菅総理!給付金5万円、総額6兆円より、経済回すにはこうしてください

永江 一石

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井出真吾氏 5万円定額給付の実現性「やるとしても所得制限や収入が減った人限定」

みたいなお馬鹿な報道や議論をする人が出てきてウンザリです。そもそも定額給付金はなんのためにやるのか。
確かに最初の10万円は「家計への支援」という意味がありました。しかし、いま5万円を各国民に配布して総額6兆円を使ってどれだけの効果があるのか。PDCA回すためには前回の10万円の分析をしないといけません。誰もしてないようなので私がします。

10万円を配布するのにかかったコスト

最初の予算は
12兆8,802億93百万円
給付事業費 12兆7,344億14百万円
事務費 1,458億79百万円
でした。

現金振り込みなので、事務費で1500億円がかかったというバカらしさ。これ、死にそうになって対応していた自治体の人件費は計算されてないからいれたらとんでもないコストになるでしょうが、それでも10万円配るのに経費が1000円以上かかってます。アホかと。かかるコストはいくらでも同じなので、5万円配るとしても同じコストがかかります。また全員に渡るまでに数ヶ月かかったでしょ。

現金振り込み止めろ!!!

です。電子マネーにすれば一瞬で国民全員に送金できるので、電子化しないと馬鹿臭い。1500億円あればほかにできることは死ぬほどあるでしょう。

貯蓄に回るのが多すぎて全然経済を回していない

今朝もテレビでやってました。

そもそも、生活費の補填に使われた場合、浮いたお金は貯蓄に回るので消費が増えません。自分ちはトイレを最新のにリフォームして使いました。どうなったかというと

家計の貯蓄率、4~6月は23% 給付金が押し上げ

10万円の給付金などの効果もあって可処分所得は30兆7751億円増えて、過去最高の346兆6635億円となった。このうち80兆1219億円が使われずに貯蓄に回った計算になる。貯蓄率は1~3月期に7.8%と約19年ぶりの高さだった。4~6月期はさらに急上昇した。

給付金はほとんど貯金を増やしただけ?

ということになる。現金を配っても

●貧困家庭では支払いに充てられるだけ。余剰は貯蓄
●高齢者世帯では貯蓄するだけ
●調査では若い世代も消費しづらい空気に貯蓄するだけ

という結果になってしまった。政府は13兆円も使って家庭の貯蓄を殖やしただけ。逆に企業の資金は6兆円の資金余剰だった1~3月期から一転し、1兆円の資金不足。不足額は震災後の11年4~6月期(4.6兆円)に次ぐ大きさ。経済活動の停滞で収益が急減した一方、給与や賃料の支払いなど運転資金が流出した。出典

企業の経営が行き詰まれば経済は停滞し、失業者が増え、倒産も増える。生活に関係ないのは年金暮らしの高齢者と公務員だけである。したがって

現金を配っても経済にほとんど影響は与えない

ということが言えるのではないだろうが。全く効果がないとは言えないまでも、大きな効果は出ない。1人ずつに10万円配って13兆円使ってどれだけ効果があったのか。Go To キャンペーンと比較したら分かる。


イラストはこらちから借りました

給付金総予算 13兆円
VS
GoTo予算 総予算1兆7000億円

8倍の予算を使って効果はGo Toの数分の1にも及ばない給付金。これでまた6兆円使って高齢者の貯金を増やすだけで現役を殺すのか。つまり

経済を回すためには使いたい人にお金が渡らないと意味ない

ということなのです。小学生でも分かります。家に閉じこもって怖い怖いと言っている人にいくらお金を渡しても経済は回らない。であれば、実際にお金を使う人に援助するGo Toがその何倍も、何十倍も有効なのです。
菅さんが首相になる前に政治生命を賭けてGo Toを通してくれて本当によかったと思います。

所得制限をしての現金配布はもっと無意味

テレビではいわゆるちょっと左寄りの経済評論家とか消費税反対の人たちが声高に
「5万円配布するなら所得制限を」
と言っておりますが、これは、経済にはほとんどメリットがありません。

そもそも所得とは前年度の申告に基づきますから、今年になって会社が倒産したとか、解雇された人は対象になりません。それやって失敗したのが不正申告で一杯の持続給付金でしょ。

で、日本の場合、低所得者層というのはいったい誰なのか。ここに誰も触れない。

にも書いたのですが、日本でいう低所得者層とは誰なのか。普通の人はシングルマザーとか障害者を思い浮かべますが、総務省の2015年統計では子育て中のシングルマザーは106万人しかいない。

2018年末には厚生年金制度の被保険者数は4,266万人、老齢(退職)年金受給権者数(共済年金を含む)は1,853 万人となってます。重複を除くと公的年金の実受給権者数は、平成28年度末現在で4,010万人。年金貰ってるのはとっくに人口の1/3を超えてます。

日本の低所得者層とはその大半が年金暮らしの高齢者

なのです。つまり所得制限して5万円を配布すると、受け取る人の大半は「怖い、怖い」といって家には閉じこもっている年金暮らしの高齢者になり、その給付金はそのまま貯蓄になって経済は回りません。日本の高齢者層は貯蓄や資産がもっとも多い層であり、本来であれば悠々自適の層。

もっとも貯蓄が多い層の貯蓄を増やして現役を殺してどうするんだ。怒

現金を配布するなら期限付きマイナポイントしかない

今朝、テレビを見ていたら橋下さんがいつもわたしが書いてるのと同じ事を言っていて、あれ、音喜多君が仕込んだのかなと思いました。

現金を配布しても経済はたいして回らなかった。5万円配布するにしても以下のようにすれば解決します。

プランA

1 マイナポイントで配布。一瞬で全国民に到達
2 マイナポイントだから好きな電子マネーに変換される
3 有効期限を3ヶ月とする

これで全て解決できる。

まず、マイナポイントのためにはマイナンバーカードを申請しないとならず、マイナンバーカードの普及につながる。が、リテラシーの低い高齢者は面倒くさがって申請しないから、必然的に現役中心の配布となる。これは自分の意志で受給を受けないわけだから問題はない。不正受給もできない。

次に、期限付きのため、使わなければ消失してしまう。みんな必死に使うでしょう。

いままで電子決済を受け入れなかった業者も6兆円分のお金を見逃すのはやる気の無い少数。PayPayなどのQR決済なら初期費用もかからないので導入が進む。これでも導入しないで現金だけのところは、脱税しているかやる気が無いところなので潰れても仕方ないと思う。時代に付いてこられないのだから。

ただしこれだと6兆円配布したらそれ以上の効果は望めない。だからわたしが以前から言っているようにこちらのほうがずっと経済が回ります。

プランB

1 キャッシュレス決済の20%がマイナポイントで付与される(上限1回2万)
2 マイナポイントだから指定の電子マネーに変換される
3 この付与ポイントの有効期限は付与から3ヶ月とする

これですと、10万円の買い物をすると2万円戻るのでみんな必死に買い物をします。
6兆円の予算なら、その5倍の消費、つまり最低でも30兆円分の消費が生まれ、付与された6兆円と比較して36兆円(10万円以上の消費が多くなるので実際にはもっと多くなる)の消費が発生します。日本のGDPは500兆円なので、おそらく10%くらいが底上げされます。税収も増えますよ。しかも脱税できない!!!

天才か!!!

菅さんにおきましては、なにとぞ高齢者になけなしの6兆円をばら撒いて大半が貯蓄に回るという馬鹿げた施策を取らず、6兆円が50兆円となって戻る永江形式を採用されるようにお願いいたします。現役が生き延びるにはこれしかないのです。


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2020年10月19日の記事より転載させていただきました。