災害対応など

2019年10月19日 06:00

石破  茂 です。
台風19号の甚大な被害から我々は大きな教訓を得て、今後に資する努力をしなくてはなりません。被災された方々の苦難に思いを致し、対応に当たっておられる全ての方々のご労苦に深甚なる敬意を表します。

陸上自衛隊HPより:編集部

地震や台風など、これほどまでに災害が頻発するのはかつてない事態であり、世界に例を見ない少子化・高齢化と人口急減に加えて三重の国難に直面しています。

日本の災害対応体制は、伊勢湾台風を受けての昭和36年(1961年)の災害対策基本法がベースとなっています。その後、累次改正は行われているものの、国と地方、或いは民間との責任分担の見直しや自治体の対応能力の向上、復興庁を発展的に改組させた防災専門省庁の創設などを含めた抜本的な見直しが必要です。

全国知事会なども要望している新組織の創設に対し、政府は「平時から大きな組織を設ける積極的な必要性は見出しがたい」として一貫して消極的ですが、「今のままで対応は十分に可能」「屋上屋を重ねることになる」「平時においてその組織は何をするのか」などという理由に強い説得力があるとは思えません。そもそも平時から備えることこそが必要なのですし、「大きな組織」と決めつけるのも早計でしょう。

災害対応は一義的に地方自治体の責任とされていますが、そうであるならば国はその能力の向上と普遍化を図らなくてはなりません。被災地自治体の首長や職員が知見も能力も劣っていたので大きな犠牲が生じてしまった、では済みません。

地方創生担当大臣在任中にワシントンDCでアメリカ連邦緊急事態管理庁(FEMA)の長官やスタッフと議論する機会を得たとき、「FEMAは強大な権限を行使するのではなく、地方の首長や議員、職員を教育し、能力を高め、災害対応の装備を整えることが大きな役割である」と語っていたことが印象的でした。災害のある度にうまく対処できた例、できなかった例などが報道されますが、これらの経験はその都度に非常に貴重なものであり、その共有や伝承も図っていかなくてはなりません。

かつて国土庁に存在していた「防災局」はそれなりに恒常的な組織でしたが、今の内閣府防災担当は各省庁から概ね2年の期限で出向した職員約100名で構成されており、いかに彼らが優秀で懸命に働いていても人数が決定的に足りず、経験や知識の蓄積と伝承に難があることは明白です。

防災担当の恒常的な組織の長には国務大臣を戴き、大臣は専門的な知識と経験を有する者(民間専門家や学者など議員以外の方も含む)が内閣改造や政権交代に関わらず長期にわたって務める、という運用も検討に値するのではないでしょうか。反対論も数多くあることはよく承知しておりますが、虚心坦懐に検討してみることが必要です。

なお、防災省については水月会議員による政策論集「水月会の日本創生」(新講社刊・2018年)に収録されている赤澤亮正代議士の講演「新科学技術立国論 防災省創設のすすめ」が簡にして要を得たものですし、河田惠昭京大名誉教授の「日本水没」(朝日新聞出版・2016年)も示唆に富むものです。

近年の大型台風の頻繁な発生は、海水面の温度上昇が原因のひとつとされていますが、潜水艦20隻にポンプと送水管を装着して水面下数十メートルの低温の海水を海面近くに放出することで海面の水温を下げる技術は、三重県桑名市の会社が既に特許を取得しているそうです。

そもそも危険なのではないか、自然環境に人為的に手を加えて災害がかえって大きくなることはないのか、降雨によって利益も受ける各国農業などへの対応をどうするのか、漁業などへの影響はどうなるのか、等々多くの議論を呼ぶことでしょうが、堅牢な潜水艦を無人化することで危険の低減は可能ですし、そもそも地球温暖化自体、人間が自然に手を加えてきたことに起因するものではないのでしょうか。

海面の温度を低下させるのはごく一時的なものなので、漁業に与える影響もそれほど大きくないかもしれません。武装を撤去した各国の退役潜水艦が共同して地球と世界人類のために活動するような構想は、子供の頃に夢中で読んだ小沢さとる先生の「サブマリン707」や「青の6号」をどこか彷彿とさせます。

雨を降らせる核となる粒子をミサイルで台風に打ち込むことによって、雨を早めに海面に降らせてしまうことも技術的には可能なのだそうで、中国では既に行われているとの指摘もあります。

このような、台風を制御する技術は過去に多くの科学者たちが真剣に検討してきたことなのでしょうし、今日まで具体化がなされていないのには当然それなりの理由があるのでしょうが、荒唐無稽と片付けることなく、ここでもう一度検討してみる価値は大いにあるように思います。

週末から来週初めにかけては、19日土曜日が第12期香川県民文化大学講座で講演(午後1時半・香川県民ホール・高松市)。

20日日曜日が連合三田会地方創生シンポジウムで講演とパネルディスカッション(午前11時・慶応義塾大学日吉キャンパス第4校舎独立館)、丹治智幸福島県議の新世代ミーティングで講演(午後5時・福島市内)。
21日月曜日が宮城県議会議員選挙の街頭演説会(宮城県内各地)。
22日火曜日(祝日)が即位礼正殿の儀(午後1時・皇居)、日本青年会議所「AIとHuman Rights-新しい憲法の論じ方」意見交換会(午後3時・青年会議所会館・千代田区平河町)、という日程です。

昭和47年(1972年)からの高校3年間と大学の教養課程2年間を過ごした日吉に行くのは本当に久しぶりです。校舎も多く建て替わり、駅も地下化されたと聞いていますが、ほぼ半世紀前の雰囲気が残っていることを期待しています。

週末はまた悪天候となるようです。皆様お元気でお過ごしくださいませ。


編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2019年10月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。

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石破 茂
衆議院議員(鳥取1区、自由民主党)、

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