財政制度分科会(平成30年10月)の防衛予算に関する資料を読む(11)

財務省の財政制度分科会(平成30年10月24日開催)において防衛予算に関しても討議されまた。その資料を財務省がHPで公開しています

Wikipedia:編集部

引き続きこれについて重要な指摘とその解説を行います。

防衛監察本部の更なる活用①(P50)

○ 通常、監察は非違行為に対するものが主であるが、防衛監察本部においては、訓令に「予算の適正かつ効率的な執行」と記載されるなど、非違行為のみならず、不正につながる行為についても対応できるようになっている。

財務省は防衛監察本部を装備調達の適正化にも活用すべきと提案しています。以下はその根拠となる法令です。

防衛省設置法(昭和29年法律第164号)(抄)
(防衛監察本部)
第29条 防衛監察本部は、職員の職務執行における法令の遵守その他の職務執行の適正を確保するための監察に関する事務をつかさどる。
防衛監察の実施に関する訓令(平成19年防衛省訓令第57号)(抄)
(定義)
第2条 (略)
(1)防衛監察 防衛省の他の機関から独立した立場において、予算の適正かつ効率的な執行及び法令遵守の観点から防衛省における職務執行の状況を厳格に調査し、及び検査することにより、職員の職務執行の適正を確保することを目的とした防衛監察本部が実施する監察をいう。

防衛監察本部の更なる活用②(P51)

○ 平成18年の防衛施設庁における入札談合事案等を受けて防衛庁内に設置された「防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策に関する検討会」が公表した報告書において、監査・監察を行う独立性の高い組織を新設すべきとの提言がなされたことを受け、平成19年9月に防衛監察本部を設置。
※報告書:「防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策報告書」(平成18年6月16日)

○ 防衛省のシステムについては、一部の仕様書の記載ぶりが事実上国内大手企業しか応札できない内容であったり、システム関連の技術支援費の入札において特定企業による一者応札が続くなど、不自然な状況が見られるところ、防衛監察本部が独立した立場から厳しくチェックすることが必要ではないか。

○ このため、防衛監察本部の技術的知見を抜本的に高める取組みが必要ではないか。

現状の取組
・ 防衛監察本部は、「情報公開業務及び行政文書管理の実施状況」、「入札談合防止」及び「法令遵守の意識・態勢」について監察を実施(定期防衛監察)。
・ 入札談合防止においては、競争性の拡大を図るため、対象機関の過去3か年分の全契約実績(約50,000件)を対象に一者応札等契約の抽出(約8,000件)を行い、一者応札となった案件を調査し、一者応札の改善が可能と思われる品目を指摘するとともに、対象機関における一者応札改善のための取組及びその実施状況を調査するなどしている。
注1:一者応札における指摘の例として、「モップ等の清掃道具」、「油脂類」との説明あり。
注2:現在、防衛監察本部にシステムの専門家はいない。

防衛監察本部の活用は面白いアイディアだと思います。ただ現状見ると机上の空論でしかないと思います。監察本部には検察などからの出向者が多く専門知識がありません。それに近年の海自のUH-X選定を巡って海幕長が処罰された件をみても独立性を保っているとは思えません。内局の派閥の意向を汲んだ恣意的な調査をしています。この監察本部の報告書は監察本部ではなく、防衛計画課長が書いたのですから語るに落ちる、だと思います。

関連記事:海自ヘリ選定巡る下克上と内局(Japan In-depth連載)
その1その2その3

防衛監察本部をこの目的で使うならば、独立性を高めることが第一、ついで専門知識をもった軍事の専門家、会計の専門家や調達の専門家を招いて陣容を調えるべきでしょう。更に財務省や会計検査院との連携を深めて出向を受け入れるべきです。また中立性を保つために外部の監視委員会を設けるべきです。

■本日の市ヶ谷の噂■
いずも級のNEC製の艦首ソナーは公試で一度使っただけ、以来一度も使用していない無用の長物で、NECへの利益供与に過ぎなかったとの噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2019年11月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。