特定の学説は信じず1万人未満の死者は気にするな

2020年08月01日 17:00

コロナ騒動については、SNS時代だけあって情報は有り余るほどあるが、それを頭の中で整理できている人は少ない。拙著「日本人がコロナ戦争の勝者となる条件」(ワニブックス)を書いたときには、書くためにこれまでの情報を整理するのに苦労したし、逆に読んだ人からは、どういうことだったか頭が整理できてやっと誉められたりした。やはりSNSもいいが、単行本を一冊でもいいからしっかり読むことは大事だと思う。

そして、本が出てから二か月ほどたって第二波とかいう騒ぎになっている。警戒を続けた方がいいのは間違いないが、それほど騒ぐ話ではあるまい。

日本ではコロナの感染者は増えても死者は低水準のまま。一日5人を超えることはしばらくないのである。

そのうちに増えると脅かす人もいるが、外国での感染者数と死者の関係とよく似た推移になるとしても、第一波よりかなり低い水準の死者だ。それでも第一波で何万人も死んだ国では、その半分でもたいへんだが、日本はその程度なら経済に悪影響を与えることまでする必要ない。

そもそも第一波の死者(1000人強)はインフルエンザの毎年の流行の死者(3000人ほど)などと比べても極小だったわけで、あの程度の数字なら経済活動を縮小すべきレベルではなかった。

といっても、私は池田信夫さんのような対策はいらない派ではなく、分からない以上は少し用心して対応した方がいいと思う派だから用心したことを失敗だったとはいわない。しかし、どうみても何万人も死ぬような事態になりそうもないし、なるかもしれない兆候が現れたらそのときに対策を急ぎ取れるようにしておけばいいだけであろう。

ほとんど死者もないのにもういちど緊急事態宣言だなど集団ヒステリーとしかいいようない。死者1万人出ても、インフルエンザが今年は少し多いというのと同等であるし、対策もそれと見合えばいいことだ。

 そもそも日本の平均寿命はアメリカより6歳、ドイツ、イギリスより4歳、フランスより2歳長いわけで、超高齢者が多いぶんこうした病気が流行ったら弱いのも仕方ない。また、この高い平均寿命が一時的にほかの先進国に近いものに落ちても、大惨劇というわけではない。

家族間の感染については、第一波のようなときは別だが、普通にインフルエンザが流行っているときでも、だから別居する、盆や正月に里帰りしない、病院や施設が面会を拒否するなんておかしい。超高齢者は感染症でなくても一年で一割くらい死ぬのだから、今年の帰省をやめたがゆえに一生会えない可能性はそれだけあるのであり、一方、帰省してコロナに罹って死ぬ割合など極小だ。

しかも、高齢者は数週間もあわないと子や孫の顔も忘れてしまいかねない。病院や施設の行き過ぎた面会規制こそ考え直すべきだ。

 医学的な問題について、ここしばらく思うのは、一人の医者がいうことに引っ張られすぎるとろくなことはないということだ。スウェーデンの集団免疫論にしてもそれを真似たイギリスの措置にしてもそうだ。イギリスでは首席医務官が強いし、フランスでは大臣が医者でいずれもカメラの前では鮮やかな説明をしていたが、結果は散々だった。

イギリスでは数日前に、突然、首席医務官がスペインからの帰国者の二週間隔離を決めたので、スペインでバカンスを過ごしている人は困っているし、イギリスからスペインへの観光客が全面ストップしてスペインの観光地は場所によっては壊滅的打撃だ。

私は、上記の本でも書いているが、日本の対応はもたもたしているし、思い切りのよい格好の良さはないが、それがかえって大怪我を回避していると思う。日本の措置で極端なのはわけの分からない大盤振る舞いだけで、将来への負担は心配だが、それ以外は極端でないのがいいところだ。

専門家といわれる人たちが、自信ありげに政府は馬鹿だアホだというのに簡単には乗らないのは政治的には辛いが、それでいいのだ。京都大学の上久保先生の集団免疫説などなるほどと言う気もするが、私はそれを前提に政策を組み立ててしまうほど自信はない。BCGが効くといわれてもそうだ。

逆にいえば、可能性があるならそれを使うことを邪魔することもない。アビガンも、無理矢理許可をとめるほどでもあるまい。

写真AC:編集部

ただし、たとえば、マイナンバー制度の不備などとなると、もう少し急いで改革すべきことだ。このどさくさに、今年の年末までに、国民全員にカードを持たせて携行義務化するくらいはやろうと思えばできるはずなのにしないのは残念なことだ。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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