イギリス総選挙の分析と今後の展望 〜「アイデンティティ」の観点から

2019年12月15日 11:30

イギリスの総選挙が終わりましたが、多くの人の予想を裏切る結果となりました。

ジョンソン首相率いる保守党の地滑り的大勝利、そしてコービン氏率いる労働党の歴史的大敗という結果となったのは既にご承知のとおりです。

これだけの大勝利をもたらしたのは、1つには小選挙区制度の影響があります。1つの選挙区で1人しか当選のできない小選挙区制度は全ての選挙区で僅差で勝利したとしても、結果は大勝利となります。比例選挙区ではありえないことです。

しかし、ポイントは何故、保守党が勝利できたのかという点にあります。

大多数のマスコミが保守党がEUからの離脱という明確な主張を展開したのに対し、労働党はEU問題に関して明確な態度を示せなかった点にあるとしています。確かに、これが分水嶺であったとの主張に偽りはありませんし、私もその点が重要なことは承知しています。

しかし、もう一つの問題はコービン氏率いる労働党のあまりに極端な左派政策が国民に支持されなかった点も見逃してはなりません。増税、国有化等々の政策は、イギリス国民の目にあまりに極端な左派政策と映ったのです。これが歴史的敗因の1つであることは明白です。

さて、それではジョンソン首相率いる保守党はEU離脱を決定し、万々歳ということになるのでしょうか?

私はそれはあまりに楽観的な解釈だと思います。

今回の総選挙のキーワードは「アイデンティティ」です。EUでドイツやフランスに指図されるのではなく、イギリスのことはイギリス国民が決めようというアイデンティティ・ポリティクスだと考えるとわかりやすいでしょう。

しかし、アイデンティティ・ポリティクスは、さらなるマイノリティのアイデンティティ・ポリティクスを引き起こす可能性を秘めています。今回の選挙結果でも、そのことはあきらかです。

詳しくはこちらの動画で説明しておりますので、ぜひ、御覧ください。

政治思想の観点から、今後のイギリスの動きを展望してみました。

岩田 温  大和大学政治経済学部講師
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、同大学大学院修了。専攻は政治哲学。著書に『偽善者の見破り方 リベラル・メディアの「おかしな議論」を斬る』(イースト・プレス)『人種差別から読み解く大東亜戦争』『「リベラル」という病』(彩図社)、『逆説の政治哲学』(ベスト新書)、『平和の敵 偽りの立憲主義』(並木書房)、『流されない読書』(扶桑社)などがある。ブログ『岩田温の備忘録

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