証券会社の世界的な新潮流 〜「ネオ証券化」で挑む

御承知のように先週は、「米ネット証券最大手シュワブ、株取引の手数料を無料に」(日本経済新聞)とか、「Eトレードも手数料撤廃-米証券業界、競争激化で合併観測強まる公算」(ブルームバーグ)等々のニュースがありました。

先月26日インタラクティブ・ブローカーズ・グループが米国株等の売買手数料ゼロ化を発表したのに対し、今月に入っては先ず1日にチャールズ・シュワブが手数料のゼロ化を発表、2日迄にTDアメリトレード・ホールディングやEトレード・フィナンシャルも追随したのです。

要するに之は、14年12月ロビンフッドが画期的な株式取引用アプリをローンチしたのを皮切りに、本格的に売買手数料無料化の動きが米国で起こり始めたということです。上記挙げた米オンライン証券各社の如くリテールマーケットを支配するような所が、どんどんと手数料のゼロ化に踏み切っているわけです。

翻って我が日本においても実は、先月3日に私が「自己進化と共創による未来の創造」と題して行ったスピーチの中で、「SBIネオモバイル証券を中心としたネオ証券化の推進」の旨を語りました。此のネオ証券化とは、「売買手数料や、現在投資家が負担している一部費用の無料化を図る」ということです。

SBIネオモバイル証券サイトより(編集部引用)

創業から今日までSBI証券に大きな飛躍を齎した主因は、オンラインの同業他社と比して圧倒的に安い手数料でありました。そして今度は本格的にそれを極限値、即ちゼロまで持って行こうとしており、着々とその為の準備をしてきています(添付スライド参照)。

私どもは手数料ゼロであっても、色々なやり方で十分な収益力を確保出来ると考えています。その一つに、売り買いのオーダーをマッチングさせスプレッドを稼いで行くプラットフォームビジネスが挙げられます。また信用取引の量を増やして金利収入を増やすとか、あるいは貸株をやるといった具合に様々を想定しています。

または、リテールオンリーであった我々がホールセールを次々強化し始めた理由も、此の手数料ゼロ化をカバーする収益源として徹底的に育てようとしたからに他なりません。略それに関しても目処が立ってきたということで、大胆な戦略を来年度ぐらいにも打てるものと見ています。

私どものネオ証券化構想が具現化する時、顧客数が膨大に増える可能性があります。ですから、サーバー等々システム関係の投資もしておくよう指令を出し、之も既に動き出しています。

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