金与正とボルトンが暴いてくれた文在寅の正体

2020年06月27日 06:01

文在寅大統領(韓国大統領府FBから:編集部)

韓国の文在寅大統領は、現世ではともかく前世ではよほど徳の高い人だったのかも知れない。昨年からチョグク事件とか経済不振で評判がた落ちだったのが、新型コロナで世界中から誉められて、総選挙前のいちばん好ましいタイミングで評判は最高潮に達していた。

といっても、3月にはイタリアと並んで最悪の感染国で大邱で医療崩壊を起こしていたのは事実であって、それがゆえに①世界中から締め出しを食って出入国が少なかった、②軍事政権が構築した世界に冠たる国民監視システムで的確・迅速な対応が可能だったというだけなのである。

だが、日本のマスコミはなんとか文在寅を持ち上げて安倍政権を貶めたいから、①とか②とかは隠して、③PCR検査の徹底のみを強調しているが、PCR検査も国民の1%くらいにしているに過ぎず、それでも、②のマイナンバーカードとあらゆる情報を紐付けした監視システムとリンクしてはじめて効果があるのである。

そのあたりの虚構を、『日本人がコロナ戦争の勝者となる条件』(ワニブックス)では1章を割いて解説してあるので、韓国に比べて日本はとかいうような議論に役立てて欲しい。

しかし、それにしても、文在寅をはじめ、NYのクオモ知事とかイタリアやスペインの首相のように、最初に大失敗をしたリーダーが国民を、鼓舞して危機を脱したとか言って人気が出て、華々しくはないが落ち着いた行動で辞退を乗り切った安倍首相が批判されるのはなんともアンフェアなように見える。

そういう意味で文在寅大統領の悪運の強さは腹立たしい限りだが、そのかわりに、 正義連の前身である「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」と同団体の常任代表だった尹美香(ユン・ミヒャン)国会議員(与党・共に民主党)のスキャンダルが明るみに出て日本を食い物にした政治運動・人道運動と称するたかり行為の実態が明らかにされたのは結構なことであった。

なぜ金与正が矢面に立ったのか

韓国大統領府Facebook

さらに、金与正からの罵詈雑言を受けて屈辱を味わうことになった。年少の女性からあのようにいわれ、さらに、平壌の有名冷麺店・玉流館のオ・スボン料理長が宣伝メディアを通じて、「平壌に来て有名な玉流館の冷麺を食う時は、何かたいそうなことでも成し遂げたかのように見るからに怪しくよこしまに振る舞って、戻ってからは今まで何もしていない」などと文大統領を中傷したことだ。

儒教道徳が尚残る韓国では、31歳の女性である金与正が年長者の文在寅をコケにしたのも気に入らないのだろう。さらに、しばしばいわれるように韓国人の価値観からすると有名レストランであっても料理人の社会的地位は日本でほど高くない。その料理人などが大統領を侮辱したのには耐えがたいのでないか。北朝鮮が彼らに文在寅を侮辱させたことには、日本人の感覚では分からないそういう面があるのだと思う。

さらに、ボルトン前大統領補佐官の暴露で、ますます、文在寅大統領の非常識な行動が明らかになった。それは、金与正の行動の謎を解く鍵でもあった。

韓国紙がしたファクトチェックのただしさ

報道された中に、ボルトン発言についての韓国「中央日報」のファクトチェックというのがあった。ボルトンのおかげで安倍首相の活躍ぶりもわかるし結構なことである。

日本の新聞に文在寅の嘘を暴けといってもやるはずがない。その点、韓国の新聞はきちんとしている。日本の報道の自由度が低いという冗談みたいな話も、中国や韓国政府に忖度して追従しているからと言うならそのとおりである。

詳細はリンクをご覧いただくとして、以下、少しその要点を紹介しておこう。

ボルトン氏(Wikipedia)

①ボルトン氏は、2018年5月4日に鄭義溶国家安保室長がホワイトハウスを訪問し、4.27板門店会談を説明し「金正恩が『完全かつ検証可能で、不可逆的(CVID)』な非核化に同意するよう文在寅が金正恩を説得した」「文大統領が 『トランプ大統領とビッグディールをすべきだ。非核化後の恩恵は非核化が完成した後に受けることになるはず』と説明した」「金正恩委員長はこれらすべてを理解した」と伝えた。

しかし最初の米朝首脳会談の翌月の2018年7月、シンガポール合意履行のために訪朝したポンペオ国務長官に対し、金英哲党統一戦線部長は「北朝鮮の体制の保障が先にあるべきで、検証は非核化の前ではなく後になる」と説明した。

ファクトチェック=完全な非核化の意味や時期を米朝間で伝達したかについて、青瓦台は説明したことはない。ただ、鄭室長は平壌訪問した後、すぐに訪米し、「金委員長は完全な非核化をする意思がある」と明らかにしたが、「完全な非核化」の意味は板門店宣言シシンガポール宣言でもあいまいに言及され、同床異夢の解釈を招いたた決定的な部分に挙げられる。

②「ハノイノーディール」以降の青瓦台の認識について、鄭室長はボルトン氏との電話で「金委員長がハノイに『プランB』なく、一つの戦略だけを持ってきたのは驚く」「米国側が北の『行動対行動』を拒否したのは正しいが、寧辺核廃棄は北が非核化の不可逆的段階に入る最初の段階として非常に意味がある」と述べた。

ボルトン氏は、北朝鮮の「行動対行動」案を拒否しながら「寧辺廃棄」を受け入れるのは「文大統領の統合失調症患者のような考え(Schizophrenic idea)」と非難した。「文大統領が中国の『同時的・併行的接近』を受け入れたことほど話にならない(nonsense)」とした。

ファクトチェック=韓国政府が寧辺核施設の廃棄の意義を強調したのは事実。康京和外交部長官は2018年10月、「北が寧辺核施設を永久に解体すれば、これは北核プログラムの非常に大きな部分」「米国は終戦宣言のような相応措置を取ることができると考える」とした。文大統領も「意味のある非核化の段階は寧辺廃棄」としたが、これが金正恩がハノイに「寧辺プラン」だけで十分という対応をした理由かは青瓦台はなにもいってない持ってくる背景になったかはいってない。

日本人まで八つ当たりする文在寅支持勢力

このほかの報道をみると、ボルトンは、

「朝鮮半島の終戦宣言は、北朝鮮のアイデアだと韓国政府の説明で思っていたが、自分の統一アジェンダを裏付けるための文大統領のアイデアだと疑い始めた」

「アメリカは、ハノイ以降、南北間の接触がないことを知った。そこで文大統領は、板門店または海軍軍艦での会談を提案し、『劇的な結果を導くことができる時刻、場所、形式に対する劇的なアプローチが、劇的な結果をもたらすだろう』とした」

「トランプ大統領は文大統領が近くにいないことを望んだが、文大統領は会談に出席しようとした。金正恩も文在寅が近くに来ることを望まないことは明らかだった」

と散々である。これに対して、韓国政府は「政府間の相互信頼に基づいて協議した内容を一方的に公開することは、外交の基本原則に反する」、「米国政府がこのような危険な事例を防止するための適切な措置を取ることを期待する」と抗弁しているが、 2017年12月に韓国政府は慰安婦問題に関する日韓合意について、日韓合意は「被害者中心主義に反する」などとして「問題は解決しない」としたが、この報告書、日韓合意の交渉過程や、非公開とすることで日韓両国が合意していた内容が記載されている。

河野外相は「合意の交渉経過について一方的に明らかにされるべきではないということを申し上げております。非公表を前提としているものが一方的に公表されたというのはいかがなものかと思いますし、極めて遺憾と言わざるを得ない」としたが、韓国側は「外交的な側面で少し損傷があったとしても、国民に知らせる必要があると判断した」と抗弁したくせによくもいうものである。

さらに、JB Pressにおける李 正宣氏の記事などによると、韓国では、安倍首相がトランプに北朝鮮の約束を信用するなといったとされていることをとらえて、

「ネオコン・ボルトンの手管や日本の妨害によって、70年間の分断を終え、韓半島統一への歴史的転換となる千載一遇の機会が消えたという、実に嘆かわしい真実が残念だ」

「第2次世界大戦の敗戦国である日本が、韓国戦争(朝鮮戦争)で国家再建の基礎を築いたことからも、韓半島の平和が日本の利益と衝突することがわかる」

「南北首脳会談、米朝首脳会談の推進で疎外されていた日本としては、北朝鮮と米国の交渉妥結内容に日本の要求をなんとか取り入れたり、交渉が決裂したりするように踏み込もうとしたのです」

「ジョン・ボルトンは、韓半島の非核化を大韓民国の仲裁と外交で解きたくありませんでした。北朝鮮のすべての力を奪って、悩みの種を事前に除去し、米国の影響圏に置くのが目標でした」

などと論評している。しかし、それは、日本の野党やマスコミの誹謗にもかかわらず、日本政府が正しい仕事をいしっかりしていることを証明してくれていることでしかあるまい。

また、次のような部分もあるらしい。

「世界のリーダーでトランプ大統領と最も個人的な関係を築いているのは安倍首相だ」とし、両者は「ゴルフ仲間であり仕事仲間だ」と表現した。 トランプ氏は安倍氏の父親の晋太郎氏が第二次世界大戦中に神風特攻隊に志願したことに言及するのを好み「日本人や、特に安倍氏がどれほどタフかを示そうとした」と振り返った。

米朝首脳会談では、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の非核化意思を疑う安倍首相や谷内正太郎国家安全保障局長(当時)が北朝鮮ペースに引き込まれないよう米側に働き掛け、日本人拉致問題の提起も求めた。  実現はしなかったが、米側は2018年6月のシンガポールの合意文書で拉致問題に言及することを北朝鮮側に要求。トランプ氏は決裂した19年2月のハノイ会談でも拉致問題を取り上げた(夕刊フジより)。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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