コロナショックは「付き合ってはいけない人」を見分けるリトマス試験紙

政府がコロナ対策として打ち出した、布マスクを一世帯に2枚ずつ郵送するというアイディア。とても評判が悪いようです(画像はネットから)。

あるいは、ライブハウスや飲食店に対する経済対策がなかなか出ないと、政府や都道府県に対して怒っている人もいます。

どうやら、コロナショックで、ストレスから精神的に不安定になっている人が増えているのかもしれません。

しかし、何でもいちゃもんをつけて、あれもダメこれもダメと言っているのを聞いていると、「じゃあ、あなただったらどうするの?」と逆に聞いてみたくなります。「対案のない人」の批判は、ネガティブな気分に包まれるだけで、何の価値もありません。

また、専門家でもないのに、評論家気取りで「対案」を書いている人もいます。しかし、そこには何の責任もありません。

一見、無能で愚鈍に見える政治のリーダーであっても、そこには重い責任があります。

コロナウィルスで国内が医療崩壊しても、逆に厳しい行動制限を課して国内が経済崩壊しても、最終的に批判にさらされ、責任を取るのはリーダーです。

もちろんリーダーも人間ですから、間違えることがあるかもしれません。しかし、少なくとも思い付きで布マスクを配っているのではなく、様々な情報や意見を聞いた上で、総合的な視点から最善と思われる判断をしているはずです。

そもそも、そのようなリーダーとなる政治家を選んだのは、私たち有権者です。文句を言うなら選挙で投票しなければ良いのです。あるいは、自分が立候補して政治家になってはどうでしょうか。自分たちが選んだのに、その舵取りに逐一茶々を入れるのは、筋違いです。

また、公的な経済支援プログラムは、ありがたいことですが、それは当たり前のことではありません。公的機関がサポートするのが当然と思っている人が多いのにも驚きます。

会社の規模に関わらず、経営者であれば、自分の会社を政府に頼ることなく自分で守る。それが基本的な責務です。

国や自治体が助けてくれないから、自分の会社が倒産したと言うのは、自分が経営者として無能でしたと言っているのと同じことです。

こんな風に、ネット上で誰かを批判したり、揚げ足を取ったりするのを見ると、情けない気分になるのは私だけでしょうか。

コロナショックは、そんな「付き合ってはいけない人」を見分けるリトマス試験紙です。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年4月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。