私のところには、「右派」の月刊誌が毎月送られてきますが、そのうち『諸君!』が6月号で廃刊が決まりました。日本雑誌協会のデータによれば、6万2000部と総合雑誌の中では健闘しているほうだったから、あとの雑誌も時間の問題でしょう。『論座』や『現代』などの「左派誌」が廃刊したのに続いて右派誌もなくなると、いわゆる論壇誌が壊滅することになりそうです。送っていただいて申し訳ないが、これはやむをえないと思います。編集のセンスがどうしようもなく古いからです。
たとえば『諸君!』4月号の特集は「田母神俊雄=真贋論争を決着する」という秦郁彦と西尾幹二の対談。『正論』に至っては、ほとんど軍国老人の同人誌みたいなものです。比較的ましなのは『Voice』で、4月号では「給与カットで人材を守れ」という冨山和彦氏の原稿や「労働組合は社員の敵」という城繁幸氏の原稿が出ています。中谷巌氏が「北欧型『転職安心』社会を」と題して「フレクシキュリティ」を説いているのには驚きました。実は私も対談を依頼されたのですが、相手が極右の大物だったので断りました。このように日本には、いまだに冷戦のころの図式が残っていて、政治・経済についての立場を次のように「バンドル」する傾向が強い。
政治 経済 社会 歴史
右派 改憲 小さな政府 法と秩序 国家主義
左派 護憲 大きな政府 表現の自由 平和主義
欧米でも、かつては似たようなものでしたが、1980年代の「保守革命」以降、かなり変わりました。米クリントン政権や英ブレア政権はリベラルでしたが、小さな政府路線は継承されました。オバマ政権も、経済政策を統括するサマーズは、クリントン政権の財務長官として「ワシントン・コンセンサス」の中心にいた人物です。冷戦期の「保守vsリベラル」という図式が崩れ、かつての大きな政府路線は否定されて、市場重視を前提とした「賢い政府」が求められているのです。
これに対して日本では左派政権が成立しなかったため、大きな政府の弊害が理解されないまま、古い保守vsリベラルの図式が続いています。しかもそれが歴史観とバンドルされているため、情緒的な論争になりやすい。日本のオピニオン誌の欧米との大きな違いは、この歴史論争が延々と続いていることです。これはたぶん戦中世代と戦後教育を受けた団塊世代の対立を反映しているのでしょうが、そういう対立も過去のものになりました。
上のバンドルは、論理的に考えれば奇妙なものです。小さな政府を志向する人が国家主義を主張する必然性はないし、平和主義と大きな政府の間にも論理的な関係はありません。冷戦時代には、共産主義を憎む人々が国家主義で、共産主義に好意的な人々が平和主義という関係があったかもしれないが、今やこうしたアジェンダは独立なのです。その意味では、もう右派と左派の論争する論壇というものが消滅したほうがいいのでしょう。この「アゴラ」も、そういう昔ながらの不毛な論争ではなく、実証的なデータと学問的なロジックを大事にし、建設的な論争の場にしたいと考えています。
政治 経済 社会 歴史
右派 改憲 小さな政府 法と秩序 国家主義
左派 護憲 大きな政府 表現の自由 平和主義
欧米でも、かつては似たようなものでしたが、1980年代の「保守革命」以降、かなり変わりました。米クリントン政権や英ブレア政権はリベラルでしたが、小さな政府路線は継承されました。オバマ政権も、経済政策を統括するサマーズは、クリントン政権の財務長官として「ワシントン・コンセンサス」の中心にいた人物です。冷戦期の「保守vsリベラル」という図式が崩れ、かつての大きな政府路線は否定されて、市場重視を前提とした「賢い政府」が求められているのです。
これに対して日本では左派政権が成立しなかったため、大きな政府の弊害が理解されないまま、古い保守vsリベラルの図式が続いています。しかもそれが歴史観とバンドルされているため、情緒的な論争になりやすい。日本のオピニオン誌の欧米との大きな違いは、この歴史論争が延々と続いていることです。これはたぶん戦中世代と戦後教育を受けた団塊世代の対立を反映しているのでしょうが、そういう対立も過去のものになりました。
上のバンドルは、論理的に考えれば奇妙なものです。小さな政府を志向する人が国家主義を主張する必然性はないし、平和主義と大きな政府の間にも論理的な関係はありません。冷戦時代には、共産主義を憎む人々が国家主義で、共産主義に好意的な人々が平和主義という関係があったかもしれないが、今やこうしたアジェンダは独立なのです。その意味では、もう右派と左派の論争する論壇というものが消滅したほうがいいのでしょう。この「アゴラ」も、そういう昔ながらの不毛な論争ではなく、実証的なデータと学問的なロジックを大事にし、建設的な論争の場にしたいと考えています。





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