日本の歴史において賭け事は飛鳥時代に取り締まりが行われた記録がある(Wiki)という事ですから切っても切れない日本人の生活に密着したものがあると言えます。戦後はいわゆるやくざが花札などの賭博を行い、稼ぎまくりましたし、公営ギャンブルは地方財政を助けるための公的な税徴収策でありますが、赤字に陥っている事業体もある実態を考えれば違法状態が放置されているともいえましょう。そして黙認の典型はパチンコの換金でこのあたりに来ると外国人に説明するのは不可能な域になってしまいます。
つまり、日本は実に勝手な解釈とほとんど客観性を持たない理論をベースにギャンブルに対する一定のルールを制定しています。その日本で再びあきれ果てるようなことが起きようとしていました。それはカジノ。
今国会でカジノを合法化することになる可能性があるのですが、条件がつきそうでした。それは「日本人御法度令」であります。何が何だか分からない政治家のゲームであります。国会のやり取りを見ていると安倍首相はカジノを合法化し、大規模開発を進めたくてしようがないというのがありありと見て取れます。なぜならカジノ議連の最高顧問であったわけで、今国会の質問でようやく顧問を辞任するというありさまでした。その「御法度令」は自民党内のまとまりの悪さを露呈する形で一応、引っ込めましたが実に恥ずかしい顛末でした。
確かに日本はカジノ依存症、ギャンブル、賭博への心理的抵抗が高い一方でギャンブル依存症の人も世界水準からするとかなり高いという実態から日本人は入場には一定の制約やセキュリティを高めたい気持ちは分かります。それならば沖縄は中国に近いですし入場者のコントロールはしやすい気がします。世界の趨勢としてはカジノはリゾート色を高めており、賭け事の場所としての人気は落ちています。ラスベガスは閑古鳥とは言わないまでも明らかに暇になっています。ならば施設としての規模は縮小させ、大規模リゾート開発のごく一部にカジノがあるという事にしたらよいでしょう。そんなことは開発許可の運用の中でいくらでもコントロールできます。
私はカジノに対してそこまでアレルギーを示すならなぜパチンコの換金を認めているのか、そちらの方が不思議であります。カジノは開発されたとしても日本で数か所の限られた場所でセキュリティが厳しく、アクセスもその気で行かねばならないようなところになるでしょう。いわゆる敷居も高く、ちょっとサンダルをつっかけて行く、ということは制限されるでしょう。つまり、誰でもホイホイいけるような代物にはならないはずです。
むしろ駅前の繁華街のパチンコ屋に自転車でさっと乗り付け、朝から晩まで塩漬けになっている人を生み続けているその社会の方が異常であります。そのカジノ議連は今回のカジノ解禁に合わせてパチンコの換金の合法化も考えていたようです。それに対して次世代の党は逆に換金を禁止する法案提出の検討に入ったと報道されています。つまり、180度違うアプローチです。
日本人を含むアジア人はギャンブルが好きな人種であります。これはDNAですから止められないでしょう。事実福島を拠点とするニラクは来年、香港市場に上場する計画となっていますが54店舗で2300億円の売り上げ(14年3月期)となっています。ちなみに2011年3月期が2098億円でしたから福島の人がパチンコ屋に入り浸ったという一部のうわさを裏付ける可能性あります。それぐらい日本人はギャンブルが好きだという事なのです。
カジノをめぐる政治家バトルは結局政党が政党の主張を通し、面目を得るという儀式に過ぎないということです。最終的にはカジノは合法化されるはずですし、パチンコと共存し「知られざる偉大なるギャンブル大国日本」が生まれるのであります。これも結局はギャンブルが好きな国民性が後押ししているような気がします。
外から見ると最もよくわからない日本の一面であります。
今日はこのぐらいにしておきましょう。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年10月12日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。