生保の営業はキツイ?紹介案件をもらうには何が必要か!

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保険営業についてどのような印象をもつだろうか。知識が無いとかなり手強い相手もいる。本体が軽自動車、オプション数百万円をつけているような人をたまに見かける。だったら最初からベンツを買ったほうがいいではないか。ところが、会社の大株主が保険会社ということも多いから、冷たくあしらうこともできない。なかなか難しい。

今回は、『成績のいい人はモテる人』を紹介したい。著者は、ファイナンシャルプランナーの下澤純子さん。シングルマザー、資格なし、経験なしの工場パートから、実体験をもとにステップアップした実践書になる。

ある支社での出来事

中途社員の鈴木君が入社2ヶ月目にしてようやく売上をあげた。学生時代の独身の20代友人に売ってきたのは「貯蓄型の個人年金保険」。支社長もほめてくれるに違いない。しかし支社長の評価は厳しかった。「なんだ、この商品は?掛け捨ての商品(定期保険)をなぜ売らない!」。鈴木君は答える「年金で不足する老後資金を支えるためにも必要です」。

支社長は「ハァ?お前は給料泥棒か!死亡保険金最低3000万円持って来い!」。メンバー全員を集める。「お前たち、ピンチはチャンスだ!夢に日付をいれろ!途中で諦めるな!夢にときめけ!明日にきらめけ!」。まるで、夕焼け番長さながら、青春漫画のようなセリフを繰り返すばかりだった。鈴木君のモチベーションは急速に下がっていった。

生命保険で保障を担保するのが定期保険になる。子供がいるなど、もちろん保障が必要な人は多いが、その場合、定期保険の中でも更新もなく、保険料も安い収入保障保険を使うという有効的な方法もある。定期保険は更新時に保険料がアップされていくことから、当初は安くても保険料は高くなる。

保険料の支払いと保障が満了する65歳で入院の保障だけでも継続したいとすると80歳までの保険料を一括で支払うシステムが多い。最も健康に問題がありリスクが高くなる時期に入院保障は残らず、残ったのはわずかな終身保険というケースも少なくない。 実は、生命保険に加入している人の多くは、保障内容を的確に理解できていない。

理解できていないものに生涯をかけて支払うのである。例えば貯蓄にもなっているつもりが、実際にはそうなっていないケースも少なくない。さらに、小額ならいいという思い込みもある。また、死亡保障に関しては3000万円、5000万が妥当という勝手な思い込みに心当たりのある人はいないだろうか。

紹介のもらい方

――保険営業に紹介案件はつきものだ。しかしあまりガツガツやると嫌われる。はたしてどのような営業スタイルが理想なのか。下澤さんは次のように答える。

「講座終了後にアンケートに答えていただくと、『紹介だけで仕事が回っているようになりたい』という回答が多くなります。契約までに時間がかからないから、新規開拓の必要がないからという理由によるものでしょう。」(下澤さん)

――保険営業は決して楽ではない。営業効率を考えればこのようなアンケート結果も理解できる。しかし、要点はそこではないようだ。

「紹介が増えるきっかけは圧倒的に口コミです。『全く分からない自分にも分かるように説明してくれた』『出不精な夫のために、来店型にも関わらず遠くまで足を運んでくれた』『自分のことを考えてくれて、自分専用の保険を作ってくれた』『全く売込みを感じなかった』『悩みを聞いてもらった』。決して大した理由ではありません。」(下澤さん)

「保険営業の中には、ご主人と話したいと思う人が多いです。これは決定権がご主人という思い込みですが、決定権は妻が持っていることがほとんど。妻を味方にすることで契約に繋がりやすくなり、妻たちは応援者にもなってくれます。」(同)

――では、紹介を獲得するための重要なポイントについて聞いてみよう。

「紹介の場合、新規開拓をしていないので、人間関係ができていないところから入っていきます。そこが苦手な人も多いはず。実は私の場合、ずっと応援していただいているお客様は、紹介ではなく、新規開拓からお客様になった人ばかりなんです。そして、重要なのは、基本的に紹介をいただいたら退職、転職はナシです。」(下澤さん)

「責任も背負うことになりますが、紹介は『信頼』と『実績』から生まれます。紹介が少ないのは、『信頼』と『実績』がまだ足りていないからです。保険営業が交流会に参加しても難しい理由がここにあります。相手の立場になって考えるなら、参加して知り合っても、本当に信頼できて実績のある人でないと紹介が出しにくいのです。」(同)

本書は、生命保険業界を知り尽くした下澤さんが語る実践書である。過酷な営業ノルマで厳しいとも言われる保険営業の“選ばれるヒント”が見つかるかもしれない。

参考書籍
成績のいい人はモテる人』(ファストブック)

尾藤克之
コラムニスト