「メルカリの取引、“逆お下がり”が多数」報道がおかしいのでちょっと掘り下げる

2020年09月01日 19:00

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本日は珍しくマーケティング的なデータの読み方の話です。

このコロナ騒動では、特に「データが読めてそこから推測できる人」と、「全くデータが読めない人」との差が浮き彫りになった。コロナの場合はデータ解析というほどのレベルではなく、「こういう予測のためにはこういうデータが必要」という程度なのだが、

実は10月にコンサルタント集めてのセミナーでわたしがどうやってコロナの予測を的中させた(8〜9割方は当たったと思う)かという話をするのですが、なによりも大事なのは

常に疑問を持ってデータを見ること

だと思うんですよ。

「東京は2週間後にはニューヨークになる」だとか

「今の勢いでいったら来月は目を覆うようなことになる」というのを

ほんとかな、ちょっとデータ見てみよう

と考える習慣があれば、騙されずに済む。この「あれ?ほんとかな」と疑って自分で調べる習慣は、ビジネスに限らずいろんなところで大事な要素です。

さて、昨日はこんな記事を見つけました。

メルカリの取引、年下の出品を年上が買う“逆お下がり”が多数 調査で明らかに

タイトルしか読まないと、あれ、大多数が年下が出品したのを年上が買うのかと思うのですが、違います。

メルカリの本体のリリースを見ますと

メルカリ内で取引される商品カテゴリーのうち、
38.0%が、出品者・購入者の平均年齢が一致する「年齢一致型」
27.0%が、年下から年上への「逆おさがり型」
20.5%が、年上から年下への「おさがり型」

であって、多数なのは4割近い「年齢一致型」でありまして、「逆お下がり型」は27%しかいないので、「多数」ではないですよね。ITメディアとしては記事にしてタイトル付けるときに勝手に「多数」というのをいれてしまったようです。元のリリースにはそのような表記はありません。

元々のリリースにちょっといちゃもんつけてみる

メルカリと博報堂にいちゃもんつけるのは気が引けるが・・・このリリースはかなり面白くて、たとえばベビーカーをお下がりの典型として挙げていらっしゃって

確かにその傾向値は正しいと思っているのだが、出品者の平均年齢は36.5歳、購入者の平均年齢は34.3歳となるとその差は2歳しかなく、これって年齢差はわずかだが確かにある、というようにしか見えない。まあ、それでもお下がりとしては非常に典型的なものでしょう。そもそもベビーカーを購入するには年齢という要素があるからです。

しかし入浴剤が逆お下がりの典型としてあげられているが、入浴剤って年齢の要素はそれほどないか、または年長のほうが好みますよね。

グラフ見る限り、そうなのかなあと思うのですが、ここではっと気づくのです

メルカリユーザーの年齢分布ってどうなってんの!!

ということに。

たとえばいまや40〜50代のユーザーが多くなっていて、そのユーザーは出品より買う方が多い人たちだったら(自分も出品より購入が圧倒的に多い)、必然的に購入者の年代は高くなってしまう。日本の人口はいまや

こんな感じである。70代は20代の2倍もいます。70代が出品することはあまり考えられないが、たとえば70代の人がひとり購入者にいると、買った人の平均年齢はドカンと上がってしまうのです。(その割に逆お下がりが少ないというのはおそらくユーザーがまだ若い人中心なのだと思う)

なのでこの統計をきちんと把握するためには、まずは登録者の年齢分布で偏差を考え、次に年代別で「買う」と「売る」の頻度の偏差で補正しないと正確にはでないのです。まあ、この調査はそこまでのものではないからいいとします。w

で、メルカリの年齢分布を調べたら、リリースされていません。ニールセンが2017年に調査したのはありました。

これですと、確かに若い層の浸透率は高いが、前記したようにそもそもの人口配分が違うから、時間が経過すると高齢層の参加率も上がってきてもともとの人口が多い層にも浸透します。実際、面白いのがこちらのメルカリのリリース

高齢ほど高いものを売り
男性は女性より高いものを売る

ということは、逆に言うと「高価なものほど必然的にお下がりになる」という傾向があると言える。この点もリサーチすると面白いと思うんだよね。

自分がこのリリースみて思ったのは、メルカリがこれからも成長するには「高齢者へのリーチ」が非常に重要な課題であるということ。この規模にまで成長したのにまだ「逆お下がり」が27%しかいない。人口構成を考えればもっとずっと多くて当たり前なのに、お金が無くて高価なものを出品できない若い層にまだ偏っている。ここがメルカリの課題なのでは?と思いました。おしまい

iPhoneのガラスフイルムを割りまくったので今回はコレ買いました。3枚入り。でもちゃんと使える。価格崩壊ですな・・


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2020年9月1日の記事より転載させていただきました。

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