欠ける中小企業のへ視点 - 中川信博

2009年03月09日 13:05

この国の与党、野党、官僚を含め、政策担当者に中小企業とその従業員達という、まさしくこの国の経済を牽引している多くの国民への視点が欠落しているように思います。

先ごろ石原慎太郎都知事が産経新聞に「相続税について官僚に同じ質問をしたら、同じ答えが返ってきて驚いた」というような感想を述べられています。ご承知の通りにこの国の相続税は初代がつくった財産を三代でゼロにすることが、社会的公正であるという、旧ソ連や中国にもないような社会主義思想哲学に基づいてつくられています。


たしか10年位前に、当時民主党であった西村眞悟議員も予算委員会で、その不条理性を言及されておりました。西村議員は経済の活性化の観点、文化芸術を生み出す観点からも相続税は廃しすべきと主張されています。

私も法人税同様、相続税、贈与税も廃止すべきではないかと思っております。その理由は相続税によって事業継続ができなくなる中小企業が大変多いからです。

また財政、金融政策でもその傾向は顕著です。日本のバブル期、このまま土地が値上がりを続けると、庶民がマイホームを購入できなくなると言った議論がマスコミを中心になされ、土地の総量規制などで、政策として地価引き下げをはかりました。この政策は中小企業にとって激震が走りました。

私の父親も小さな会社をやっており、当然、家などを担保に運転資金を銀行から借りておりましたが、その規制後、借り入れができなくなったと言っていたのを記憶しています。

政策担当者にとっての「庶民」とは「労働者」であって、中小企業の経営者とその従業員ではないと感じます。昨年末話題になった京品ホテル問題や派遣村問題も視点は「労働者」でありました。

今回の大不況でもマスコミの視点は常にそこにあり、また政治家も票田としての「労働者」へは救いの手を差し伸べました。しかし一番の弱者である中小企業経営者とその従業員への対策は不充分だと思います。

現在中小企業は壊滅的打撃を受けております。3月期で決算を迎える中小企業は決算状況如何では4月以降、銀行からの借り入れが非常に難しくなることは必死です。

厳密に言えば資本主義経済における自然淘汰の一端なのかもしれませんが、連日報道される大企業の派遣社員の契約打ち切りや解雇報道に比べ、この中小企業の窮状はまったくといっていいほど報道されていないのが現状です。

財政出動による公共事業はIT業界にはほとんど回ってきませんし、IT案件があってもナショナルブランド企業が受注することにより多少の潤いはありますが、砂漠にいっぱいのバケツの水程度の効果しかありません。

いま中小零細企業が一番欲しているのは短期の資金だと思います。この短期資金は中小企業にとっては血液とも言え、生命線であります。一旦途絶えますと(自宅などを担保にしておりますので)脳梗塞のように再起不能となります。従業員はまだセーフティーネットで救済され再起可能ですが、経営者はすべての財産を失い、さらに莫大な借金が残るのみになります。

すべての中小企業に救いの手をとは申しませんが、少なくともマスコミも政策担当者もいま少し、中小企業とその従業員に目を向けて頂けたらと思います。

中川信博

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