コロナに負けた日本の医療の抜本的改革を提案する

2020年12月28日 06:01

kuppa_rock/iStock

私は、日本の医療がお医者さん制度は問題が多すぎ、日本の諸悪の根源というべきものだと私はことあるごとに言い続けてきたし、そのことは、「日本人がコロナ戦争の勝者となる条件」(ワニブックス)でも論じた。

サッチャーの登場あたりから行政改革が世界各国で話題になり、それぞれの国でさまざまな改革が行われてきた。その本丸はたいていの国で医療を始めとする福祉関係と農業だったが、日本では政治的に最強の圧力団体だった医師会や農協の抵抗を避けるために、そこの部分を避けてきた。

中曽根内閣の国鉄や電電公社、小泉内閣の道路公団と郵便局など関脇小結相手の安直な戦いで満足してきたのである。

一方、医療とか農業は厳しい批判をすることすら憚られてきた。その共通点は医師や農家を批判をすることすら許されにくい社会風潮だったことにある。農業では「ご飯を頂くたびにお百姓さんに感謝」といわれたが、他の商品やサービスでも同じことでないかと子どものころから疑問をもった。

単に士農工商の感覚で商工を軽く見る江戸時代の意識の延長だっただけだ。食料のカロリー・ベースの自給率とかいう世界中で事実上、日本にしか存在しない珍奇な基準まで動員されて農業は保護され、内外の食料品価格が拡大した。

お医者さんも、勤務医でもほかの理工系の同等学歴に比して高給与で、勤務地や部門で自由がきき、独占領域と国民皆保険に守られているのに、赤ひげ先生ばかりと誤解されたイメージで尊敬され感謝すべき対象であり続けた。

美味しい職業だなんて嘘だというが、それなら、①医学部の偏差値は地方大学でも東京大学や京都大学の他の学部並みであり、ますます難関化が進んでいるのだが、これがマーケットの評価以外のなんでもない、②医師は勤務医も含めてなぜ子どもを医学部に行かせたがるのか?という二点に反論していただければ十分だが誰も反論できようはずもない。

今回のコロナ騒動でも、大多数の医師は安全なところにいて現場の逼迫に協力もしようとせずに、患者が減っていることへの補償を求めている場合すらある。それでも、「医療関係者に感謝を」というキャンペーンの対象にはなりたいようだし、国民も間違って糾弾すべきところを感謝している。

コロナ現場と関係ない医者が感染のリスクに晒されているかといえば、飲食業関係者やスーパーのレジ以上に危険だという話すらないから、「医療関係者が感染のリスクに一般人より晒されているのはデマです。一般人と同じレベルで安全に働いてますからご心配なく」というキャンペーンでもやれば感染を疑われての差別などなくなる。

アゴラでは、 これまでも、「医療崩壊したら悪いのは医療界、日本のコロナ被害は世界最低水準」、「医師会は医師に年末年始返上を呼びかけるべきだ」、「ワクチンを何ヶ月も遅らす日本の医療界の利権構造」という記事を書いているが、それなら、日本の医療をどう変えていけばいいのかという質問もときどきあるので、Facebookなどで回答したことを、体系的なものではないが掲げておきたい。

私の医療システム改革案

  1. 医学部を廃止して薬学部、歯学部、保健介護系、獣医などとともに健康学部にする。大学院レベルでメディカルスクールその他を作る。そのことによってそれぞれの部門に適切な向いた人がそれぞれの分野に進むことになる。またそれは、医者の他の医療従事者に対する特権意識を解消することになる。
  2. 医者の独占領域を減らす。外国ではワクチン接種やPCR検査など看護師や薬剤師もしている。
  3. 外国人や日本人でも外国語ができる人は多いのだからそれを対象とした外国人医師の導入を図る。
  4. 混合診療をかなり拡大する。遠隔診療も現状よりは広く認める。いずれも、患者視点の医療に不可欠だ。
  5. 開業医の事業継承を他人にしやすいように制度整備を進める。開業医システムは私はけっこう高く評価しているのだが、無駄も多く、もっとローリスク・ローリターンにできるはず。
  6. 電子化と情報共有を進めて無駄な診療を減らす(セカンドオピニオンなどを排除する趣旨では無い)。
  7. いろんな意味で安い基礎的な医療と例外的にした保険対象にならない高級な医療を分ける(所得層、年齢層、不良の若死には回避したいなど様々な観点が必要)。
  8. 公的な機関において医師のうちのかなりのパーセンテージについて勤務地域、診療科目等について本人の意思にかかわらず人事として行えるようにする(その人たちは全国的な会社の給料がローカルな会社より高いのと同じように給与面で優遇する)。電力会社で原発勤務は人事だから行くのであって、そのポストで募集したら希望者は極小になるだろう。
  9. 地方過疎地域における医療体制を充実させるためにもコンパクトシティー構想を進める。
  10. マイナンバー制度の充実を図り緊急時の把握をやりやすくしまた社会福祉制度の適正な運用が可能なようにする。
  11. 勤務医の給与は医学部の偏差値が他学部並みになるまで下げる(偏差値が市場評価ですから)。
  12. コロナのような事態に備え、医師の緊急時の強制徴用や訓練を受けることを義務づける制度整備を行う。
  13. 医療関係の各種審議会などには、医療関係者以外の参加を推進し、専門家だけで結論を出させないようにする
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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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