緊急事態宣言で、国と都の対立の現場!

2020年04月09日 20:30

「一体なにをやっているのだ!」
「都民がどれだけ苦しんでいるのか分かっているのか!」
「国でも、都でもいいから、早く決めろ」

緊急事態宣言が発令されて、2度目の朝を迎えても、政府や都からの明確な休業要請が示されておらず、浮上したのは「方針をめぐる、国と都の対立」という報道内容。

いい加減にしろ!というのが、都民の皆様のお気持ちだと受け止めています。

小池知事も緊急事態宣言が発令される直前の4月6日の会見で、「国が緊急事態宣言を国が緊急事態宣言を行った場合、都は緊急事態措置を行う必要がある。このため、都民や事業者が適切に準備を行えるよう、都が実施を予定している緊急事態措置の案を事前に公表する」と述べていました。

記者会見する東京都の小池知事(6日、都知事公式Facebookより:編集部)

にもかかわらず、今日になっても、緊急事態措置案が一向に示されないのはなぜか。はっきり言えば、この小池知事会見後に、国が面舵いっぱいの方針転換をはかったからに他なりません。

時系列で解説します。

まず、新型コロナの拡大を受けて、国会では、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(以下、「特措法」と呼ぶ)を改正して、新型コロナにも適用できるようにしました。

特措法が定める、国と東京都の関係は以下のポイントにまとめられます。

特措法第24条9項
「都道府県対策本部長は、公私の団体または個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる」(一部省略)

とあり、都知事が、クラスターを起こしやすい一部事業者に対し、例えば「休業」などを要請することができると規定しています。

また、さらに、強い権限として、規定されているのが、特措法第45条2項〜4項で

「特定都道府県知事は、当該特定都道府県知事が定める期間において、政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止、その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。」

「施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、特定都道府県知事は、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを指示することができる」

「特定都道府県知事は、第二項の規定による要請又は前項の規定による指示をしたときは、遅滞なく、その旨を公表しなければならない。」(一部省略)

言い換えれば、24条では、都道府県知事は、個人や事業者に対し「協力」のお願いはできますよ。それでも、足りなければ、45条で、一段上げて、都道府県知事は「要請」することができますよ。それでも従っていただけない場合は、「指示」をすることができ、その場合には、そのことを「公表」しなければいけないと規定しています。

そこで、東京都は、緊急事態宣言がいつ発令されても対応できるように、特措法の下に国が策定した「施行令」、「ガイドライン」、「対処方針」を読み込み、予め、どの施設にどんな「協力」「要請」を求めるのか、方針案をつくっておきました。

4月6日の知事の会見は、まさにそのことを述べています。

しかし、状況が一変するのは、小池知事の会見から一夜明けた7日のことです。

国が、特措法を運用する上で、3月28日に都道府県に示していた「対処方針」を突如、上書きし、以下の文言を書き入れてきました。

新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針 – 厚生労働省

「特定都道府県は、まん延の防止に関する措置として、まずは法第 45 条第1項に基づく外出の自粛等について協力の要請を行うものとする。その上で、都道府県による法第 24 条第9項に基づく施設の使用制限の要請を行い、特定都道府県による法第 45 条第2項から第4項までに基づく施設の使用制限の要請、指示等を行うにあたっては、特定都道府県は、国に協議の上、必要に応じ専門家の意見も聞きつつ、外出の自粛等の協力の要請の効果を見極めた上で行うものとする。政府は、新型コロナウイルス感染 症の特性及びまん延の状況を踏まえ、施設の使用制限の要請、指示等の対象となる施設等の所要の規定の整備を行うものする。」

上記のポイントは3つです。

一つは、個人や事業者に「協力」を求める場合においても、すべて、「国と協議してきめろ」、二つ目は「外出自粛の効果を見極めてからしか、要請も指示も出さない」、三つ目は「協力を求める際にも、特措法45条を使って行え」です。

何度も申し上げますが、3月28日に政府が決定した「対処方針」には上記の記載はありませんから、都は、法律を読み込み、24条を適用して、クラスターを起こしやすい事業者に対して、休業の「協力」を求めようとしていました。ところが、7日の対処方針改定では、「協力」を求めるのも45条を適用させろと言います。

なぜ、45条の適用かと言うと、特措法の第三条4項に

「地方公共団体は、基本的対処方針に基づき、自らその区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施する責務を有する」(一部省略)

と書かれているため、全て、政府決定のまたは、政府が突如書き加えた「対処方針」に基づけ、というわけです。

これでは、法律より、対処方針が上位に位置し、都道府県知事の権限を規定した特措法とは何だったのか、という怒りを禁じ得ません。

では、なぜ、7日の改定で、政府が45条に拘るのかというと、特措法24条の「都道府県対策本部長の権限」で、明確に以下のように規定されているからです。

「都道府県対策本部長は、公私の団体または個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる」(一部省略)

さすがに、法に定める権限の規定まで、対処方針で、打ち消しできないと考えたのでしょう。そこで、事業者への「協力」であっても、24条の適用ではなく、45条を適用して、知事は事業者に「協力」を求めなさい。しかし、対処方針で、当面、外出自粛以外は認めないので、知事は、「協力」「要請」「指示」はできませんよ、というものです。

怒りしか、感じません。

たしかに、特措法は欧米ほどではないにせよ、住民に対し、都道府県知事に強い権限を与えているので、運用は慎重であるべきですし、国との調整も慎重に行うべきです。

しかし、今、都民の誰もが、我慢を強いられ、覚悟を決めて、短期での終息を願っている時に、法が認めている「事業者への協力」まで政府が「ものいい」をつけて留め立てすることが妥当でしょうか。

世界を見渡しても、緊急事態宣言を出して、2週間?も外出自粛だけに留めて、様子を見ましょう、などという悠長な国家はありません。

私たちは、都議会議員として、小池知事は、知事として、都民の命を最優先に守る責務があります。そのためには、予算も法も、全てを駆使して対処していくしかありません。その法の運用をめぐって、法改正ではなく、対処方針改正によって、都道府県知事の手足を縛ることが正しいのでしょうか。

そして、大事なことは、こうした有事の際には、都道府県によって、事情が異なるので、地域ごとの対処が必要だと言うことです。

東京は世界でも有数の過密都市です。繁華街の数だけでも、世界一を誇ります。

しかし、今、その誇るべき繁華街で、クラスターが起こりやすくなっているので、東京都の特性として、少なくてもクラスターの起きやすいところには、法に基づく「協力」をお願いしていこうとしている矢先です。

大事なのは、国か都か?ではなく、命を守れるかどうか、であり、短期終息を目標にするのか、悠長に構えるのか、が問われています。私たち都民ファーストの会は、都民が払っている犠牲が大きいだけに、できる限り短期で痛みが済むように、少なくとも法に基づく「協力」を、いのち最優先の視点で求めていくべきと考えています。

どうぞ、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

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伊藤 悠
東京都議会議員(目黒区選出)都民ファーストの会 政調会長代理

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