モリタクと私

今週のメルマガ前半部の紹介です。先日、ネットをあれこれ見ているとモリタクこと森永卓郎が面白いことを書いているのを見つけました。

【参考リンク】山本太郎は嫌いでもMMTは嫌わないでください

最近はMMT推しでメディア露出を図っているようですね(笑)

公式サイトより

筆者はもともとモリタクのことが大嫌いでしたが、最近は一周回って「むしろこの人はすごい人なんじゃないか」と畏敬の念すらおぼえることもあります。

モリタクは日本で一番メディアの本質を理解している“識者”である、というのが現在の筆者の感想ですね。

というわけで、今回は私的モリタク論をまとめておこうと思います。氏の立ち位置を振り返れば、メディアの本質を理解し、真に目を通すべきもの、スルーすべきものを見分けることも可能でしょう。そしてそれはキャリアデザインの貴重な一助ともなるはずです。

アベノミクスで見せた鮮やかなポジション調整

もともとモリタクはリフレ派の論客として有名でしたね。日銀が金融緩和すれば物価も賃金も上がってデフレ脱却できるというアレです。ニュースステーションで「自分を日銀総裁にしてくれればすぐにデフレ脱却してみせる」と熱弁したのは有名な話です。

ところが。そのリフレ政策を全面的に採用した第二次安倍政権が誕生し、アベノミクスがスタートするや、氏はあっさり転向します。

要約「本当に物価2%上昇なんて実現したら国債金利上昇で国の負担が激増するし金融機関がバタバタ潰れるからそんなの非現実的」

【参考リンク】アベノミクスの真実 リフレ政策の終わりの始まり

いや、今だったらわかるんですよ。誰かさんが当初「2年で物価目標達成できなかったらいつでも辞めます」と豪語していたのに6回先送りした挙句にとうとう目標時期を展望レポートから削除したり、マイナス金利まで導入してメガバンクをリストラに追い込むほどに痛めつけながらも目標未達の今だったら。

実際、過去の発言を無かったことにしてフェイドアウトしようとしてる論者はいっぱいいるわけで。

でもモリタクの上記発言はまさにアベノミクスへの期待がみなぎり株価がイケイケどんどんで上昇している最中なんですね。

要するに、氏は最初からリフレなんて1ミリも信じちゃいなかったんでしょう。それどころかホントにそんなことやったら庶民の生活が苦しくなって恨みを買うだけなので早めにポジション調整しなきゃと考えたんでしょう。

2年後には「日銀が追加緩和を見送ったから実質賃金が上がって庶民にとってはプラスだ」とまで踏み込んでいます。

【参考リンク】森永卓郎氏 日銀方針転換で「2015年度の日本経済に光明」

では、その結果はどうでたか。SNS上には、期待を裏切られ今やすっかり強烈な“アンチリフレ派”となったかつての信者たちのコメントが散見されます。そんなの自分で支持したんだから自己責任なんですが、もともと彼らは他力本願で自分の人生が上手くいかない原因を常に誰かに押し付けたがるような人たちなので、怒りの矛先をかつての教祖たちに向けているわけです。

でも、そのヘイトの対象にわれらがモリタクは含まれてはいません。というか、むしろそうやって怒り狂う元信者に「ねえ、もっと美味しい話があるんだけどどう?MMTって言うんだけどさ……」と優しく語り掛けながら新たな信者層を形成する側にちゃっかり回っているわけです。

節操がない電波芸人と言われればそうですが、並みのバランス感覚、胆力ではできない芸当だと思いますね。

以降、
モリタクの素顔
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Q:「副業をカミングアウトしても大丈夫?」

→A:「副業自体は問題ないはずです」

Q:「これは退職勧奨なんでしょうか?」
→A:「次回面談の対応でわかるはずです」

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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2020年2月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。