僭越ながら私が日銀総裁なら何が出来るか、何をするか?

2020年03月18日 06:00

Twitterで「藤巻先生が日銀総裁だったら良かったのに、と思います」と書いてくださった方がいたので、せっかくなので、僭越だが、「私が日銀総裁だったら何が出来たか?何をしたか」を書かせていただきたい。こういう仮定は大変、おこがましいのだが、説明がしやすいので、そうさせていただく。

黒田総裁に質問する参議院議員時代の藤巻氏(参議院インターネット中継より:編集部)

「私が日銀総裁に本日就任しても何もできない。今からどうやって日銀をつぶし、新日銀へスムーズに移行する準備しておくことぐらいだ。中央銀行は、社会にとって不可欠なインフラだから移行がスムーズにいかないと社会の混乱が収まらない、だからこそ事前の準備が必要だ。

しかし、10年前に日銀総裁に就任していたら、今頃、日本をこんな状態にはしていなかった自信がある。異次元緩和なぞ絶対に行わない。異次元緩和はルビコン川(一度渡ると元の地に帰ることの出来ない川)だからだ。デフレ対策には金利を下げるという伝統的金融政策で対処する。金利がゼロになったら金利をマイナスにする。これを主張していた1990年代後半、私は「フジマキは頭がおかしくなった」と言われたが、躊躇なくそれを実行する。

私のマイナス金利政策とは今、黒田日銀が行っているマイナス金利政策とは違う。黒田総裁のマイナス金利政策とは、結果として長期金利がマイナスになることで、日銀当座預金を極大化する政策だ。私が提唱するマイナス金利政策とは短期金利である日銀当座預金金利をマイナスにすることで結果として日銀当座預金を極小化する。黒田日銀のマイナス金利政策とは180度異なる。(注:現在(2020年1月16日~2月15日の平均残高)、日銀当座預金378兆円のうち+0.1%の付利をしているのが208兆円、ゼロ金利適用が146兆円、マイナス金利適用はたったの23兆円。黒田日銀のマイナス金利政策とは短期金利をマイナスにすることではない)

現在のように事態が深刻化した場合、日銀当座預金金利を深堀する。例えばマイナス20%にする。それでも効かなかったらマイナス50%にする。この方法だと預金金利も、貸出金利もおのずとマイナスになる。日銀当座預金に民間銀行が預金を置くと50%のペナルテーがかかるのなら民間銀行はマイナス40%で融資を行う。日銀当座預金に置くよりペナルテーが少ないからだ。

住宅ローンがマイナス40%ならさすがに家を建てようという人も出てくるだろう。借金すると金利をもらえるからだ。政府が今経済対策として考えている個人への現金給付付を金融政策として行うということだ。

銀行はつぶれないために預金金利をマイナス35%あたりに設定するだろう。、銀行はマイナス35%で預金を受け入れマイナス40%で融資を行うから、5%の鞘が確保できる。今ある金融政策の副作用としての銀行経営危機問題は起こらない。

預金する個人は銀行に預けると毎年35%も元本が減額するので、さすがに預金をせずに消費に回すか株式を買うだろう。景気は回復する。回復したら、すぐプラス金利に戻す。今、問題になっている日銀の出口問題は起こらない。これは景気が悪くなったら金利を下げる、よくなったら上げるという伝統的金融政策であり効果も副作用が無いことも検証されている。

唯一の懸念はマイナス幅が大きくなるとタンス預金が増えることだ。そのための対策として日銀デジタルで現金を無くしておく(高齢者が困るかもしれないから当面1000円札は残す)。現金が無ければタンス預金は出来ない。

私の提唱するマイナス金利政策を採用していたら、今頃、日銀は単なる政府の紙幣印刷所になり下がらず、強力な景気対策としての金融政策を保持していた。今のように株価が下がりビクビク、保有債券価格が下落でビクビクということもなかった。何事にも動じない日銀であり続けた。

なお注意していただきたいのは、この政策を、今、黒田日銀が採用すると即座に日本は悲惨なことになる点だ。ハイパーインフレが直ちに発生する。現在、日銀当座預金残高が極大化しているからだ。私の主張は極小化の政策で180度異なると述べたとおりだ。日銀当座預金残高が極大化している状況(=マネタリーベースというタネ銭が市場にあふれている)でマイナス金利により貸出しが伸びれば信用創造でものすごい量のマネーが市中に流れてしまう。

私の提唱する政策は日銀当座預金が極小化が前提で、そうでなければ、日銀がコントロール不能となる。日銀当座預金を極大化から極小化するためには、日銀は今と逆のオペレーション(=保有国債の獏売り)をしなくてはならず長期金利急騰で国は予算を組めなくなる。財政破綻だ。

借金を極大化させ、その結果の財政破綻を回避するため、異次元緩和という財政ファイナンスで危機を先送りしたツケが今、起こりつつある。なお、私が提唱するマイナス金利政策であれば、国は借金を増やしていいか?というと決してそうではない。

政府が今まで財政破綻をしなかったのは日銀が長期国債を爆買いして財政ファイナンスをしていたからだ。私の提唱するマイナス金利政策は政府の資金繰りの助けにはならない。2014年頃にすでに日本政府は財政破綻をしていたことだろう。累積赤字拡大は危険なのだ。その意味でもMMT論が一定の支持を得ることに危機感を感じる。

将来二度とこの事態が起きらないように、スイス、ドイツのように憲法に「財政均衡」を入れるべきだと考える。

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藤巻 健史
経済評論家、前参議院議員

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