緊急事態宣言を解除すれば日本は世界経済をリードできる

2020年04月27日 12:00

西浦博氏の「8割の接触削減で新規感染者を8割減らせる」というモデルは、実数で緊急事態宣言の効果を予測しているので、実証的に検証(反証)可能である。これに実際の新規感染者数(東洋経済オンラインがGitHubで提供しているデータ)を重ねてみよう。

西浦モデル(専門家会議の資料を加工)

図の20日目から「8割削減」が始まるので、これが緊急事態宣言の発令された4月7日と考えていいだろう。ここから15日程度たった「報告日」に感染が減少するのは、感染(濃厚接触)から2週間の経過観察期間のあと厚労省に報告されるからだ。

西浦モデルでは、緊急事態宣言から15日たった4月22日ごろから劇的に感染者数が減ることになっているが、実測データのピークは4月12日の714人で10日早い。これは7日の緊急事態宣言の8割削減の効果のようにみえるが、実際の感染はこの2週間前である。

つまり4月12日以降の減少の原因は緊急事態宣言ではない。12日に報告された感染者は、その2週間前の3月29日に感染した人である。3月下旬に陽性が増えた最大の原因は海外からの帰国者の陽性が増えたことで、この時期に感染はピークアウトしたと見ることができる。

8割削減の影響が出てくるのは、図の35日目(4月22日)以降だが、激減した形跡はない。報告ベースでは新規感染者数は25日目(4月12日)から増減を繰り返しながらほぼ単調に減っており、これは感染ベースでは3月下旬からのトレンドである。つまり8割削減の効果は実測データには出ていない

局地的に感染爆発が起こる可能性は論理的にはあるが、現実には考えられない。これは8割削減する前からのトレンドなので、緊急事態宣言を解除しても減少傾向は変わらないと思われる。第2波が来るとすれば、秋以降だろう。

医療崩壊は起こらない

新規重症者数はそこから1週間おくれて4月20日ごろピークになり、死亡者数は24日ごろがピークである。これは感染者数の遅行指標なので、新規感染者数から2週間ぐらい遅れて今週ピークになると予想される。

東洋経済オンラインより

重要なのは重症者数が医療資源の制約内に収まるかどうかだが、累計でも約300人であり、ICUベッド数6000を大幅に下回る。大病院の救急外来に多くの患者が押しかけてパンク状態になっているのは、マスコミが恐怖をあおるからだ。

またコロナが指定感染症に指定されたため、無症状でも感染症して医療機関に2週間入院させるなど、医療資源を浪費している。軽症患者を退院させて指定医療機関を柔軟に運用すれば医療崩壊は起こりえない

いずれも緊急事態宣言の前からのトレンドであり、先進国の状況をみても感染の最悪期は終わったと思われる。今がピークだと考えて累計数を2倍すると、感染者は2万6000人、死者は700人ぐらいで終わる。季節性インフルエンザとほぼ同じである。

日本人の何%がコロナの免疫をもっているかははっきりしないが、抗体検査の結果が5月1日に発表されると感染の全容がわかる。日本人がニューヨーク州のように14%抗体をもっていても驚かない。圧倒的多数のコロナ感染者は、軽症か無症状だからである。

この場合には1760万人が感染していることになるので、死者700人とすると致死率は0.003%ということになる。これもインフル並みである。

以上の状況から、5月7日以降も緊急事態宣言を延長する理由は何もないと言ってよい。少なくとも感染ゼロの岩手県など被害の少ない地域は解除し、東京都や大阪府についても休業要請はやめるべきだ。コロナの人的被害はただの風邪だが、経済的ダメージは甚大である。

ただ世界的には人的被害が大きく、特にアメリカではまだ被害が拡大している。奇蹟的に被害の少なかった日本が緊急事態宣言から脱却することは、世界経済を牽引するチャンスである。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長(学術博士)

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