史上最高値を更新する世界の株式市場は来年どうなる?

2019年12月25日 06:00

年末が近づくと、来年の株式相場の見通しが様々な市場関係者から示される。

ナスダック公式Facebookより

今年一年を振り返ると世界の株式市場は、多少のアップダウンはあったものの、株価は基本的に右肩上がりが続いた。

先週20日のアメリカの株価は、米中貿易摩擦の第一弾合意の署名が1月にもできる可能性が高くなったことを理由に、ダウ、ナスダック、S&Pの各指標がそろって史上最高値を更新した。

一方、欧州の株価も、夏以降ドイツを始めとする景気に冷え込みが見られるようになったが、それをものともせず上昇を続け、Stoxx600指数は史上最高値を付けている。

日本でもアベノミクスが開始して以来の長期的な上昇トレンドが続く中で、特に今年秋以降日経平均株価は、年初来高値を更新する日が多くなっている。

こうした状況の中で、米中貿易摩擦の激化やアメリカの景気が来年にはピークアウトしそうなことなどを理由に、もうそろそろ上昇相場も終わりが近づいているという見方も出てきている。

しかし、現実の市場の状況は前述のようにまだまだ強気派に味方しているようだ。よく知られた相場格言を使って言えば「もうはまだなり」で、相場はまだ天井をつけてはいない。

この相場状況の背景にあるのが世界的な超金融緩和とそれが生み出している過剰流動性だ。アメリカのFRBは今月10~11日のFOMCで政策金利誘導目標を1.5~1.75%に維持することを全会一致で決定し、来年中に金利を引き上げることはしないことを示唆した。これは即ち、少なくとも来年は超金融緩和政策を続けるということだ。

また、欧州中央銀行(ECB)は、9月にドラギ前総裁が退任前の置き土産にマイナス金利の深掘りと量的緩和の再開を決定した。これに対して加盟各国の中央銀行関係者から反発が表明され、またユーロ圏の国ではないがスウェーデンの中央銀行がマイナス金利政策から離脱することとしたが、19日に公表されたECBのスタッフ論文では、マイナス金利はまだ相当深掘りが可能という主張がされており、ECBも超金融緩和政策を強化することはあってもやめる可能性は低い。

一方我が日本では、黒田日銀総裁がマイナス金利の深掘りを含め、必要があれば更なる金融緩和をする姿勢を崩していない。

ということで、世界の主要国の中央銀行が引き続き超金融緩和政策を続けるのだから、過剰流動性相場が収まるわけがない。もちろん来年は1月早々にブレグジットが実施されそうだし、米中貿易摩擦もまだ第一弾の合意が見えてきただけだ。しかし、米中貿易摩擦はトランプ大統領が秋の大統領選挙まで支持層の人気取りの材料として使わなければならないので、簡単に白黒の決着はつけずに、紆余曲折を経ながら大統領選挙後まで持ち越していく可能性が高い。

また、ブレグジットもイギリスの総選挙でジョンソン首相が率いる保守党が大勝すると、13日のポンド相場や株価はむしろ上昇したのだから、世界の株価に対する影響はそれほど心配することはないようだ。

結論を言えば、現状のままだと来年もまだ株価の上昇基調は変わらないと思える。しかし、前述の相場格言の続きの部分は「まだはもうなり」と言っている。現在想定されている米中貿易戦争等の不安定要因ではなく、全く想定外の事態が発生して流動性相場という風船に穴が開けられ、風船がしぼんでしまう可能性があることは、常に頭の隅に置いておく必要があるだろう。

なお、本稿は筆者の主観的見解を述べたものであり、いかなる為替、金融商品、商品、仮想通貨の売買を勧めるものではない。投資する場合はリスクを承知した上で、完全な自己責任で行うことをお願いする。

有地 浩(ありち ひろし)株式会社日本決済情報センター顧問、人間経済科学研究所 代表パートナー(財務省OB)
岡山県倉敷市出身。東京大学法学部を経て1975年大蔵省(現、財務省)入省。その後、官費留学生としてフランス国立行政学院(ENA)留学。財務省大臣官房審議官、世界銀行グループの国際金融公社東京駐在特別代表などを歴任し、2008年退官。 輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社専務取締役、株式会社日本決済情報センター代表取締役社長を経て、2018年6月より同社顧問。著書に「フランス人の流儀」(大修館)(共著)。人間経済科学研究所サイト

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