コロナ以前から感染病対策を始めていた山梨と新潟

2020年06月21日 19:30

2009年から新潟ではドライスルー検査

新型コロナ対策では、自治体の首長が実質的にどんな対策をしているかより、テレビに出て弁舌爽やかに「安心感」を与えているかどうかが問われがちだが、地道に素晴らしい努力をしている自治体を馬鹿にするものだ。

東京や大阪の知事でもなければテレビには出してもらえないし、東京都は大金持ちだし、大阪も東京と比べなければやりようがある。ニュースキャスター出身の小池知事や、やしきたかじんさんの顧問弁護士だった吉村知事が弁舌爽やかでテレビ向きだろうが、対策がこうしたテレビ局の扱いでかえって悪い影響を受けていると思う。

日本人がコロナ戦争の勝者となる条件』(ワニブックス)では、それでは困るので、第八章を「知事・市長の通信簿」という項目にしてこうし風潮に警鐘をならして全国各地のいろいろな例を紹介もしている。

そのなかで、反響があったのが、新潟と山梨においては、すでに新型ウイルス以前から行っていた対策が新型コロナにも薬だったという話だった。

新潟市では全国にさきがけて3月9日から、ドライブスルー方式によるPCR検査をしていた。最初にそれを聞いたのは、新潟県の前の前の知事である(つまり米山隆一氏の前任)である泉田裕彦代議士からで、「2009年の新型インフルエンザのときに始めたんですよ」というだったが、ネットで調べてみると、にいがた経済新聞の3月19日にはこんな記事があった。

新潟市は、新型コロナウイルス感染患者の濃厚接触者が増えているなか、3月1日からドライブスルー方式で、濃厚接触者のPCR検査のため検体採取を行なっている。

ドライブスルー方式は、車で検体採取を行う場所(保健所)まで行き、車に乗ったまま検体採取を行う方式。

また、新潟日報は以下のように報じている。

ドライブスルー方式は屋外のため感染リスクが低く、手袋の交換だけで効率よく行える利点がある。19日現在で濃厚接触者の検査272件のうち、大半をドライブスルー方式で検体採取した。

こういう先見の明こそ素晴らしいが、このような先見の明が共有されていなかったのも残念なことで、厚生労働省も悪いがマスコミも同罪だ。

11月から対策を始めていた山梨県の長崎幸太郎知事

首都圏の一角である山梨県の長崎幸太郎知事は、感染症対策を昨年の11月から始めたという。武漢で発生したのがそのころかといわれるなかでなぜといったところだが、昨年秋に中国でペスト発生が伝えられたので感染病対策の不備に気付き春節の中国人観光客到来を念頭に対策を始めていたというわけだ。

そうしたところ、従来の感染病対策がすぐには動かしがたいもので形骸化していることを発見して対策を打っていたのだという。そして、コロナ発生以降は、重症者受け入れ態勢を充実することを時間との戦いだと急いだ。

その際に悩んだのは「休業補償」を出せという圧力だったが、東京のような裕福でないところでは出しても少額になるし、一部業種しか対象にできないし、医療体制の整備が犠牲になると頑張った。そのかわり、「持続化給付金」を業種にかかわらず受け取れるように申請支援することに力を入れた。自身の給与を1円にしたのが、話題になったが、スタンドプレイでなく、バラマキを避けるためには、あえて自分でまず身を切る姿勢が不可欠だったようだ。

特色ある政策としては、保育園に預けず両親が仕事を休むことを援助したり、ドライブスルー検査などでPCR検査人口比全国一にする、マスクなどを県産で生産し安心と雇用と両方に役立てるなどし、今後もあらゆる感染症に強い体制を築き上げた。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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