超教育協会が「アフターコロナ教育推進ステイトメント」を発出

ぼくが専務理事を務める超教育協会が「アフターコロナ教育推進ステイトメント」を発出しました。

超教育協会は吸収したデジタル教科書教材協議会から数えて10年間、教育IT化に向けた提言を続けてきました。

デジタル教科書の制度化、PC一人1台の整備などを早くから訴え、政府はじめ関係方面に働きかけてきました。

デジタル教科書は法改正により制度化が実現し、超党派議員連盟による教育IT化推進法も成立、それらが後押しとなり、さらにコロナ休校も契機となって、PC一人1台も今年一気に整備される見通しです。

まずはこの措置を定着させる措置が必要です。さらに、学校だけでなく家庭でも学習できる環境を整える必要があります。

しかしそれはようやく教育IT化の途上国が通常国に追いつく話であり、先進国に躍り出るにはAI・データ主導の次元に踏み込む必要があります。

コロナの長期化、そして新たな感染症や大規模震災等の非常事態の発生においても途切れずに教育の機会を確保するアフターコロナ教育の設計が求められます。

今回のステイトメントは

1. 学校と家庭のネット学習環境の整備
2. オンラインと対面を組み合わせたハイブリッド教育の実現
3. 未来型教育の開拓

の3項目からなります。

具体的には以下のとおりです。

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令和元年度補正予算及び新型コロナ感染症緊急経済対策予算により、全小中学生が本年度中に1人1台情報端末を持って学習する環境が整備される見込みである。

誰もが学校でも家庭でもネットにつないで学習する環境を整備する必要がある。

さらに、新型コロナウイルスの長期化、そして新たな感染症や大規模震災その他の非常事態の発生においても、途切れることなく教育の機会を確保するアフターコロナ教育の設計が求められている。

以下を提言する。

1. 学校と家庭のネット学習環境の整備

1) デジタル教科書を、義務教育段階の全児童生徒に無償給与する。併せて、デジタル教科書の使用は各教科等の授業時数の2分の1未満にする規制を撤廃する。
2)全児童生徒が、家でもネットを通じた学習ができるようコスト負担軽減の政策を講ずる。

2. オンラインと対面を組み合わせたハイブリッド教育の実現

1) 遠隔教育の各要件(受け手側に教師がいること、同時双方向等)を緩和し、恒久化する。
2) 大学におけるメディア授業の60単位の履修制限の撤廃等、学校教育法施行規則、大学設置基準、関連する省令・告示等における恒久的な規制緩和を速やかに行う。

3. 未来型教育の開拓

AI、IoT、ビッグデータ、VR/AR、ブロックチェーン等先端技術を教育に導入することで、標準時数主義を脱却し、習得主義への移行を図る。それにより、学年を超えた学びを実現するとともに、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのない、個別最適化された学びを実現する。

「アフターコロナ教育推進ステイトメント」


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2021年1月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。