アフガニスタンにおける日本の貢献の限界 ― 站谷幸一

2009年12月21日 10:10

安全保障アナリスト/站谷幸一

アフガニスタンでの日本の貢献の概要が米軍機関紙の星条旗紙に出てたので一部
引用する。
その上で、日本のアフガニスタンにおける貢献の限界を以下では論じる。


Japan mulls defense forces’ role in Afghanistan
By Kevin Baron, Stars and Stripes
Stars and Stripes online edition, Wednesday, October 21, 2009
http://www.stripes.com/article.asp?section=104&article=65536

Whatever Japan decides, he said, “I hope its contribution would be
commensurate with its standing as a great power.

ゲーツ国防長官は、日本がどのような決定しても、「私は、その貢献が大国とし
ての地位に相応していることを望む。」とした。

Since 2001, Japan has pledged roughly $2 billion and spent $1.7 billion in
war assistance, according to the Pentagon. This year, Japan paid for six
months worth of salaries for the entire Afghan police force, about 80,000
members, in addition to hundreds of millions in humanitarian aid and
governance, security and reconstruction programs. In June, Japan pledged an
additional $500 million in aid, including $300 million for election assistance.
2001年以降、国防総省によると、日本はおよそ20億ドルの寄付を申し出、17億ド
ルを米国の戦争援助に費やした。今年、日本は、人道援助と統治援助(治安復興
プログラム)の何億ドルもの金額に加えて、80,000人の全アフガニスタン警察官
のために6ヵ月の相当の給料の代金を払った。6月には、日本は選挙援助のために3
億ドルを含む、さらに5億ドルの援助を申し出た。

The U.S., meanwhile, has budgeted $68 billion for fiscal 2010 just in the
Pentagon
’s dedicated account for the war in Afghanistan.
一方、アメリカは、アフガニスタンで戦争のために国防総省のみの金額では、ち
ょうど680億ドルを2010会計年度の予算に組んだ。
(面倒なので1ドル百円換算)

站谷コメント

さて、このように、日本のアフガニスタンにおける民生支援は、絶対的と相対的
な意味で、限界に達していることが見て取れる。
絶対的な限界とは、日本がこれ以上の金額を支払えるかということだ。
この記事でも明らかなように、日本は、既に民生支援で2000億円も消費し、対米
戦費では1700億円を使った。
近来では、アフガニスタン警官の給与141億円に加え、500億円もの資金供与を申
し出た。
おそらく、小規模の増額はあっても、これ以上の更なる大規模な追加支援は財政
難から見ても難しいだろう。
次に、相対的な限界とは、米国の援助額と比較した場合、日本の膨大な援助は霞
んでしまうという意味である。
米国は、アフガニスタンだけで、しかも国防総省だけで6兆8000億円に達している

これに国務省、開発庁等の関連援助、それにパキスタンへの援助
(パキスタンへの軍事援助は合計で120億ドル、またアフガン国境に10万名規模の
部隊を 展開する費用を米側が毎年10億ドル補償、今後五年間での民生支援75億ド
ル etcを費やしている。)
を加えれば、途方もない巨額になる。このような米国の10兆円単位の援助の前で
は、我が国の2000億円単位の援助額は霞んでしまう。
これのみでは、ゲーツの言う「大国としての地位に見合う同盟協力」には到底足
らない。
このように、日本のアフガニスタンにおける対米協力は限界に達しつつある。
金額を増やすことも難しいし、増やしたとしても影響はないだろう。
だからこそ、民生支援に加えて、まだ限界の少ない軍事力による対米協力が必要
になると言える。
具体的には、アフガン北部国境地域への派兵が適当になるだろう。
そして、それこそが、「大国としての地位に見合う同盟協力」を満たすものなの
だ。
これは、G8で日本以外でアフガニスタンに出兵していないのは、かつて惨敗した
ロシアのみということを考えれば明らかである。
 もちろん、対米協力が必要なのかどうかという議論も存在するだろうが、そこ
において考えるべきは貢献の是非ではなく、
日本の戦略を実現するための最適解は何であり、その最適解(日米同盟)に日本
の戦略を如何に織り込んでいくべきかを考えれば、
そうした議論の不毛さは明らかだろう。

追記
しかし、日本の民主党政権は、このロジックを理解しないだろう。
それは、僕の影響力がゼロなのもあるけれども(笑)、彼らの世界観が、寺島実
郎的な「同盟は多様であるべきである。故に安全保障面での貢献を減少させても
、環境問題、民生支援、東アジア共同体、
経済における貢献によって、担保できるだけでなく対等の関係になれる」という
ものだからだ。
しかし、現在の米国の「感情的」、そして徐々に政策面でも現れつつある日本へ
の反発は、こうした考えの間違いを証明している。所詮、同盟の機軸となるのは
安全保障でしかない。
というよりも、もしオバマが鳩山総理に「もし北朝鮮が、対日核攻撃もしくは威
嚇をしてきても、日米同盟は対等だからアメリカは報復も対応しないね。
あ!もちろん、二酸化炭素を25%削減、環境技術の提供、沖縄への民生支援をする
からいいよね」と言ったら誰も納得しないよね?と言えば終わる議論でしかない

なお、米国のパキスタンへの軍事支援の現状と課題については以下を参照のこと

U.S. Speeds Aid to Pakistan to Fight Taliban
By ERIC SCHMITT
Jane Perlez contributed reporting from Islamabad, Pakistan.
Published: October 28, 2009
WASHINGTON
http://www.nytimes.com/2009/10/29/world/asia/29weapons.html

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