スポンサーファースト、IOCセカンド、アスリート〇〇

2019年10月30日 16:00

来年の東京オリンピックのマラソンと競歩の開催が東京ではなく札幌になると発表されてから、東京都の攻防が続いています。
札幌開催が発表されたのが今月の10月16日。
正直かなり唐突で私も大丈夫なの?って驚きました。チケットはすでに発売がはじまっており、コース設定や観客、ボランティアなどなど様々な意味での準備、これ相当大変だと思います。

一昨日のテレビ報道では、スタートやゴール地点を札幌ドーム、札幌路大通り公園、円山総合競技場などを議論してると報じていました。開催まで1年を切っているこの時期にと思いました。

先週25日には、東京都庁で小池百合子知事と国際オリンピック委員会(IOC)副会長兼調整委員長のジョン・コーツ氏が会談しましたが、平行線をたどりました。

東京都は二つの競技開始時間を早朝にすることなどを主張しましたが、コーツ氏は「すでに決定したこと」と主張したんです。この両者に共通する主張があるとすれば、それは「どうすれば少しでも暑さが和らぐだろうか」ということです。

誰が考えても2020年東京オリンピック開催期間の7月24日から8月9日の東京は暑いに決まってる。これはアスリートじゃなくてもわかってますよね。以前からも、「なんでこの時期に?」「なぜ涼しくなってからではなく、夏真っ只中で開催するの?」と思っている方もお勢いらっしゃると思いますし、アスリートファーストじゃなかったって感じる人も多いでしょう。

札幌開催を発表したとき、IOCのトーマス・バッハ会長は、「全てはアスリートの健康と体調を守るため。重要なステップだ。我々は常に選手の健康を祈念している」とアスリートファースト的な理由を述べていました。ところが、東京都の早朝開催案に対してコーツ氏は「日の出前の時間帯にヘリコプターでレースを空撮できない」と反対理由をあげていました。

「あれ、アスリートファーストと矛盾してね」って私は思いましたが、実はこここそが本質的な問題なんです。と言うのもなぜこんな暑い時期に開催するのかというと、テレビの放映権という大問題があるからです。

というのも、IOCの収入の実に47%がテレビ放映権料で賄われています。例えな、アメリカ三大ネットワークの一つ、NBCは2032年まで夏季・冬季五輪のあわせて6大会をアメリカで放映する権利を約8500億円で取得しました。ヨーロッパ全土で2024年までのオリンピックの放映権を獲得したのはケーブルテレビ大手のディスカバリーコミュニケーションズ、こちらは1680億円です。

要はこれら欧米のテレビサイドが7月中旬~8月下旬の夏季オリンピック開催を求めているんです。なぜかというと、アメリカの人気スポーツアメフト(NFL)は9月上旬から、八村塁が活躍するバスケットボール(NBL)は10月中旬から、そしてヨーロッパのサッカーは8月中旬からそれぞれ始まり、これら人気スポーツと重ならない時期に、オリンピックを放送する事で視聴率が稼げるという仕組みだからです。

だって考えてみてください。1964年の東京オリンピックは10月10日~24日に開催されたんですよ。今頃だったら季節がいいじゃないですか。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年10月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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中田 宏
元衆議院議員、前横浜市長

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