台湾総統選と分断社会

2020年01月12日 14:00

蔡英文氏インスタグラムより:編集部

台湾の総統選で蔡英文氏が再選しました。事前予想通りですが、得票数が817万票と台湾総統選では過去最高の得票数であったことが目を引きます。一方で議会の方は与党民進党が議席数を68から61に落とし、最大野党、国民党が35から38議席と増やし、国民民衆党が5議席を確保したと報じられています。

台湾総統選は分断する社会でどちらにつくか、一種の踏み絵であったように見えます。一国二制度を主張する中国との関係を重視するのか、独立独歩の道を歩むのか、であります。メディアの概ねのトーンは自由を求めた台湾の民意、習近平氏の戦略ミスという二面性を捉えているものが多いと思いますが果たして今後、それだけで納まるのでしょうか?

日経の土曜日の社説はずばり「世界は分断の危機に瀕している」と題し、行きつく先が見えない分断、ブロック化が不安を増長させると述べています。一般的に分断の危機とはこの社説にある通りに分裂、ないし、いくつかのブロックに分かれるリスクを言います。

1930年代、第一次世界大戦、大恐慌を経て世界は6つのブロック化が進みます。英米仏独日ソを中心とするブロックであります。このブロックが経済的に極めてマイナスであったことは明白であり、社会的には第二次世界大戦へと突き進んでいきます。終戦後、冷戦という名の下、米ソ2ブロック化が世界を二分化します。

次いで欧州が統合されEUができた時点で3つ目のブロックが、中国の躍進で4つ目のブロックができています。ロシアブロックが現在も存在するかは意見があるところだと思いますが、私はまだあるとみています。こうみると世の中、分断社会がいかにも最近始まったように聞こえますが、歴史的には常に分断しており、数が増えたり減ったりしているのであります。

台湾の選んだ道は長い道のりの分岐点の一つでしかありません。今後蔡氏が手腕を振るう中で民進党が一枚岩で進まない可能性は大いにあるかもしれません。なぜなら人は情報開示が進むとともに組織が細胞分裂するように分離していく傾向が否定できないからです。

求められるのは蔡氏のグリップ力であります。極めて上手に政権運営を行い、身内からの反逆者がでないようにすることが蔡氏の長期安定政権へのキーになるとみています。戦略的には日米への一層の接近だろうと思います。

近年の分断社会はまだ第一章だと考えています。米中では必ず内部での分断が顕在化するとみています。アメリカの大統領選挙においてトランプでもない、民主党でもないと思っている無党派は4割以上存在するとされますが、彼らは否が応でもどちらかに投票するか、棄権するかしか選択肢がない抑圧された状態にあります。第三党は必ず潰されるという政治システムがいつまでも当たり前だとするアメリカ社会は大きく病んでいるし、政治後進国かもしれません。

国は更に顕著で否が応でも共産党を支持しなくてはいけません。選択の自由がないのです。それですべての人がハッピーであれば何も問題はありません。しかし、我慢している人は必ずどこかで爆発するものであり、これを力で押さえつけ、金で人心を買うことで臭いものに蓋をし続けてきたのが中国の政権運営であります。

日本でも野党が一緒になろうと努力しているようですが、本質的には逆行している行為であります。選挙に勝つために政策に目をつぶるのはおかしいわけで一番効果的なのは自民党内部分裂をさせることが手っ取り早い野党躍進の方法だろうと個人的には思っています。

分断化が進んだ時、社会は表層の協力できる部分だけ手を結ぶという社会が到来します。目先の便益を優先するということです。決して心中するほどの不可分の関係とはならず、細胞分裂し、経済的に成長した社会では一枚岩の統制は一層困難になる社会になると私は予見しています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年1月12日の記事より転載させていただきました。

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