2020年、どうなる北朝鮮の挑発とアメリカの軍事行動

2020年01月04日 11:31

今年、金正恩は異例にも新年の辞を出してない。年末まで4日間も続けた労働党中央委員会の報道文が新年辞の代わりとなった。その主な内容は

  1. 米朝対話は終わった。全ての難関を正面突破する
  2. 新たな戦略兵器の威力を見せかける
  3. 米帝国主義に決死的に対応する
  4. 北経済が厳しいのは米国のせいだ
  5. 北は核保有国として海外に核物質を流出しなかった

という骨子である。全てが脅威と恫喝でありアメリカの譲歩を促している。

朝鮮中央通信、flickr(Skidmore

しかし、アメリカは北が非核化なしで挑発したら待った無しの軍事行動に踏み切る臨戦態勢だ。重要な標的情報は24時間監視中で毎日アップデートしながら標的を視界にとらえている。金正恩自ら設定した昨年末の期限は責任を負うべく大きな負担となってしまった。したがって、重い負担を回避するために、労働党中央委員会の報道文を発表して責任を分散させたと推定される。

まさに北朝鮮が言うところの「トランプ大統領が大統領選挙のために、北朝鮮の核実験とミサイル実験凍結という大きな贈り物を得ながらも、見返りとして対北制裁緩和をしていない」という不満を吐露したものである。北朝鮮が言及する「新しい戦略兵器」は2017年11月に発射した火星15型ICBMを改良した固体燃料使用の新型多弾頭ICBMである可能性が高い。これは米軍のミサイル防衛を難しくする利点がある。

また、建造中の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射可能性も排除できない。米国防総省は、金正恩の誕生日(1月8日)、あるいは金正日の誕生日(2月16日)の間になると予想している。3月の韓米連合軍事訓練の時期や4月15日。金日成誕生日の花火になる可能性も指摘されている。

韓国大統領府サイト

しかし、4月15日は韓国の総選挙日のため、その前に文在寅が金正恩をソウルに招待し南北平和ショーを演出、支持率上昇を図るだろう。だが「3代続く長期独裁殺人政権」と韓国民に刻まれた金正恩のソウル訪問はむしろ文政権崩壊の導火線に火が付く可能性が高い。 故に、北朝鮮は韓国人に成り済ましサイバー情報心理戦を駆使し、韓国総選挙の行方を左右しようとするだろう。

7月24日〜8月9日は東京オリンピック期間であるため、双方が軍事衝突を控えるはずだ。したがって、米軍の対北軍事行動は11月3日、米大統領選挙を控えた9月末や10月初旬が絶好のチャンスになると考えられる。

ブッシュ大統領親子は父の時代の湾岸戦争、息子の時代のイラク空爆時に支持率が90%急上昇した前例がある。そして2017年、トランプは米中首脳会談途中にシリア空爆に踏み切った。2018年には、アメリカ、イギリス、フランスの戦闘機がシリア空襲の際にも中国とロシアの駐屯軍は対空ミサイルで反撃できなかった。アメリカとの戦争に巻き込まれたら中ロの経済が崩壊する危険性があるからだ。

最近、アメリカは中国商品に対する高関税負担を撤廃した。中国は見返りとして米農畜産物の大量輸入に合意し、米中貿易戦争は一段落した。その裏面には米中が北核除去に暗黙的な了解があったという推測も成り立つ。北の核は韓国、日本、台湾の核武装を招く恐れがあり、これこそ中国にとって最悪の事態なのだ。

そして元日、米軍は、イラクを訪問したイラン軍革命防衛隊の将官級トップと一行5人を斬首作戦で除去した。金正恩は失うものが多い将軍様である。先代の巨大な遺産と1男2女の幼子が可愛いなら、命を奪われかねない危険過ぎる冒険を止めることが生き残るために賢明な選択肢だ。

高 永喆
拓殖大学主任研究員・韓国統一振興院専任教授、元国防省専門委員、分析官歴任

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高 永喆
拓殖大学客員研究員、韓国統一振興院専任教授、元韓国国防省専門委員

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