夜郎自大な戦闘機開発で夢をふくらませるのは危険

2020年05月06日 06:00

そもそも防衛省には当事者がありません。FXのときも国産生産基盤をどうするのかきちんとした構想がありませんでした。42機の調達でライセンスするなんてコストから考えれば無理な話です。しかもできもしないF-22が欲しいといってみたりして時間を空費して、その間にF-2の生産は終わってしまいました。

30年代に退役が始まるF-2戦闘機(空自サイトより)

結果としてF35を導入して戦闘機生産ラインを廃棄してしまいました。こんな腰の定まらない胡乱な連中に付きあっていられないと、住友電工やダイセルといった有力ベンダーも戦闘機、防衛から撤退しています。

そしてその後はF-35の調達をB型含めて140以上にした。これで空自の戦闘機の半分以上はF-35で、これらは国産の搭載兵器を詰めない。積むならば米国の許可がいるわけです。F-35のサプライチェーンは複雑であり、我が国の劣悪な交渉能力では無理でしょう。

そうであれば国産ミサイルなどの搭載兵器の調達を続ければ調達数は今の4割程度まで下がります。ただでさえもろくに試験しなくても割高な国産搭載兵器を開発、調達できるわけはありません。

次期戦闘機、多難な道のり=技術・費用課題、日本主導どこまで(乗りものニュース)

「日本主導」は、自身のタイミングで改修や整備を可能にするメリットがある。F2開発では、日本はエンジンなど重要構成品の技術を持たず、日米貿易摩擦のあおりもあって米国主導の開発を余儀なくされた。米側からは設計上の機密情報が開示されず、改修や整備に苦労した。

F2の苦い経験を踏まえ、次期戦闘機は基幹システムやエンジン、レーダーなど主要部の国産化を目指す。

そうであれば米国をパートナーとするのははじめから除外しなければなりませんが、政治家、防衛省も米国から協力してもらって情報も開示してもらえると信じている。
まるで情弱な軍オタと同じレベルです。

「米国の下請けはしない」(防衛省幹部)と拒否。

貴方にそんな能力はないでしょう。それに首相官邸は和泉首相補佐官らはじめとして、米国の歓心を買うために米国が儲かれば、自衛隊を弱体化させてもいいと思っているから尚更です。

空自関係者は「どこまで米企業が持つ核心技術の情報開示を得られるかや、米製部品の適時供給が担保できるかが今後の焦点」と指摘する。

未だにこんな寝言を言っているなんてお花畑もいいところです。米国が核心技術を渡すわけがないでしょう。

「1機200億円超」とされる費用も課題だ。国産にこだわれば、国内産業の技術基盤を維持できる半面、費用が膨らむのは必至。コスト削減のため、政府は新戦闘機を開発中の英国と技術協力に向けた協議を続けている。

最大でもF-2とどっこいどっこいの100機しか生産しないならば、200億ではすまないでしょう。F-2だって100億円超えたのですから。

空自のUH-Xは当初の予定の23・75億円から50億円です。官製談合やっていないならば、空幕は調達の当事者能力に根幹的な欠陥があるとういうことです。このような組織が200億といっているならば400億円ということも十分ありえます。結果半分も調達できずに中途半端に調達して予算と資源の無駄使いになるでしょう。でも誰も責任もとならない。

量産効果を出すならば、せめて150機は必要です。ですが戦闘機の定数を考えればそれは無理です。
無理に作れば米国から核心部分はブラックボックスを強要されて、値段は1機300億円、しかもF-35のデッドコピーというような代物になるでしょう。

そもそも我が国にまともな戦闘機を開発する能力はありません。ここの要素技術では優れたものがありますが、戦闘機というシステムは無理です。そのための情報収集もしてことなかったし、ノウハウもない。なんとなく見た目がそれらしいものを作れるだけです。

しかも秘密主義も問題です。F-2のレーダーに不具合があったわけですが空幕は「何の問題もない」と大本営発表を続けていました。その後に調達数を削減しました。F-2が駄目な戦闘機だったという証左です。
そのようなネガティブな情報を納税者に開示せず、官は誤りを犯さずという尊大な態度をが習いグセになっていますから、誰も責任を取らず、何度でも同じ過ちを繰り返すことになります。

他所様に売れる機体を作るがどのくらい難しいかはMRJ(現スペースジェット)を見ればわかるでしょう。それで理解できないならば当事者意識がないということです。

ぼくは本当に国内の開発・生産基盤を維持したいならば、米国以外のパートナーとの共同開発をするべきだと思います。

どうしても主導して国産をやりたいならば高い性能は求めず、米空軍のレッドホークのような練習機を採用し、それをもとに軽戦闘機を開発すべきだと思います。そうすれば練習機、戦闘機合わせて200機以上は生産が確保でき、調達単価も下がるでしょう。

現在の方針で戦闘機を開発するならば、ドブに金を捨てることになって、航空自衛隊を弱体化させるだけです。

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編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2020年5月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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清谷 信一
軍事ジャーナリスト、作家

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