日本の未来、成長維持できるのか?

2020年01月10日 14:00

元FRB議長のアラン・グリーンスパン氏が日経のインタビューの中で日本の成長について一言述べています。

「日本もダイナミズムを失っているが、それは米欧とは異なる別の問題がある。日本は既に人口が減少に転じており、成長率が一段と抑えられている。資本主義システムの面で日本は(技術の革新力などで)まだ力強さを残していると思うが、人口問題がそれを打ち消してしまっている。マネーが社会保障制度に吸い上げられてしまい、民間投資が押しのけられてしまう構造だ。日本は米国以上に深刻だ」

そのあとに「私は率直に言って、日本のデータを注視している。なんらかの含意があるのではないかと考えている」と述べています。含意とは「表面に現れない意味を含みもつこと」(コトバンクより)ですから80年代までの高度成長から急速に変わった日本の立ち位置には深い意味があるのだろうとお考えのようです。

グリーンスパン氏の指摘は究極的には正しいと思いますが、日本はまだまだ対策を打ち出せるのにそれを十分に打ち出せていないと私は考えています。

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

人口減は経済の活力上は確かにマイナス要因でありますが、日本の労働生産性の低さはOECDで36カ国中21位、先進国では最低であります。カナダから日本に行く度に思うのは都市部にはものすごい数の人がいるけれどちょっと外に出ると人の動きが極めて少ない点であります。地方に行けば住宅はあるけれどそこに住む方々の年齢層はアクティブ層とは思えないけれどやむなく仕事をしている方も多いというのが実態ではないでしょうか?

私はここに焦点を当てれば案外日本の成長は維持できる方法はあるとみています。確かに人口はどんどん減っています。19年12月時点で総人口は前年比28万人マイナスの1億2600万人、19年7月時点で15~64歳の生産年齢人口は39万人減の7500万人、一方65歳以上が33万人増の3600万人であります。明らかに高齢化が進んでいます。生産年齢人口も今後やや加速しながら減っていくでしょう。(年間の出生者数が19年で90万人割れですから15~64歳の50年分を掛け合わしても単純計算で4500万人にしかならないのです。)

とすれば日本は抜本的に立ち位置を変えるしかありません。その一つは農業であります。日本はJA(農協)の仕組みがあるのですがこれが「おらが県、おらが村」的発想を色濃くしています。うがった見方ですが、江戸時代までの藩思想で農業生産が日本全国ベースではなく各藩、大名、石高という足かせがあるようにしか思えないのです。それゆえ、農業の効率経営ができない一因になっていないでしょうか?

なぜ、日本に登録されたコメの種類が560種類もあるのか、スーパーに行ってコメを買うのに何種類もあって消費者はその違いが十分わかっているのでしょうか?挙句の果てにTPP11やアメリカとの通商交渉で農産物が少しずつ自由化される中で悪戦苦闘しているのが現状ではないでしょうか?

かといって日本の食料の自給率はある程度維持すべきです。理由は中国などが爆買いすれば日本になんか食料が回ってこなくなることは大いにあり得るのです。地球環境の変化でいつ世界規模の不作となるかだって予想もできないのです。

ならば大規模農業にシフトし、ロボットや機械化を導入し、農業効率を抜本的に見直し生産性を高める手段を考えるしかありません。県ごとのJA同士の戦いなど不要であります。

生産年齢人口が7000万人台で今後どんどん減少していく今、企業も人材の配置の仕方を考え直さねばならないでしょう。欧米式の担当への権限移譲まで踏み込み、ホワイトカラーを激減させ、労働力の再配分が必要です。皆で考える合議制は日本の特徴ですが、もやはそんなことは言っていられないかもしれません。決められない会議を延々とするのではなく、できる人間が主導する形に切り替えることで日本の労働生産性を大幅に引き上げる必要があります。

次に日本の物価です。世界水準と比べ安すぎるのですが、それが為替の理由というばかりではなく、過当競争による無意味な価格低下になっていると考えています。特に参入しやすい外食産業はもっと淘汰されて、価格が正常化すべきでしょう。

日本は元来テクノロジーの国だったはずなのにそれが十分に生かせず、もっとあるべき効率化ができていないことが日本の潜在成長率が引き出せていないことにつながっているように感じます。

私は人口が減る日本において安定した経済成長が維持できる方策ができれば世界の手本となると思いますが、日本の非効率性には思い切ったメスを入れる努力とマインドチェンジが必要かと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年1月10日の記事より転載させていただきました。

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