2013年1月16日、金準備高で世界2位のドイツがニューヨークとパリに保管する金を2020年までに本国へ移管させると発表しました。独連銀によると金準備高のうち半分を国内で、残り半分をロンドンとNYで振り分けるといいます。パリに保管する374トンは全て、NYからは300トンをドイツへ移す計画です。
2020年末、NY連銀へ預ける金準備高の割り当ては37%に低下へ。
(出所:Bundesbank)
あれからまもなく2年が経とうとするなか、こんなニュースが飛び込んできました。
「オランダ中央銀行、金の一部を本国へ移管」
オランダ銀行(DNB、中銀)は21日、612トンの金準備高のうちNY連銀に預ける120トン、40億ユーロ相当を本国へ移管させたと声明で発表しました。「より均衡のとれた手段」であり、「国民の信頼感を高める」狙いがあると説明しています。
最終的に、本国での金保有高を従来の11%から31%へ引き上げる方針。政策変更に従い、NY連銀に預ける金準備高はこれまでの51%から31%へ低下するといいます。カナダと英国への割合は、それぞれ20%と18%で維持する計画です。
そう、ドイツと同じく 1)NYでの保管割り当てを削減、2)英国への割り当ては維持ーーという構図が浮かび上がります。
2014年に入ってからNY連銀から金を引き出した国は、オランダの線が濃厚。
(出所:Zerohedge)
スイスも金準備高をめぐり11月30日に国民投票を控えており、金をめぐりにわかに欧州で本国移管の動きが盛んになってきました。将来のインフレを警戒しているのか、次にやってくる世界的な景気後退を意識しているのか、金本位制度の復活を描いているのか、はたまた量的緩和(QE)の強硬突破を目指す欧州中央銀行(ECB)に反旗を翻しユーロ存続に疑問を投げかけているのか。ひとまず、11月30日でのスイス国民の決断に熱い視線が注がれます。
(カバー写真:NY Federal Reserve)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年11月21日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。