オリックス宮内氏の「言いっぱなし大学批判」:まず、隗より始めよ

2020年05月31日 06:00

オリックス経営者の宮内義彦氏が、日経ビジネスで大学教育について対談をしていた。

オリックス宮内氏、大学改革の壁は「教職員の“民意”への配慮」(日経ビジネス)

Wikipedia、写真ACより:編集部

宮内氏は、現在の大学に詳しくないらしく、自分が学生だった時代の知識で、漠然とした大学論を語っている。「よくある大学批判」なのである。毒にも薬にもならない。

しかし、以下の部分はツッコミたくなった。

企業も新卒採用時に就活生が大学でどんな専門性を身に付けたのか、成績はどうだったのか、あまり気にしないのも、大学生が勉強しない一因になっているのではないでしょうか。

宮内氏:確かに日本企業は就活生たちが大学で勉強したかどうかを重視してきませんでした。入社後に自分たちで教育を施し、「わが社の色」に染め上げていけばよいという、日本が工業社会だった20世紀の古い考え方を引きずっています。良質の製品を安く大量に生産していた当時は、目標に向かって全員で突き進む同質の社員が求められました。

一方、知識集約型の社会を迎えた21世紀の企業に本来同質の人材は必要ではありません。社内には専門性の高い様々な仕事あり、それに応じて仕事をこなせる人材を採用するのが望ましい姿です。

(中略)

大学は文系の学部であっても、入試科目に必ず数学を設けるべきです。それと理系の学部をもっと増やさねばなりません。今は文系の学部が多すぎます。大学がより自由に学部を編成できるように、国による規制緩和が求められます。

宮内氏は、学生の能力を大して問題にしない企業の採用姿勢を他人事のように語っている。そして、「大学入試科目には必ず数学を設けよ」と言っている。

しかし、社員に数学能力が欲しいならば、大学に要望する必要はない。

たとえば、オリックスが、未経験の新卒学生を採用する場合、実用数学技能検定1級で足切りすればいい。数検1級は、理工系大卒だったら、誰でも合格できる程度です。決して難しくない。なぜやらないのか?

企業幹部の大学批判には、この手の「言いっぱなし批判」が多い。「大学はこれを教えろ」と言うだけで、採用時にチェックする気はない。英語でも似たようなことがある。

企業が新卒採用において、能力試験をしない理由は、おそらく次のようなものだ。

採用試験で、厳しい能力検査をすると、合格者が激減してしまい、「24歳以下、大卒、男性、日本語話者」という狭い範囲で大量採用することができなくなる。募集範囲を広げて、年齢、学歴、性別、母語も無関係に採用しないといけなくなる。それが嫌なのである。

「一様な人材ばかりではダメだ。もっと多様な人材が必要だ」などというのは建前でしかなくて、企業が欲しいのは、「24歳以下、大卒、男性、日本語話者」だけなのである。

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