内閣府「人工知能ホスピタル」プロジェクト⑦

頭がボーとした状態で飛行機に乗り、Wi-Fiから遮断された機内に15時間もいたので(今時珍しいWi-Fi設定のない飛行機だった)、台風19号に関する被害状況がここまで大きいとは思わなかった。帰国後は惰眠を貪っていたが、夜になってニュースを見るとその被害の大きさに驚いた。

メキシコのホテルを発つ前の情報では、被害は小かったが、1日少しで被害の状況の深刻さに驚くしかなかった。メキシコで見たCNNニュースで再三再四今回の台風のことを報道していた。シカゴにいた6年間で日本の台風のニュースなど見たことがなかったので、不思議に思っていたが、経験したことのないような台風だった。

一部の地域ではまるで津波の被害のようだった。私が受けたメキシコでのストレスなどちっぽけなもので自分が恥ずかしいし、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げると共に、早く復興することを願っている。

そして、本題に戻るが、海外で実装化されつつある人工知能機能の例を、今年発表された3つの論文をもとに紹介する。まずは、心電図上の不整脈を人工知能が専門医と同じレベルで判読できるとした論文だ。この論文では、心電図を12パターンの不整脈に分類することが、かなりの精度でできると書かれている。

次は、日本では重要ではないが、アメリカでは社会問題となっており、大統領も注視している医療用の麻薬に関連するものだ。医療用麻薬の過剰摂取は呼吸停止あるいは無呼吸を引き起こす。この呼吸異常をウエアラブルな装置が察知して救急搬送システムに送るようなモデルケースができたという話だ。これらの例から明らかなように、コンピューター、IoT、人工知能の進化によって、医療の在り方が今変わりつつある。

また、病理診断を97%の精度でできると紹介したのが、下記の図だ。これはがんで有名なニューヨークのがんセンターから報告されたものだが、3分の2は人工知能だけで識別可能であると述べられている。これが実用化可能レベルかどうかを、米国のAI専門者に尋ねたところ、教師用データ(答えの分かっているデータ)で開発し、同じデータで人工知能が解析しているので、オーバーフィッティングの可能性があるのではと疑問を呈していた。

利用したデータで作り上げた解析システムを、利用したデータに当てはめると、本来の性能よりも優れた結果がでることをオーバーフィッティングと呼ぶが、全く別の大量の病理データでどの程度うまくいくのか評価する必要がある。しかし、精度は確実に実用化レベルに向かっている。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2019年10月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。