女性の政界進出について考える

2019年12月19日 14:00

世界経済フォーラムが発表した「男女格差報告書」によると、日本の男女格差が大きいという。
対象となった153ヶ国の内、日本は121位であり、G7のなかでは最下位だった。
とりわけ女性の政界進出が遅れているとされている。

この報告書の信憑性はともかくとして、女性の政界進出の問題について考えてみたい。
私は形の上で男女の数を均衡にすることや、無理にアファーマティブ・アクション政策を取ることに懐疑的だ。性急な改革は大きな歪みを世の中に残すと考えられるからだ。この問題を考える際に、参考になるのがシェルビー・スティールの『黒い憂鬱』だ。

著者のスティールは黒人男性だが、黒人に対するアファーマティブアクションを厳しく批判している。結局のところ、優遇政策なしでは生きられないような存在だとみなされるし、また事実、そうした優遇政策に依存する人々が存在するというのだ。

スティールは差別を肯定しているわけではない。だが、無理やりに差別を解消しようとすると「逆差別」の問題が生じてくるというのだ。

すなわち、自己自身の責任を引き受けようとはせず、「私は黒人だから…」という言い訳に逃げ込む人が多くなるというのだ。何度も繰り返すが、実際に黒人であることを理由に差別されたのであれば、それは抗議すべきだし、許すべからざる行為と非難すべきだ。しかし、実際の理由は学力が足りない、努力が足りない等々の自分自身の責任であるにもかかわらず、「私が黒人だから…」という理由で説明し、責任を他者に擦り付けるという現象が生じてくるという。

このような「逆差別」は人種間だけの問題ではないだろう。格差が生じている関係にあるとき、この論法が生まれてくる。

私は日本をそのような状況にすべきではないと考える。

この問題を考える際に、二つのことが重要になってくる。

一つは、女性が政界に進出していくことがそもそも正しいのか、否かという問題だ。
上智大学の三浦教授は「日本だけが取り残されている」と朝日新聞の記事でコメントしていたが、各国が進む方向が正しいとは限らないのだから、日本国民は日本国民でこの問題を考えるべきだろう。

もう一つは、仮に女性の政界進出を促すのが正しいと仮定した上での問題だ。
実際問題として、日本においては、女性よりも男性の方が政治を好む傾向が強いということだ。

政治経済学部政治学科の場合、圧倒的に男子学生の方が多いのではないだろうか?統計を取ったわけではないから正確な数字はわからないが、私の実感としてはそうである。

仮に女性の方が政治に興味を持つ人が少ない場合、性急に女性議員を増やそうとするよりも、女性が政治に関心を持ちやすくする方法を考えるべきだろう。その際に、重要になってくるのが義務教育だ。義務教育の段階で政治に興味関心を抱く女性が増えるような内容を考えることが、結果として女性議員の増加につながっていくはずだ。

社会を変革しようとする際、急進的な変化を求めるのではなく、時間をかけて緩やかな変化を求める。これが保守主義の知恵である。

詳しくは下記の動画をご覧ください。

岩田 温  大和大学政治経済学部講師
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、同大学大学院修了。専攻は政治哲学。著書に『偽善者の見破り方 リベラル・メディアの「おかしな議論」を斬る』(イースト・プレス)『人種差別から読み解く大東亜戦争』『「リベラル」という病』(彩図社)、『逆説の政治哲学』(ベスト新書)、『平和の敵 偽りの立憲主義』(並木書房)、『流されない読書』(扶桑社)などがある。ブログ『岩田温の備忘録

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