新戦闘機はテンペストか、スウェーデンと組むほうがよろしい

2020年07月30日 06:00

政府、次期戦闘機開発で米3社に提案要求へ 年末までに1社選定(毎日新聞)

政府は、航空自衛隊のF2戦闘機の後継機開発に向けて、機体製造の主契約企業を三菱重工とし、開発パートナー企業の候補を米国の軍事大手3社に絞り込んだ。

政府の構想では、機体製造やシステムの統合を担う三菱重工が政府と開発契約を結び、エンジン開発を進めるIHIなど日本の部品製造企業が下請けに入る案が有力だ。ただ、日本企業は敵のレーダーに捕捉されにくいステルス戦闘機の開発経験がないため、米側からの技術情報の開示や日本側による自由な改修の保証を前提に米側の支援を受ける。

空自が00年に導入したF2を巡って、米側からの技術情報の提供が限定的だった経緯も踏まえ、政府は慎重に協力の条件を詰める方針だ。一方、次世代戦闘機「テンペスト」の開発を進める英国とも、エンジン部品の共通化などによってコスト削減が可能かどうか協議を続ける。

スクランブル対応などを担わせる考えだ。速度を重視してパワーのあるエンジンを積み、ミサイルもF35より多く搭載できる大型機とする方向だ。

まあ、例によって思考停止で米国頼みです。米国は我が国の完成機ビジネスを潰そうと延々と画策しており、F-2の開発でも痛い目にあったのですが、懲りないようです。

そもそも防衛省、空自に戦闘機選定、調達能力はありません。

先のFXでもそれまでの国是だった戦闘機の生産基盤を継続するかしないかも決めないまま、たった42機でライセンス生産もありうるとし、しかも米空軍と同じ玩具がほしいとダダを捏ねて、やたら時間を空費して戦闘生産基盤とベンダーの信頼を失いました。結果住友電工やヨコハマタイヤという主要ベンダーが撤退、今年はダイセルも撤退しました。しかもF-35が揃うまで、くず鉄同然のF-4EJの飛行時間を抑えて乗り切ろうとしました。

そしてよせばいいのにF-15Jを偵察機に転用するための偵察ポッドの開発にも失敗。空幕はメーカーの東芝のせいにしていましたが、選定して仕事を任せたのは防衛省と空幕です。15機程度であればはじめからポッドは輸入すれば良かっただけの話です。

そこでばわたり的にF-35の偵察能力があるからとこれを偵察にも使うといいだしました。であれば15機ほどのF-35は戦闘機の任務からはずれないといけない。その分のF-35を追加するのかどうかも明らかにされていない。ただの言葉遊びの責任逃れです。

そして今回もろくな基礎研究もなく、データもないのに自主開発が可能だと強弁しています。はじめから1兆円は超えるであろう開発費用は捻出できず、機体、エンジン、システム全てに広く薄くばらまいて、結局はF-35のデッドコピーを高値で調達することになるでしょう。そもそもたった90機しか生産するのであれば開発は無理です。1機あたりの開発費用はバカ高くなります。

つまり防衛省や空幕に最先端戦闘機の開発能力はない、ということです。であればせいぜいが練習機に毛の生えた程度のアラート専用、あるいはF-35と足りないミサイル運搬するミサイルキャリアーを兼ねたような安価な戦闘機がよろしい。毎度ご案内のように米空軍の練習機であるレッドホークを練習機として導入、併せてそのような趣旨の安価な軽戦闘機を開発する。

英で開発中の次世代型テンペスト(Swadim/Wikipedia)

あとは共同開発でしょう。英国のテンペストに乗るか、スウェーデンと組むかでしょう。

スウェーデンはテンペストも検討していますが、他にグリペンをベースに新たな機体を開発する。それかどこかと組んで新型機を開発することを検討しています。ただ最後の案は、開発期間とコストの面から難しいという見方が強いようです。

例えばの話、グリペン改良型でテンペストのシステムやエンジンを流用するとか、新規開発でもスウェーデンと我が国が協力し、なおかつテンペストのエンジンを採用するとか
コストや開発期間を少なくする方策は模索できるはずです。

一番悪手が米国を頼った主力戦闘機の独自開発です。

米国と組まないことは、あまり無体なことをやると米国とは距離を置くよというメッセージになります。そうしないと米国から有利な条件を引き出すことはできず、ATM代わりに都合よく使われるだけで終わるでしょう。

あくまで米国の奴隷になりたいというのであれば、全部米軍の装備を導入すべきです。日本の防衛産業は潰す。そうすればインターオペラビリティは完全に確保できます。まあ、ずっと言いなりになるしかありませんが、それが好きなのだから仕方がないでしょう。

ところが実力もないのに変な国産品を作って、開発費を無駄に使い、低性能な装備を高額で買うことも大好きです。
防衛省、政府にも独立国家として国防が考えられないのであれば、完全な米国の属国になったほうがいいのかもしれません。

■本日の市ヶ谷の噂■
20式小銃は昨年の富士学校の展示会ではグリップに問題があって血が出る隊員続出し、対策を講じて直した。
グリップと弾倉は外国製だが、利益が低いと輸入元は渋い顔、との噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2020年7月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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清谷 信一
軍事ジャーナリスト、作家

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