2021年:菅政権の展望と安倍復活の可能性

2021年01月01日 06:01

RRice1981/iStock

ちょうど一年前、2020年が始まる頃には、アメリカのトランプ大統領の支持率は45%、不支持率が52%くらいだったが、この程度だったら、トランプ大統領の再選の可能性が高いと観る人が多かった。

安倍首相の支持率も、NHKの世論調査で2019年12月にはほぼ拮抗していたが、2020年1月には10%ほど支持のほうが上回っていた。

ところが、コロナの流行で、両者とも支持率を落とした。トランプは自業自得だともいえたが、安倍首相がそれほど批判されるいわれはないはずで、経済と医療のバランスをほどほどにとっていい結果も出ていたのに、批判はやまなかった。

その背景としては、MMT理論の流行がある種の諸悪の根源になっていると思う。これまでも、日本人は財政赤字の危険性には鈍感だったが、MMT理論の流行以来、借金はいくらしてもいいし、いくらしたところで、国民はいつか返す必要もない、使い途は何でも良いのだという気分なのだ。

MMT理論は本来そこまで言っているのではないが、国民はそう思っている。また、あらゆる経済理論においても、支出は将来の経済発展をもたらし、また、経済がいびつにならないような目的に使うほうが良いということに異議はないと思う。

だが、昨年の日本人は、コロナが怖いから仕事したくない。だから、仕事しない人には金をばらまけ、しかし、誰の仕事減っているかは分からないから、収入が減ってない人にも金寄越せということになってしまった。これであとで天罰が下らなければ不思議である。

そして、そこまで割り切れないがゆえに、安倍首相の支持率は減ったし、それも含めてコロナ渦での心労は、不世出の宰相の建康を損ねさせ、予想外の早期退陣ということになった。

菅内閣は短期集中決戦に徹するべき

官邸サイトより:編集部

代わって誕生した菅義偉首相は、安倍前首相とは違って外交が得意分野とは思えないし、それは急になんとかなるような性質のものではない。堅実なチームプレーで大過なくこなすことにするしかないし、それでいいと思う。トランプ大統領が相手だと、心配なところだが、今月20日就任予定のバイデン新大統領相手なら、そんなに極端なことにはならないだろう。

菅首相は大きな国家ビジョンも示していない。というより、首相になるつもりがなかったがゆえに、準備ができていなかったとしかいいようがない。早く、首相にふさわしいブレーン集団に刷新して、方向性を見つけることが必要だ。

一方、菅首相は個別具体的な課題を正しく分析し、官僚機構や業界などの抵抗をはねのけて結果を出すということにかけては、天才的なものをもっている。

「電子政府」「携帯電話料金」はかなり期待できそうだし、観光支援事業「Go Toトラベル」も、コロナ第三波で頓挫しているが、私は最高度に評価したい。

しかし、日本学術会議問題などの文科省関連もそうだし、地方自治や地方分散、そして、日本最強の岩盤規制が張りめぐらされて、政治力も並大抵ではない医療関係では、安倍前首相も菅首相もやられっぱなしであって、新型コロナウイルス対策も隔靴掻痒である。

私は、日本の医師のあり方に以前から強い批判をこれまでもしてきたが、なかなか、賛同が広がらなかった。しかし最近になってようやく、「欧米の何十分の一の患者で、なぜ医療崩壊するのか」「コロナの現場から医師が敵前逃亡しても批判されない医師の世界のモラルの低さ」「年末年始に例年通り休んでなにが医療崩壊か」などと指摘すると喝采してくれる人が増えた。菅首相にも、医療界に怖がられる宰相であってほしいと思う。

菅首相は、私はそれほど長くやるより、短期決戦で、岩盤規制を一気呵成に打ち破って、ほどほどのところで、後継者指名するようなやり方が向くような気がする。長くやりたいということで、抵抗勢力に配慮などしたらなにをやってるのか分からなくなるからだ。

安倍復活は最良のタイミングを選ぶべき

実は私は第一次安倍内閣のときは、余り評価してなかった。『歴代総理の通信簿』(PHP文庫)という本をかつて書いたが、かなり厳しい点数をつけた。小泉純一郎政権の官房長官から昇格したのち、必要な方向修正が不十分だったし、参院選で敗北して「ねじれ国会」にしてしまったからだ。

オバマ政権の副大統領として安倍前首相と握手を交わすバイデン氏(2015年9月、外務省サイトより:編集部)

しかし、2012年の再登板後の安倍首相には、最高クラスの評価をしたい。外交では、世界最高のリーダーとして尊敬された。米国のバラク・オバマ前大統領と、ドナルド・トランプ大統領と良い関係を築けたのは、世界で安倍前首相だけだ。南北朝鮮とだけは良くなかったが、強硬姿勢を貫くことが将来のためになる異常な政権だから仕方ない。

憲法改正も、第二条もそのままにして、第三項を加えるという現実的なアプローチでかなり前進したと思う。

スキャンダルは「モリカケ桜」という些事しか追及する材料がなかったことが重要だ。ただ、経済は民主党内閣のときよりは、かなり改善したが、アベノミクスの「第3の矢」である産業の競争力向上がやや物足りなかった。

どこが課題だったのかについて、政権幹部の一人に質問したら、「人が良いので抵抗勢力に少し甘かった」と言っていたが、その通りだと思う。

 さて、2021年以降、安倍再登板はあるのか?私はまだあの年齢なのだから、チャンスがあれば是非、再々登板してほしい。なにしろ、世界の主要なリーダーであった日本の首相など他にいないのである。三度目の登板をしたら、間違いなく世界のリーダーになれる。

ただ、その一方で、何回も再登板というわけにはいかないのだから、良いタイミングを選んで欲しいとは思う。もったいない登場の仕方はしてほしくない。トランプが大統領に再選をされていた場合は、できるだけ早くと言う判断をすべきこともあったと思うが、バイデンに決まった以上は、それほど急ぐ必要は無い。

そして、安倍氏には、2度目よりも3度目の方がさらに良かったと言わせるだけの準備もして欲しいと思う。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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