文在寅と会って良かったと思うVIPは誰もいない

2019年10月23日 16:01

来日中の李洛淵(イ・ナギョン)首相が安倍首相と明日(24日)、会談するがおおいに期待したい。朝日新聞などは文在寅大統領となぜ会わないと思慮もなくいっているが、会わないのには理由がある。

官邸サイトより:編集部

それは、文在寅が会談しても無益な人物だからだ。会ったらおべんちゃらはいい期待は持たせるが、そのあとフォローがないどころか信用したら火傷するだけなのだ。それは、トランプ、金正恩の酷評ぶりでも明らかだし、習近平もプーチンも信用しているように見えない。

普通なら知日派といわれる李洛淵は、かえって韓国内の反日派から足をすくわれるところだが、いまや、大統領も世論も頑張ってくれという雰囲気だから存外、成果があるかも知れない。

ところで、拙著『ありがとう、「反日国家」韓国 – 文在寅は〝最高の大統領〟である!』(ワニブックス)が週末に発売される。

ここで、後書きで書いたことを紹介しておきたい。

韓国大統領府公式サイト

「日韓基本条約」と「請求権協定」は、日本に有利で軌道修正が必要だというのが、韓国の言い分らしい。文在寅大統領は、それを前提に大法院長官に自分の陣営の息のかかった人物を任命して条約を踏みにじる判決を出させた。

たしかに、各種事典などをみると、日韓双方で強い反対運動があったとか書いていて、韓国側の主張ももっともな気になる。しかし、当時中学生だった私の記憶でも当時は李承晩ラインで拿捕された漁船民を人質に取られて、かなり悔しい思いで調印した。

歴史について極端に執拗で恨みを膨らませていく韓国人と、良いことも悪いことにも忘れっぽい日本人とは好対照だ。本書は、お人好しの日本人のために、日韓でなにが議論され、日本側がいかに譲歩して現在の関係があるか理解してもらうために書いた。

どこの国でも、国民に歴史を教えるときには、先祖たちが何を主張してきたか、これから何を主張すべきか国民の共通意識とすることをめざす。ところが、戦後の日本では、そういう意識が欠如している。歴史は学会のボスたちの左翼的な思想信条によって書かれ、日本政府がなにを主張してきたか教えようともしない。

さらに不都合なことに、過去の問題について、日本政府自身が自分たちの認識をきちんと整理すらしていない。また日韓問題では、日本の専門家のほとんどは、日本でなく北朝鮮や韓国の左派勢力の肩を持っている。さらに、日本で韓国語ができる人のほとんどは在日系の人たちだという特殊事情まである。

これでは、「韓国はちゃぶ台返しをする気か」と怒るだけで、「それなら日本側も交渉の出発点に立ち返っていいたいことがある」と反撃することもできない。そこで、私なりに議論を整理してみたのが本書である。

写真AC

さて、理想の日韓関係はどういうものなのか。米中2大国という横綱に挟まれたアジア諸国は歩調をあわせ、覇権主義を否定しつつ、人権・民主主義・市場経済が尊重されるように協力していきたい。そのときに、大関である日本と関脇くらいの韓国は、仲のいい兄弟のように協力していけるはずである。

だが、現実には、韓国で大統領が代わるごとに日本は土下座して謝って欲しいというようではやってられない。歴史認識では、韓国がもう少し冷静になって欲しい。

私は「日本は申し訳ないなどと思う必要は何もない」というほど勇ましくないが、第三国の人が聞いて、日本側は理に適っていると思ってもらえるような主張をしっかりしたいと思う。

どうせ、韓国人になにをいっても納得してくれないだろうが、第三国の人たちも日本の方に分があるといえば、少しマイルドになってくれると期待したい。韓国も同じような態度で客観性のある主張をしてくれれば対話が徐々に成立していくと思うし、将来において、共通認識も生まれてくるだろう。

あわてて、共通教科書とか欲張るべきでない。フランスとドイツのあいだではそういうこともしているが、それは、ドイツだけでなくフランスも非常に譲った上でのとても長い時間をかけての成果なのだ。

それは、1990年代のはじめの東西ドイツ統一とEUの発足の時代に、私がパリに駐在して南北統一と日韓関係の将来の参考にすることも念頭に観察し、帰国後は当時の通商産業省で半島問題の責任者だったのだから、少し自信をもって論じられるテーマだ。

それから、日韓両国民に提案したいのは、自分たちの国の過去でなく、現在を誇るべきということだ。日本も韓国も世界にあって得ている名声は、近現代の成功に起因する。

明治維新と戦後の高度成長、漢江の奇跡と民主主義の定着は世界史的な偉業だ。それに比べて、それ以前が中国と比べて世界史的な重要性をもっているわけでない。

ところが、日韓両国とも近年の成功を誇るよりもともと立派な国だったというほうに熱で、それぞれ過去に受けた迷惑や施した恩恵を語るのに熱心だ。日本人でも韓国人も成功者は自家が没落名家だったといいたがるが、いい趣味ではない。

互いに近代の成功者であること、極東を世界でもっとも繁栄したセンターに協力して押し上げた仲間であることを誇るのに熱心になれば、日韓両国民の気持ちはひとつになると思う。

八幡 和郎
八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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