新型コロナ感染症対策と経済のバランスのあるべき合理的判断

2020年08月24日 06:00

Takayuki Miki/flickr

中国で発生した新型コロナウィルス感染症は、国内においても世界においても依然として猛威を振るっています。屋外での感染可能性が下がると言われている7~8月の高温多湿な日本においても、感染がここまで拡がっているということは、11月以降は今以上に感染が拡大する可能性が高いと考えざるを得ません。

そして、同時に、以前も指摘させていただきましたが、輸出が2018年レベルまで回復するまでに数年かかり、当然設備投資も抑制され、また個人消費も個人の消費行動の変化や国内消費とインバウンドの動向を見れば、元に戻る可能性は極めて低い状況があります。

今後冬場の第二波が常識的には11月から4月ごろまで6か月、つまり今年前半の第一波の三倍の期間続く可能性があることを考えたとき、サービス業や製造業の自主廃業や倒産、失業、金融不安のピークが来年やって夏にかけてやってくる可能性は否定できません。

リーマンショックの時には、ヒトやモノの移動制限が全くなかったにもかかわらず金融不安からその後約一年間にわたって連鎖的に実体経済が大きく傷んだことを考えれば、世界中でロックダウンがされ、日本においても緊急事態宣言で経済活動が大きく止まり、まさに「瞬間凍結」された今年前半とは違った、深刻な不況がこれから始まる可能性を考慮しておくべきです。

今や、新型コロナ感染症の影響が治療薬やワクチンが普及するまでの相当な長期間世界で残るという、2、3月には誰も想定していなかった状況に世界は直面しています。我々としても、「6月には世界で新型コロナが収束して、完全な形での再スタート、V字回復ができる」という前提で行った、いわば2月終わりの状況をそのまま6月に残すために「全ての企業や雇用を守る」という今年前半の経済政策とは全く異なった政策を講じて行かねばなりません。

これから我々が行っていかねばならないのは、これからやってくる雇用・失業危機や金融危機をどう最小化できるか、という政策であり、また一定期間後に感染症が収束しても「需要が戻る」ことはありえず「需要がかなり変化する」という、新たな現実に対応できるような供給サイドの改革を進めるための政策です。

過去の様に、緊急対応ということで需要を無理やり公需でカバーするやり方は今回のような需要の構造変化を伴うショック時には適切ではありません。需要の変化を先取りして柔軟に対応する、あるいはしたたかに需要の変化を作り出せるような変革を供給サイドが行えなければ、大不況の中で皆が不幸になることになりかねません。

この政策転換を、一刻も早くスタートせねばならない。これを進めることができなければ、世界がこれから直面する「新型コロナ構造不況」において日本が再びリーマンショック後の様に一人負けしてしまうということになりかねません。

そして、影響を最小に抑えるためには、経済活動への影響も考えながら、今回の新型コロナウィルス感染症の対策として、我々が何をすべきなのかを再確認することも重要です。

私自身、3月ごろから指摘していることでもありますし、政府の全体の方針でもありますが、今回の新型コロナウィルス感染症対策における最大の目的は、亡くなられる方の数を最小限に抑えることです。そのためには、人工呼吸器やECMOの地域ごとのキャパシティを重症者の方の数が超えないようにすることが絶対的に重要です。だからこそ、感染者数ではなく重症者数こそが、我々が注視すべき指標です。

そして、高齢者の方や疾患がある方など、重症化しやすい方々の傾向も指摘されています。すなわち、感染した可能性が高い方が、こうした脆弱性が高い方に接触することを控えていただくことが、重症者を増やさないことに直結するということです。

感染者数が増えることが重症者数の増加と必ずしも相関しないのは、今の神奈川県や東京都のデータからも明らかです。全国で最近重症者の方の数が増加傾向にあることには注意が必要ですが、4、5月と比べたとき、重症者数が激増せず、亡くなった方の数も急増していないのは、感染者数のデータから感染拡大の傾向を把握することで、多くの方が重症化する可能性がある方々への接触を気を付けていただいている結果であって、まさにそれは国民の一人一人の努力の結果です。自由な国でITによる行動管理もされない中で、一定程度の抑制ができているのは日本の力だと思います。

nakashi/flickr

今後、感染抑制と経済活動のバランスがより問われてくると思いますが、感染者数をゼロにすることではなく、亡くなる方をゼロにする、そのために重症化するリスクを最小限に抑えることが、政府の新型コロナ感染症対策の目的なわけで、「感染者数」の数値のみから「経済を止める」判断をすることは合理的政策判断の観点から適切ではないと考えられます。

最初に書いたように、経済的な構造不況はこれからです。しかも1年以上の長期にわたる可能性が高いことを考えれば、この冬に倒産する企業、失業者を少しでも減らすためには、出来るときに経済活動を可能な限り活発化させておくことが極めて重要です。消毒やマスク、行動に気を付けるなど自分もなるべく感染しない工夫をする、感染している可能性も考え重症化する可能性が高い方との接触においてはより気を付ける、等を徹底することで、少なくとも今の時期は経済活動を活発化することは可能です。

もちろん自然条件が厳しい11月以降になれば新型コロナによる死者数や重症者数など相当厳しい状況に再びなることも考えられます。政府においては、感染や重症化のトレンドを注視し適切な対策を適切なタイミングで講じることが求められます。重症化のトレンドの深刻さと企業全体の財務健全性・経済活動のバランスを取った判断は、どちらかに犠牲は当然出るわけで、両方が100点ということは不可能です。

大変に難しい判断になりますが、それをやって初めて、今後やってくる雇用、金融危機、重症化の第二波を最小限に抑えることが可能になります。

新型コロナにおいても、経済においても、これからが一番大変な時期であるということを肝に銘じて、引き続き政府与党の一員として努力してまいります。


編集部より:この記事は、外務副大臣、衆議院議員の鈴木馨祐氏(神奈川7区)のブログ2020年8月23日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「政治家  鈴木けいすけの国政日々雑感」をご覧ください。

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鈴木 馨祐
衆議院議員(神奈川7区)、外務副大臣

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