高齢者医療の自己負担:耳がいた〜いお話。でも現実どうにかしないとね。

2019年11月01日 16:00

高齢社会に伴って、社会保障費の増大は以前から問題になっていましたけれども、先週14日、経済団体が自民党に高齢者医療の自己負担を1割から2割負担への引き上げを提言しました。また9月9日には大企業の健康保険組合で組織する「健康保険組合連合会」も同様の提言をしています。

私達も体が不調のときには医療機関で受診をするわけですけれども、現在のところ医療機関の受診には、年齢ごとに窓口での自己負担額が決まっています。負担割合は、私を含む現役世代、いわゆる6歳以上の就学児から69歳までの一番幅広い層が3割負担です。そして一般的にはリタイヤ世代ともいえる70歳から74歳まで、また6歳未満の未就学児は2割負担です。さらに後期高齢者と言われる75歳以上は1割負担になっています。ただし、70歳からの2割負担層でも75歳以上の1割負担層でも、現役並みの所得がある方は3割負担です。

冒頭にお伝えした経済団体からの提言は、75歳以上の負担割合を現在の1割から2割に引き上げること、さらに医療機関を受診する全ての患者に一律100円程度の定額負担を新設すること、風邪薬や湿布薬など市販品で同等商品があるものについては保険適用から除外することなどが盛り込まれていました。

実は後期高齢者の医療費の約4割は現役世代の負担で成り立っています。ですから、先ほどのように、後期高齢者の負担を1割から2割に引き上げると、5年後に現役世代が負担する拠出金は1割負担と2割負担では2600億円減少する効果があるそうです。

こうした形で医療機関の負担率を変更すること、あるいは全員が窓口で一律100円負担することには二つの効果があります。一つは言うまでもなく医療費財源にとっての収入増加と受診抑制です。要は、何でもかんでもお医者さんに行くことに歯止めがかかること。これは以前に兵庫県三田市の取り組みでご紹介しました。しかし、一方では我慢してしまうという副作用もあります。それでもこうした制度議論は大いにやるべきだと思います。現役世代がどんどん減っていく中で現役世代に頼るのはこれ以上無理だと思うからです。

やっぱり制度があれば、当然その制度に人は依存して生きていくようになりますよね。ですから三田市は無料にしていた中学生までの医療費を、窓口で1回当たり400円払ってもらう制度に変更しました。制度変更によって負担が増えた該当者約9200人への補填額は、ひと月あたり520万円も減少しました。

やはり、「あるから使う」とか「人の金だから行く」とかを続けていたら駄目なわけで、結局は自分たちの首を絞めることに繋がると思います。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年11月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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中田 宏
元衆議院議員、前横浜市長

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