コロナより10倍怖いステイホーム!

2020年05月25日 06:00

コロナの10倍怖い家庭の事故死

コロナの脅威で、致死率なんていう指標が注目を集め、特に高齢者はコロナに怯えながら日常を過ごしてこられたことだと思うが、実はもっと気を付けた方がいいのは自宅での日々の生活だということはあまり知られていない。

家庭内に思わぬリスクが…(FineGraphics/写真AC)

内閣府の高齢社会白書によると、2016年の高齢者(65歳以上)の交通事故死は2138人。それに引き換え、家庭内での事故死はなんと12146件と最も多い。交通事故の6倍だ。

原因の1位は風呂5086件、不慮の窒息3274件、転倒転落2362件にのぼる。

また、入浴中の事故でも直接的死因が別の病気の場合はカウントされない為、それらを含めると入浴中の事故死は年間7088件(消費者庁統計分析データ)、窒息死は8000件、転倒転落死は8803件もある。これに火災等その他の不慮の事故を加えるとり、年間3万人近くが自然災害や交通事故以外の不慮の事故で死亡している。

ちなみに、コロナによる死者数は5月23日現在で808人。うち65歳以上が約90%(正確な数字が発表されていないので概算として)、このペースで1年死者数が更新され続けたと仮定すれば(そうはならないが)2908人なので、実にコロナの10倍のリスクが家庭内に潜んでいると言っていい。

今、高齢者にとっての最大の脅威は、家の外ではなく家の中になりつつある。超高齢化社会のひとつの象徴的現象だ。ご高齢の方はもちろん、そのご家族の皆さんには、改めて「風呂、窒息、転倒」この三つの危機を頭に叩き込んで頂き、この機に生活習慣を見直してもらいたい。

ヒートショックを免れる裏技、シャワーの儀

風呂で一番恐ろしいのは急激な温度変化によるヒートショックだ。急激な温度変化による血圧の上下で心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす。特に冬場は要注意だ。湯船の中で眠ってしまい溺れるケース、つまづいた拍子に湯船に倒れこむという事例も多い。ちなみに、東京消防庁のデータによると2012年から2016年に風呂場事故で救急搬送された高齢者の44%が死亡、40%が重篤化と、風呂場事故は生命の危機に関わる危険な事案だ。コロナとは比べ物にならない致死率だ。

特に、一人暮らしともなると使用する部屋が限られているので、部屋による寒暖差が大きくなりがちだ。倒れても救急車を呼んでくれる人がいないので手遅れになるケースが続出している。結果、風呂での事故死はこの10年で2倍近くに増加している。

ちなみに、冬場が圧倒的に多く、80歳以上は特に多いが、若いからとなめちゃいけない。45歳を過ぎたら急激に増え始めるので気を付けた方がいい。

そこでいくつかの対策を提示しておきたい。

脱衣所や風呂場を温める。余裕があれば浴室暖房を入れるのが一番いいが、難しいご家庭も多いと思うので、簡単にできる方法を書いておく。やり方は簡単だ。風呂に入る前に熱めのシャワーを出しっぱなしして扉を閉める。ポイントは90秒で止めて、さらに3分ほど扉を閉めて放置する。そうすることで室内温度が3度以上上昇する。

ちなみに入浴中に換気扇を回すのもやめた方がいい。温度が下がってしまう原因になる。さらに、洗い場にはすのこやマットを敷く。窓の気密性を高める為に断熱シートや隙間テープを張るのも効果的のようだ。断熱効果を高める為に二重サッシにする場合には、省エネ改修補助金の対象になる場合があるのでチェックしてほしい。また、脱衣所に暖房器具を置き、30分から1時間程度事前に温めておくだけでかなり効果的だ。但し、火事にはくれぐれもご注意いただきたい。

また、湯船は41度以下、しかも入浴は10分以内。風呂の良さがないと言われるかもしれないが、これでかなりのリスクが軽減できる。最初は頼りないとお感じになるが、是非習慣化させてもらいたい。

そして、最も危険なのは、飲酒後の風呂だ。飲んだ後の風呂が最高なのは言わずもがなだが、一人暮らしの方は絶対やめた方がいい。家族がいる方は、必ず家族にチェックをしてもらいつつ入ってほしい。間違っても、家人は、飲酒したあと風呂に入っている高齢者を放置して寝たりしてはいけない。

「窒息No. 1」は餅ではない?なんとあの食材!

次に窒息については、ごっくん運動が効果的だと言われている。ごっくん運動とは、水を飲むときに行う「ごっくん」という動作を行うことで、嚥下機能を高める運動のことだ。「ごっくんと飲み込んだ状態を10秒ほど維持し、その後、勢いよく息を吐き出す」という運動を1日に2~3回行うことで、嚥下機能の強化につながる。

cheetah/写真AC

ちなみに、窒息といえば餅!というイメージも捨てた方がいい。窒息原因の一番の食材はなんとおかゆだ。基本的に飲食物に「とろみ」をつけるというのが窒息対策には効果的だと言われるが、嚥下機能が低下した高齢者にとってはとろみの強いおかゆも“殺人兵器”になりかねない。ごっくんに自信がない方は間違ってもこんにゃくゼリーなどという食べ物を口にしてはいけない。餅以上に事故多発食品だ。

特に、喉を詰まらせると早ければ6分程度で死亡するため、救急車の到着では間に合わないケースが多いので、特にご注意頂きたい。万が一、目の前で喉を詰まらせている方を見たら、躊躇なく手を突っ込んで取る。見えないところまで行っている場合は、後ろから抱きかかえ、みずおちを拳で上方に向け圧迫するということを覚えておくといい。

家の中で最も危険な地帯、それは…

最後に転倒防止だが、東京消防庁のデータによると、家庭内で不慮の事故が起きやすい場所は階段でも浴室でもなく、まさかの居室(73%)で、原因は油断しがちだからだそうだ。筋力維持が一番の方法だが、油断しない、モノを一杯置かない、滑らない床材にするなどの工夫も一つだと言える。

yuw77/写真AC

ここからは少しお金が必要だが、転倒防止に即効性があるのは、とにかくバリアフリー化と手すりの取り付けだ。手っ取り早いのは介護保険のリフォーム助成で、要支援1から補助対象になるので、対象者はまずこれを利用されたい。金額は18万円前後(自治体による)までと少額だが、手すりの取り付け、段差の解消・スロープ化、引き戸など使いやすい扉への取り換え、トイレの洋式化などに対して助成される。廊下、階段、玄関、トイレはもちろん、屋外でも敷地内の玄関までのアプローチも対象だ。

注意して頂きたいのは、20万円の範囲内では複数回できるが、基本的に1回しか申請できないので、よく考えて使うことをお勧めする。(例外的に転居した場合や要介護区分が三段階以上進んだ場合は再度申請できる。)ケアマネージャーさんに必ず相談してからやってほしい。

参考までに一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会が作っている、地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイトを記載しておくので興味のある方はチェックしてみてほしい。

また、リフォームについては、バリアフリーや同居対応リフォームについては減税制度、省エネ対応のリフォームの場合は国の省エネ改修補助金(120万円)なども利用できるので併せてチェックしてみてほしい。

ご自身はもちろん、大切な人をコロナから守るためのステイホームだけでなく、不慮の事故から守るための安心安全なステイホームについてご家族で話し合ってみるいい機会にしてはどうだろうか。

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村山 祥栄
前京都市会議員、大正大学客員教授

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