやったのですが、「正解」になったのがわずかしかありませんでした。恥ずかしいというよりこんなの分からん、というのが本音であります。

例えばウィスキーはダメでウィスキーボンボンは軽減税率、サプリメントはよくてビタミン剤はだめ、みりん風調味料はよくて本みりんはダメなど普通、知らない世界の話であります。しかし、これらは普段買う人が一度でも失敗すれば次からは学習すればよい話なのですが、いまだに分からないのが外食のYES、NOであります。

宅配ビザ、出前のそば、会議室への出前コーヒー、新幹線のワゴンサービス、学校給食は全部軽減税率。一方、社食、自宅にシェフを呼ぶ場合、家事代行、ケータリングはダメなのです。

では自前で食材を買ってきてシェフや家事代行の人に作ってもらうとどうなりますか?多分、軽減税率のはずです。これは労務の提供なのか、材料と労賃を合わせた一括外注なのかの違いなのだろうと察します。また、何がサービスで何がサービスでないかも不明瞭です。例えば宅配ビザは宅配そのものが前提で料金設定されており、宅配料はピザの代金に入っているのです。でも軽減税率です。また財務省は出前、宅配サービスを無料のサービスと捉えていますが、今流行のレストラン デリバリー サービスはきちんと課金されます。出前を無料サービスと定義してしまうところは時代錯誤感が強い気がします。

ではテイクアウトの場合です。標準的なイートインやフードコートでの課税対象は分かります。定義は店側が設置した施設(いすやテーブル)ならば課税対象になるということです。ならば、コンビニの駐車場に車で来て、弁当買って車から自分のイスとテーブルを出してそこで食べたら軽減税率ですね。ハンバーガー買って店の前でしゃがんで食べたら軽減税率になりますね。

私はこんなのは愚策だと思うのです。なぜかといえば取り締まりできないルールを設定することがそもそも間違っていると思うのです。税務調査で店舗に行って軽減税率適用者と不適用者の区別をどう見つけ出すのでしょうか?税務当局が賢いのは知っています。例えばラブホテルの脱税は水道代金で調べるというぐらいですからイートインの座席数から割り出した適正割合ぐらいは算出するのでしょう。しかし、それは膨大なる工数がかかります。つまり、捕捉し、追徴することが現実かどうか、という点にすべてが集約されるのです。

分かりにくいものを作り、役人が「どうだ」と言わんばかりのルール体系を作るのは結構ですが、それを管理し、取り締まる方法がないがゆえに日本は脱税天国になるのではないでしょうか?大手はしっかりしているかもしれません。しかし、飲食絡みの店は中小、零細、個人経営が主力です。

屋台のオヤジが公園のベンチのそばに店を構えればどうなるのかなんて言う話はいくらでも作れてしまうのです。

法律には運用という言葉があります。役人はこの複雑な軽減税率について様々な例を指し示しています。が、それでは作って作りっぱなしと言われないでしょうか?「法律は抜け道を探し出すために作られる」という言葉は私が作ったのですが、これでは抜け道どころか、じゃじゃ漏れになるような気がします。数年たって見せしめのような懲罰的ペナルティを課せられるところがあって「税務署はやっぱり怖い」というお上に逆らえないようにさせるのが行政サービス者たる行為なのか、私には理解しがたいものがあります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年9月10日の記事より転載させていただきました。

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