こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka
先日、社会はブロガーのちきりんさんが、次のようなツイートをして話題になっていました。
貧富の差が大きなアメリカでさえ、7割以上の15歳が家でも学校でもpcを使ってる。GAFAを生み出すのは、そういう国だってこと。日本はスマホしか使わないので、「GAFAを使って遊び、消費する国」にしかなれない。 https://t.co/U84s6c56Gi
— ちきりん (@InsideCHIKIRIN) December 15, 2019
15歳の子供のPC利用率が日本は世界から見て突出して低く、スマホは持っていてもゲームで遊んでいることがデータから見て取れます。時々、議題にあげられる
「日本はIT後進国」
「日本からなぜGAFAが生まれないのか?」
「スマホが便利だから、PCは必要ない」
を踏まえて、このテーマについてお話をしてみます。
日本人のPC利用率は18歳の大学入学時点に一気に高まると考えれるので、18歳時点だとまた違ったデータになるのかも。問題は親が小学生・中学生の子供にPCではなくスマホを与えてしまっていること。スマホになれすぎると、その後にPCにスイッチングすることが難しくなる。
— 黒坂 岳央@英語多読講師・経営者・作家・講演家 (@takeokurosaka) December 21, 2019
日本はIT後進国
PISA 2018の発表したデータによると、日本の15歳の子供のPC使用率が、極めて低いことが明らかになっています。
途上国以下じゃん。 pic.twitter.com/vJwtvGoXdq
— 舞田敏彦 (@tmaita77) December 10, 2019
15歳といえば義務教育・中学3年生の世代です。その時点で日本は他国にPC利用率で大きく水をあけられていることが分かります。筆者は子供がおり、保育園に通わせていますが、ITの入り込むスキは一切ありません。保育園の連絡帳や、毎月配られるイベントの案内などはすべて手書きです。連絡手段は電話のみ、メールもLineも通用しません。市役所の手続きなども全て手書き提出です。
日本の学校教育現場や、役所の書類などは、筆者が子供の頃とほとんど変わらない「アナログな部分」が色濃く残っています。保育園に限らず、小学校、中学校という場所においても、多くの部分がアナログでの運用が続いていると推測します。
一方、たとえば中国では黒板はすでにデジタル化されています(スマートボードといいます)。
「中国の黒板」って聞いて「どうせボロボロなんだろww」とか一瞬思ってすいませんでした。
想像していたより100倍以上すごかった…。未来すぎだろ…。 https://t.co/3Hz91EFQXx
— 黒坂 岳央@英語多読講師・経営者・作家・講演家 (@takeokurosaka) September 17, 2019
ただし、このデータはあくまで15歳時点のものであることに留意が必要です。日本人のPC利用率は18歳の大学入学時に一気に高まることが考えられますので、18歳時点でのPC利用率のデータをみると違った印象を受けるかもしれません。
日本からGAFAが生まれない理由
もはや国をも凌駕する力を持ったGAFA、最近ではお隣中国でBAT(バイドゥ・アリババ・テンセント)と呼ばれるIT強者グループが誕生しています。日本におけるIT企業は、GAFAやBATなどと比べるとそのスケールや影響力はどうしても小さく見えてしまいます。
これは日本人のIT力の問題というより、起業家が生まれるエコシステムの違いにあるように感じます。GAFAが生まれたシリコンバレーは、「多死多産」であり、GAFA以外にも星の数ほど企業が生まれ、多くは消えていきます。ITという分野の特性上、Winner takes all(強者総取り)となるのですが、その影には消えていった数え切れないほどの企業があるのです。
また、数多くの起業家を輩出するには、エンジェル投資家の存在が不可欠であり、日本にはこのようなエコシステムはなく、起業に失敗したものを待ち受ける末路は明るいものではないのです。
日本からGAFAが生まれない理由は、PCの利用率の低さもあるかもしれません。が、それ以上にビジネスエコシステムの問題と考えます。
スマホがあるからPCはいらない
「”必要”は成長の母」と言われます。日本人の英語力が低いのは、英語の必要性を認識できていないことが主要因であり、PCの利用率が低いのも「PCを使用する必要性」を認識できていないからに他なりません。
PCで享受できる利便性を代替するのは「スマホ」です。iPhoneが流行り始めた頃、「PCの電源を入れなくなった」とか「デジタルデバイスはスマホしか持ってない」というコメントをSNSを中心に見かけるようになりました。今もそれは変わらないでしょう。スマホがあれば、YouTubeも見られるし、ウェブサイトのブラウジングも問題ありません。ショッピングも快適で、ニュースもスイスイ見られます。
が、それはあくまで「消費者」としての立場に過ぎません。YouTube動画を見るのは、スマホで十分かもしれませんが、動画をクリエイトする側はPCは絶対不可欠です。その気になればアプリを駆使して、ある程度の編集も可能ですが、技術的にできないことも残されていますし、何より効率が悪くなります。
また、文章作成一つとっても、スマホには音声入力がありますが、それでもビジネスの現場、たとえば送信先数千人に向けて社内メッセージを送る上では、PCでなければ操作はなりたたないことは容易に想像できます(宛先を数千件分、スマホで入力したり、コピペするのは厳しい…)
消費者に甘んじている間は、PCの必要性を感じないでしょう。しかし、文章を書く、動画を制作する、デザインをする、というクリエイターの立場に立つならPCは今の時代でも必要で、若い時代のPC利用率がそのままおとなになってからのPCリテラシーに直結するのは間違いありません。
筆者はスマホ2台、タブレット2台持っていますが、仕事はほぼPCでしかやりません。というか、PCでしかできないこと、生産性の面でまだまだPCが有利なのです。
親は子供に消費者としか振る舞えないスマホを与えるより、クリエイターになりえるPCを与えるべきではないでしょうか。
黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表