データが示す新型肺炎患者の特徴

2020年02月22日 11:30

独週刊誌シュピーゲル電子版(2月20日)によると、中国保健省はこのほど新型コロナウィルスの感染者、死者に対するデータ分析の結果を公表した。それによると、新型肺炎による致死率は年齢と性別に大きく影響を受けていることが判明した。

新型コロナウイルスの拡大阻止のために戦う人々(2020年2月15日、ウイグル自治区で、新華社公式サイトから)

横浜市の大黒ふ頭に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」には約3700人が乗船していたが、そのうち634人が新型コロナウイルスに感染。日本政府は20日、84歳の日本人女性、87歳の日本人男性が死去したことを確認したばかりだ。中国側が公表したデータでは、2人は新型肺炎で最もリスクの高いカテゴリーに入る。80歳以上の高齢者は死亡リスクが最も高く、7人に1人が死亡しているからだ。

中国保健省は、2月11日現在、登録された新型コロナウイルス感染者4万4000人以上のデータを分析した。その感染者のうち、1000人以上が死去した。致死率は2.3%だ。感染者7万5000人で死者約2000人の重症急性呼吸器症候群(SARS)より致死率は高い。

感染者の年齢と性別が致死率と密接にリンクしている。以下の表を見れば、致死率は50歳を超えると高まってくることが分かる。最も死亡リスクが高いのは80歳以上の感染者だ。データは昨年12月、新型肺炎が発生した直後の武漢市周辺の感染者、死者を主にデータ分析しているので、実際より少し高くなる可能性は排除できない。中国以外の感染者数は2月18日現在、800人を超えるが、死者は3人。その致死率は0.4%と低い(その直後、日本で2人、韓国、イランでも死者が出ているから、致死率は1%を超えるものと予想される)。

出典:China CDC Weekly(中国疾病預防控制中心)

年齢の他、性別では男性感染者は女性感染者より死亡リスクが高い。感染者数は男女ともほぼ同じだが、致死率は男性の感染者が高い。2万2981人の男性が感染、そのうち653人が死亡、致死率は2.8%。一方、女性感染者数は2万1691人で370人が死亡、致死率は1.7%だった。

なぜ男性感染者が女性感染者よりリスクが高いか、感染病専門家は答えていないが、いろいろな理由が考えられる。ゲノムやホルモンの違いや持病の影響などだ。具体的には、糖尿病やガンの場合、死亡リスクが高くなる。新型肺炎の場合、最も危険なのはやはり心臓病を抱える感染者だ。

①心臓病を抱える873人の感染者のうち92が死亡(死亡率10.5%)
②糖尿病1102人の感染者、死者80人(7.3%)
③呼吸系疾患の感染者511人、死者32人(6.3%)
④高血圧感染者2683人、死者161人(6%)
⑤がん患者107人の感染者、死者は6人(5.6%)

参考までに、中国湖北省武漢で新型コロナウイルスが発生して以来、11週間余り経過するが、新型肺炎は中国本土ばかりか、香港、台湾,、フィリピン、日本、韓国、イランなどでも死者が出るなど、世界的大流行(パンデミック)の兆候が出てきた。その一方、感染者数が少ない国もある、その相違は国の防疫政策の違いにも通じる。感染者総数では、中国以外では、韓国、日本が多い。

韓国の朝鮮日報は、韓国で感染者の初の死者が出た20日、「中国人の入国制限ためらった韓国、感染者100人を突破、初の死者も、ゴールデンタイムを逃した」という見出しで、「韓国と日本の場合、他の国々に比べ、中国人の入国について厳しい制限措置を取らなかった。一方、米国、オーストラリア、ベトナムなど早い段階から中国人に対する厳しい入国制限を施行した国々は感染者数が10人台にとどまっている」と指摘し、中国人の入国制限の有無が感染者数の増減と密接な繋がりがあると強調している。

韓国の場合、今月4日になって湖北省発行旅券を所持している中国人と過去14日の間に湖北省を訪問した外国人の入国を禁止するという措置を取った。

日本の場合、13日に湖北省と浙江省に滞在歴のある外国人と中国人の入国を禁止する措置を取っただけで、中国全域を対象とした制限は実施していない。日本の場合、横浜港に停泊中のクルーズ船で乗客を長期間隔離した処置が感染者を増やした、といった批判の声も出ている。

新型コロナウイルスの場合、その発生源も依然不明であり、中国共産党政権の情報隠蔽などもあって、中国ばかりか、世界はその対応で後れをとってきたことは事実だ。新型肺炎が発生して11週間が過ぎる。感染者、死者に関するデータを分析することで、新型肺炎への対応の道が開かれることを希望する。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2020年2月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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